女性に多く、ゆっくり進む膝の痛み ― 変形性膝関節症を整理しよう
看護師国家試験 第112回 午前 第81問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系
国試問題にチャレンジ
変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee)について正しいのはどれか。
- 1.男性に多い。
- 2.第一選択は手術療法である。
- 3.変形性関節症(osteoarthritis)の中で2番目に多い。
- 4.二次性のものが一次性のものより多い。
- 5.経時的に進行して10年で半数が悪化する。
対話形式の解説
博士
今日は整形外科で最も遭遇する疾患の一つ、変形性膝関節症を取り上げるぞ。臨床で必ず出会うので、疫学から治療まで一気に整理しよう。
サクラ
はい、まず基本から。変形性膝関節症ってどんな病気ですか?
博士
関節軟骨がすり減り、骨棘ができ、痛みや可動域制限を起こす慢性進行性の変性疾患じゃ。典型患者像は肥満気味の高齢女性で、立ち上がりや階段昇降時の痛みから始まることが多い。
サクラ
なるほど。男女比はどのくらい違うんですか?
博士
およそ1対4で女性に多い。閉経後のエストロゲン低下、筋力、O脚傾向、肥満の影響などが重なるのじゃ。
サクラ
治療はいきなり手術ですか?
博士
いや、第一選択は保存療法じゃ。減量、大腿四頭筋訓練、NSAIDs内服、ヒアルロン酸関節内注入、装具や杖の使用などを組み合わせる。これで効果が乏しければ、高位脛骨骨切り術や人工膝関節置換術を検討する。
サクラ
変形性関節症の中では何番目に多いんでしょう?
博士
トップじゃよ。膝が一番多く、次いで股関節、脊椎、手指と続く。
サクラ
膝は一次性と二次性、どちらが多いんですか?
博士
膝は圧倒的に一次性、つまり加齢を背景としたものが多い。股関節では臼蓋形成不全などに続発する二次性が多いので対比して覚えると良いぞ。
サクラ
進行のスピードはどうですか?
博士
緩徐に進行するのが特徴で、未治療だと5〜10年かけて悪化し、10年で約半数が明らかな悪化を示すと報告されている。だから今回の正解は『経時的に進行して10年で半数が悪化する』じゃ。
サクラ
看護でのポイントは何ですか?
博士
まず体重コントロール、そして大腿四頭筋セッティングなどの筋力訓練の継続支援。正座や和式生活は負担が大きいので洋式への変更を勧める。歩行時は杖を患側の反対側に持たせるのが原則じゃ。
サクラ
人工膝関節置換術後の注意点はありますか?
博士
深部静脈血栓症予防、感染予防、脱臼は股関節置換ほど多くないが無理な屈曲は避ける。早期離床とリハビリで関節可動域を守ることが大切じゃな。
POINT
変形性膝関節症は関節軟骨の退行性変化を基盤とする慢性進行性疾患で、高齢の肥満女性に多く、男女比はおよそ1対4、変形性関節症の中で最も頻度が高い。原因は加齢による一次性が大半を占め、治療はまず減量・筋力訓練・薬物療法・装具などの保存療法が第一選択となる。自然経過は緩徐だが着実に進み、未治療では10年で約半数が悪化するとされ、早期からの体重管理・筋力維持・生活様式の洋式化が重要となる。看護師は疼痛緩和と同時に、ADL指導、杖や手すりなど補助具の活用、継続的な運動療法の支援を通じて患者の機能と生活の質を守る役割を担う。
解答・解説
正解は 5 です
問題文:変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee)について正しいのはどれか。
解説:正解は 5 です。変形性膝関節症は関節軟骨の退行性変化を基盤に発症する慢性進行性疾患で、加齢・肥満・O脚・スポーツ歴などを背景に関節軟骨が摩耗し、疼痛・可動域制限・関節水腫を呈する。保存療法(減量・大腿四頭筋訓練・NSAIDs・ヒアルロン酸関節内注入・装具)が中心であるが、介入が不十分だと数年単位で進行し、10年程度で約半数が画像上・臨床上の悪化を示すと報告されている。
選択肢考察
-
× 1. 男性に多い。
男女比はおおよそ1対4で女性に多い。閉経後のエストロゲン低下、筋力差、O脚傾向、肥満などが女性優位の背景にある。
-
× 2. 第一選択は手術療法である。
まずは体重管理・運動療法・物理療法・NSAIDs内服やヒアルロン酸関節内注入などの保存療法が第一選択。保存療法抵抗例に対し、高位脛骨骨切り術や人工膝関節置換術が検討される。
-
× 3. 変形性関節症(osteoarthritis)の中で2番目に多い。
変形性関節症の中で膝は最も頻度が高い部位で、次いで股関節、脊椎、手指(ヘバーデン結節など)に多い。
-
× 4. 二次性のものが一次性のものより多い。
膝では明確な基礎疾患のない一次性(加齢性)が多数を占める。外傷・化膿性関節炎・関節リウマチなどに続発する二次性は相対的に少ない。股関節では逆に二次性(先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全など)が多い点と対比して覚える。
-
○ 5. 経時的に進行して10年で半数が悪化する。
関節軟骨は血流に乏しく修復能が低いため、適切な介入がなければ経年的に悪化する。長期観察研究でも約10年で半数前後が画像的・臨床的悪化を示すとされる。
診断はX線のKellgren-Lawrence分類で評価し、関節裂隙狭小化・骨棘・軟骨下骨硬化・骨嚢胞などを確認する。看護のポイントは、減量指導、大腿四頭筋セッティングなどの筋力訓練、杖や手すりの活用による関節負担軽減、正座や和式生活の回避指導である。股関節症との違い(膝は一次性・女性・肥満、股関節は二次性・先天性臼蓋形成不全由来)をセットで整理しておくと国試対策に有用。
変形性膝関節症の疫学(女性に多い・一次性優位・最頻部位)、治療(保存療法が第一選択)、自然経過(緩徐に進行し半数前後が悪化)を総合的に問う一問。
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