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緑内障の本質を知る ― 眼圧と視神経のつながり

看護師国家試験 第112回 午前 第86問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第86問

緑内障(glaucoma)について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.眼球が突出する。
  2. 2.視神経が萎縮する。
  3. 3.硝子体が混濁する。
  4. 4.眼底に出血がみられる。
  5. 5.眼圧の上昇が原因となる。

対話形式の解説

博士 博士

今回は緑内障じゃ。日本の中途失明原因第1位で、看護師国試でも頻出の重要疾患じゃよ。

アユム アユム

まず緑内障ってどんな病気ですか?

博士 博士

眼圧上昇などによって視神経が障害され、進行性に視野が欠損していく疾患じゃ。障害された視神経線維は再生せず、放置すれば失明に至る。

アユム アユム

眼圧の正常値は?

博士 博士

10〜21mmHgが一般的な正常範囲じゃ。ただし日本人に多いのは正常眼圧緑内障(NTG)で、眼圧が正常範囲内でも視神経が脆弱なため障害が進む。

アユム アユム

視神経乳頭ってどう変化するんですか?

博士 博士

神経線維の脱落で視神経乳頭の陥凹が拡大する。乳頭径に対する陥凹径の比(C/D比)が増大し、0.7以上で異常を疑う。

アユム アユム

自覚症状は?

博士 博士

慢性型は視野狭窄がゆっくり進むので自覚しにくいのが怖いところ。中心視力は末期まで保たれ、気づいたときには視野の大部分が失われていることも多い。

アユム アユム

急性緑内障発作もあるんですよね?

博士 博士

急性閉塞隅角緑内障じゃ。突然の眼痛・頭痛・嘔気・嘔吐・霧視・結膜充血を呈し、放置すると数時間で失明する眼科的救急疾患じゃ。

アユム アユム

嘔気嘔吐があるから消化器疾患と間違われそう。

博士 博士

その通り。実際『風邪か脳卒中か』と救急受診し、瞳孔散大や角膜混濁、眼球硬を確認して初めて緑内障発作と分かることもある。

アユム アユム

治療の基本は?

博士 博士

眼圧下降が中心じゃ。点眼ではPG関連薬(ラタノプロストなど)が第一選択、続いてβ遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、ROCK阻害薬など。効果不十分ならレーザー線維柱帯形成術や濾過手術じゃ。

アユム アユム

看護で気をつけることは?

博士 博士

閉塞隅角緑内障患者では抗コリン薬・抗ヒスタミン薬・一部の抗うつ薬が散瞳を起こし発作を誘発するため禁忌じゃ。術前問診で緑内障の有無を必ず確認する。

アユム アユム

白内障と混同しやすいですが違いは?

博士 博士

白内障は水晶体の混濁で視力がかすむ・視界全体が白くなる。緑内障は視神経障害で視野欠損が中心。手術の意味も全く異なるぞ。

アユム アユム

眼底出血は緑内障の症状ではないんですね。

博士 博士

そうじゃ。糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症の所見じゃ。今回の選択肢で正解は『視神経が萎縮する』と『眼圧の上昇が原因となる』の2つじゃな。

POINT

緑内障は眼圧上昇や視神経の脆弱性により視神経乳頭が障害され、視野が進行性に欠損する疾患で、日本の中途失明原因の第1位である。病態の中心は網膜神経節細胞とその軸索の変性で、視神経乳頭の陥凹拡大と視神経萎縮、それに対応する視野欠損が特徴的所見となる。慢性型は自覚症状に乏しく進行するため早期発見が鍵で、40歳以上の定期眼科検診が推奨される一方、急性閉塞隅角緑内障は失明を防ぐため緊急対応を要する。看護では眼圧下降点眼の継続指導、緑内障禁忌薬(抗コリン薬など)の把握、視覚障害が進行した場合の生活支援まで、幅広い視点でのケアが求められる。

解答・解説

正解は 2 5 です

問題文:緑内障(glaucoma)について正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 2 と 5 です。緑内障は、眼圧の上昇や視神経の脆弱性などにより視神経乳頭が障害され、視神経線維が脱落・萎縮することで視野が進行性に欠損する疾患。日本における中途失明原因の第1位で、40歳以上の約20人に1人が罹患する。

選択肢考察

  1. × 1.  眼球が突出する。

    眼球突出はバセドウ病など甲状腺眼症で見られる所見で、緑内障の症状ではない。急性閉塞隅角緑内障では眼痛・頭痛・嘔気を伴うが、眼球突出は起こらない。

  2. 2.  視神経が萎縮する。

    眼圧上昇などで網膜神経節細胞とその軸索(視神経線維)が障害され、視神経乳頭陥凹が拡大(C/D比増大)、視神経が萎縮する。これに対応して視野欠損が進む。

  3. × 3.  硝子体が混濁する。

    硝子体混濁はぶどう膜炎、硝子体出血、加齢性硝子体混濁などで生じるが、緑内障の主要所見ではない。

  4. × 4.  眼底に出血がみられる。

    眼底出血は糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、高血圧性網膜症などで見られる。緑内障でも乳頭線状出血(splinter hemorrhage)が軽微に見られることはあるが、特徴的所見ではない。

  5. 5.  眼圧の上昇が原因となる。

    眼圧上昇は最も重要な危険因子。正常眼圧(10〜21mmHg)でも発症する正常眼圧緑内障も存在するが、いずれにせよ眼圧下降が治療の中心。

緑内障は病型分類として、開放隅角緑内障(隅角は開いているが房水流出が障害)と閉塞隅角緑内障(隅角が狭小化・閉塞)に大別される。日本人成人で最多なのは正常眼圧緑内障(NTG)で、開放隅角型の一種。急性閉塞隅角緑内障は『眼痛・頭痛・嘔気・視力低下・充血・角膜浮腫』を呈し眼科的救急疾患で、縮瞳薬と眼圧下降薬、レーザー虹彩切開術で対応する。治療薬はPG関連薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、ROCK阻害薬、α2作動薬などの点眼が中心。抗コリン薬・抗ヒスタミン薬は閉塞隅角緑内障で禁忌となる点は看護の必須知識。

緑内障の病態(眼圧上昇→視神経萎縮→視野欠損)を理解しているかを問う。白内障との鑑別、眼底出血を伴う他疾患との違いが鍵。