副鼻腔手術後、患者に何を伝える?
看護師国家試験 第111回 午前 第48問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系
国試問題にチャレンジ
Aさん(32歳、男性)は慢性副鼻腔炎と診断され経過観察をしていたが、症状が改善せず手術を受けることになった。 Aさんへの術後の生活についての説明で適切なのはどれか。
- 1.咽頭にたまった分泌物は飲み込んでも良い。
- 2.物が二重に見えるときは看護師に伝える。
- 3.手術当日から入浴が可能である。
- 4.臥床時は頭部を低く保つ。
対話形式の解説
博士
今日は32歳男性の慢性副鼻腔炎術後の生活指導じゃ。手術は内視鏡下副鼻腔手術、通称ESSじゃな。
アユム
ESSって、どんな手術ですか?
博士
鼻腔から内視鏡を挿入し、副鼻腔の病的粘膜や膿を除去して通気路を確保する手術じゃ。皮膚切開はない。
アユム
術後の合併症で気をつけることは?
博士
副鼻腔は眼窩や頭蓋底と薄い骨で隔てられているため、眼窩内血腫、内直筋損傷による複視、視力障害、髄液漏などが生じ得る。
アユム
では正解は?
博士
2の『物が二重に見えるときは看護師に伝える』じゃ。複視は眼窩内合併症の重大サインで、即時対応が視機能温存に直結する。
アユム
どれくらい緊急性が高いんですか?
博士
眼窩内血腫は数時間以内に減圧しないと失明に至ることがある。患者に『我慢せず即座に知らせる』と必ず教えるのじゃ。
アユム
選択肢1の『分泌物を飲み込む』は?
博士
不適切じゃ。血液や分泌物を飲み込むと悪心・嘔吐、出血量の把握困難を招く。ティッシュに優しく吐き出してもらう。
アユム
選択肢3の『手術当日から入浴可』は?
博士
これも誤り。入浴は血管拡張で出血を誘発するため、当日は禁止。医師の許可後、シャワー浴から再開じゃ。
アユム
選択肢4の『頭部を低く保つ』は?
博士
逆じゃよ。頭部を挙上することで顔面のうっ血や出血、浮腫を軽減する。ファーラー位~セミファーラー位が基本じゃ。
アユム
他の生活指導は?
博士
鼻を強くかまない、いきまない、熱い風呂やサウナ・飲酒・激しい運動を避ける、指示された鼻内洗浄をしっかり行うことじゃ。
アユム
内服薬は?
博士
抗菌薬、抗アレルギー薬、粘液溶解薬、消炎薬などが処方されることが多い。自己中断せず指示どおり内服するよう指導するのじゃ。
アユム
髄液漏の徴候はどう気づきますか?
博士
水様性透明の鼻漏、特に頭位変換で増えるもの、前かがみで流れ出すものに注意。甘味を感じる鼻漏の訴えもヒントじゃよ。
POINT
副鼻腔内視鏡手術後は眼窩内合併症のサインである複視を見逃さないことが最重要で、患者に出現時は直ちに伝えるよう指導します。分泌物は飲み込まず吐き出し、頭部は挙上、当日の入浴は禁止し、鼻をかまない・いきまない生活を徹底します。髄液漏や大出血など重篤合併症の早期発見のため、観察・教育の両輪が欠かせません。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:Aさん(32歳、男性)は慢性副鼻腔炎と診断され経過観察をしていたが、症状が改善せず手術を受けることになった。 Aさんへの術後の生活についての説明で適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術(ESS)は鼻腔から内視鏡を挿入し、副鼻腔の病的粘膜や貯留膿を除去して通気・排膿路を確保する手術です。副鼻腔は眼窩や頭蓋底と薄い骨で隔てられているだけなので、眼窩内血腫や内直筋損傷による複視、視力障害、髄液漏などの重篤合併症が生じ得ます。複視は眼窩内合併症の重要なサインであり、出現時は直ちに看護師・医師に伝えるよう指導します。
選択肢考察
-
× 1. 咽頭にたまった分泌物は飲み込んでも良い。
咽頭へ流れた血液や分泌物を飲み込むと悪心・嘔吐や出血量の把握困難を招きます。ティッシュ等に優しく吐き出すよう指導します。
-
○ 2. 物が二重に見えるときは看護師に伝える。
複視は眼窩内血腫・内直筋損傷など眼窩内合併症を示唆する重大な徴候です。早期発見・早期対応が視機能温存に直結するため、出現時は直ちに知らせるよう説明します。これが正解です。
-
× 3. 手術当日から入浴が可能である。
手術当日の入浴は血圧変動や血管拡張により鼻出血を誘発するため禁止です。通常は医師の許可後、シャワー浴から再開します。
-
× 4. 臥床時は頭部を低く保つ。
頭部を低くすると顔面のうっ血・腫脹・出血が増強します。術後はファーラー位~セミファーラー位など頭部挙上で安静とします。
ESSの合併症は大別して出血、髄液漏、眼窩内合併症(眼窩内血腫・視神経損傷・複視・視力障害)があり、いずれも早期発見が重要です。術後指導としては、鼻を強くかまない・いきまない・熱い風呂やサウナ・飲酒・激しい運動を避ける、鼻内洗浄の実施、処方の抗菌薬・消炎薬の内服遵守などが挙げられます。
内視鏡下副鼻腔手術後に起こり得る眼窩内合併症のサイン(複視)を患者に教育できるかを問う問題です。
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