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前立腺肥大症の病態と治療をマスターしよう

看護師国家試験 第108回 午後 第85問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第85問

前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia)で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.進行すると水腎症(hydronephrosis)となる。
  2. 2.外科治療は経尿道的前立腺切除術を行う。
  3. 3.直腸診で石の様な硬さの前立腺を触知する。
  4. 4.前立腺を縮小させるために男性ホルモン薬を用いる。
  5. 5.前立腺特異抗原<prostate specific antigen:PSA>値が100ng/mL以上となる。

対話形式の解説

博士 博士

今回は中高年男性に多い前立腺肥大症を取り上げるぞ。

サクラ サクラ

前立腺肥大症は尿道を圧迫する病気ですよね。頻尿や残尿感が出ると聞きました。

博士 博士

そのとおり。前立腺の移行領域が加齢とアンドロゲンの影響で肥大し、尿道を締め付けて下部尿路症状を起こすのじゃ。

サクラ サクラ

進行するとどうなるんですか?

博士 博士

慢性尿閉になると膀胱内圧が上昇し、尿管・腎盂にも圧が伝わって水腎症を来す。腎機能も低下するから選択肢1は正しいのじゃ。

サクラ サクラ

治療はどうするんでしょう?

博士 博士

薬物療法ではα1遮断薬のタムスロシンで平滑筋を弛緩させ、5α還元酵素阻害薬のデュタステリドで腺を縮小させる。効果不十分や合併症例では手術じゃ。

サクラ サクラ

その手術が経尿道的前立腺切除術ですね。

博士 博士

そうじゃ。TURPといって内視鏡下に電気メスで切除する標準術式じゃから、選択肢2も正しい。

サクラ サクラ

3の直腸診で石様硬さというのはどうですか?

博士 博士

誤りじゃ。肥大症はゴム様・弾性軟で表面平滑なのが特徴。石のように硬ければ前立腺癌を疑うのじゃよ。

サクラ サクラ

4の男性ホルモン薬は前立腺を大きくしてしまいますよね。

博士 博士

そのとおり。アンドロゲンが原因じゃから逆効果。5α還元酵素阻害薬で抗男性ホルモン作用を狙うのが正しい治療じゃ。

サクラ サクラ

5のPSAが100以上というのは?

博士 博士

基準値は4ng/mL以下で、肥大症でも軽度上昇することはあるが、100以上は転移性前立腺癌を強く疑う値じゃ。

サクラ サクラ

TURP後の合併症には何がありますか?

博士 博士

出血、TUR症候群という低Na血症、逆行性射精、尿失禁などじゃ。術後は血尿や電解質に注意するのじゃぞ。

サクラ サクラ

肥大症と癌の鑑別も大切ですね。

博士 博士

そのとおり。直腸診・PSA・MRI・生検を組み合わせて診断する。

POINT

前立腺肥大症は加齢と男性ホルモンが関与し、下部尿路症状をきたす良性疾患です。進行すると水腎症や腎後性腎不全に至るため、薬物療法(α1遮断薬、5α還元酵素阻害薬)や経尿道的前立腺切除術(TURP)で治療します。直腸診ではゴム様・弾性の腫大を触知し、石様硬結は癌を疑います。PSAは軽度上昇に留まることが多いです。

解答・解説

正解は 1 2 です

問題文:前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia)で正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 1 と 2 です。前立腺肥大症は加齢に伴い前立腺の移行領域が肥大し尿道を圧迫する疾患で、頻尿・残尿感・排尿困難・尿線途絶などの下部尿路症状を呈します。進行し慢性尿閉となると膀胱から腎臓への逆流や上部尿路の拡張をきたし水腎症となります。外科的治療の第一選択は経尿道的前立腺切除術(TURP)です。

選択肢考察

  1. 1.  進行すると水腎症(hydronephrosis)となる。

    慢性尿閉により膀胱内圧が上昇すると尿管・腎盂に逆流が起こり、水腎症から腎後性腎不全に至ります。

  2. 2.  外科治療は経尿道的前立腺切除術を行う。

    薬物療法で改善しない場合や合併症例には経尿道的前立腺切除術(TURP)が標準治療として行われます。

  3. × 3.  直腸診で石の様な硬さの前立腺を触知する。

    肥大症の前立腺はゴム様・弾性軟〜弾性硬の触感で表面は平滑です。石様硬結は前立腺癌を疑う所見です。

  4. × 4.  前立腺を縮小させるために男性ホルモン薬を用いる。

    アンドロゲンは肥大の原因となるため、5α還元酵素阻害薬(デュタステリド等)で男性ホルモン作用を抑えます。

  5. × 5.  前立腺特異抗原<prostate specific antigen:PSA>値が100ng/mL以上となる。

    PSAの基準値は4ng/mL以下で、肥大症では軽度上昇しますが100ng/mL以上は転移性前立腺癌を強く疑う値です。

前立腺肥大症の薬物療法はα1遮断薬(タムスロシン等)で平滑筋を弛緩させ排尿を改善し、5α還元酵素阻害薬(デュタステリド、フィナステリド)で前立腺を縮小させます。TURP後は出血、TUR症候群(低Na血症)、逆行性射精、尿失禁に注意します。

前立腺肥大症の合併症・治療・検査所見を問う総合的な問題で、前立腺癌との鑑別知識も必要です。