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腎盂腎炎は女性に多い上行性感染、主犯は大腸菌

看護師国家試験 第109回 午後 第33問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第33問

成人の急性腎盂腎炎( acute pyelonephritis )で正しいのはどれか。

  1. 1.男性に多い。
  2. 2.両腎性が多い。
  3. 3.初尿を用いて細菌培養を行う。
  4. 4.原因菌はGram〈グラム〉陰性桿菌が多い。

対話形式の解説

博士 博士

今回は成人の急性腎盂腎炎じゃ。膀胱炎との違いや起因菌、採尿方法など、国試で狙われるポイントがぎっしり詰まっておる。

サクラ サクラ

腎盂腎炎って、どうやって腎臓に菌が到達するんですか?

博士 博士

ほとんどの場合は尿道から膀胱、そして尿管を逆行して腎盂・腎実質に達する「上行性感染」じゃ。血行性や腹腔からの感染は稀じゃな。

サクラ サクラ

なぜ女性に多いんですか?

博士 博士

女性は尿道が約4cmと短く、肛門との距離も近い。大腸菌のような腸内細菌が容易に尿道口から侵入するからじゃ。男性は尿道が長く、さらに前立腺液に抗菌物質が含まれるため単独発症は少ない。

サクラ サクラ

では男性で腎盂腎炎になる場合は何を疑うんですか?

博士 博士

良い視点じゃ。男性や高齢者の場合は、前立腺肥大による尿閉、尿路結石、膀胱尿管逆流、カテーテル留置など「複雑性」要因を疑う必要がある。単純性に比べて重症化や敗血症のリスクが高い。

サクラ サクラ

起因菌は何が多いんですか?

博士 博士

圧倒的に大腸菌で70〜80%を占める。その他KlebsiellaやProteus、Enterobacterなど腸内細菌科のグラム陰性桿菌が中心じゃ。

サクラ サクラ

だから選択肢4が正解なんですね。治療はどうするんですか?

博士 博士

経験的にセフェム系やニューキノロン系抗菌薬を開始し、尿培養で感受性が判明したら適切な薬剤に絞り込む。重症例や嘔吐で内服困難な場合は入院で点滴投与じゃ。

サクラ サクラ

両腎性が多いという選択肢もありましたが、なぜ片側性なんですか?

博士 博士

上行性感染では尿管のどちらか片方から菌が上昇することが多く、基本的に片側性じゃ。両側同時は糖尿病や免疫不全例など特殊な状況じゃな。

サクラ サクラ

採尿方法で初尿と中間尿は何が違うんですか?

博士 博士

初尿は排尿の最初の部分で、尿道に定着している菌が混じりやすい。そのためクラミジアや淋菌の尿道炎検査に使う。腎盂腎炎の培養では陰部常在菌の混入を避けるため、最初と最後を捨てた「中間尿」を用いるのじゃ。

サクラ サクラ

症状はどう観察すればいいですか?

博士 博士

典型的には悪寒戦慄を伴う38度以上の高熱、片側性の腰背部痛、CVA(肋骨脊柱角)の叩打痛じゃ。膀胱炎症状の頻尿・排尿時痛を伴うこともある。重症化すると敗血症からショックに至るため、バイタルサインと意識状態の観察は必須じゃ。

サクラ サクラ

予防のための生活指導はどうすればいいですか?

博士 博士

水分を十分摂取して尿量を保つこと、排尿を我慢しない、性交後は早めに排尿する、陰部は前から後ろに拭く、抗菌薬は症状が軽快しても最後まで飲み切ることを指導する。妊婦では無症候性細菌尿でも治療対象になる点も重要じゃ。

POINT

急性腎盂腎炎は尿道から逆行性に侵入した細菌が腎盂・腎実質に達して炎症を起こす感染症で、大腸菌をはじめとするグラム陰性桿菌が起因菌の大半を占めます。女性は尿道が短く肛門との距離が近いため圧倒的に多く、上行性感染のため通常は片側性です。診断には中間尿による尿培養と感受性検査が基本で、初尿は尿道炎検査用であり腎盂腎炎には適しません。看護では抗菌薬の完遂服用、水分摂取と尿量確保、排尿我慢の回避、陰部清潔の指導が再発予防の柱となり、糖尿病・妊婦・高齢者・尿路基礎疾患を持つ患者では複雑性腎盂腎炎として敗血症への進展に注意が必要な臨床的に重要な疾患です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:成人の急性腎盂腎炎( acute pyelonephritis )で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。急性腎盂腎炎は尿路を逆行性に上行した細菌が腎盂・腎実質に達して炎症を起こす感染症で、起因菌の大半は腸内細菌科のグラム陰性桿菌、中でも大腸菌(Escherichia coli)が70〜80%を占める。その他Klebsiella、Proteus、Enterobacterなども原因となる。臨床症状は悪寒戦慄を伴う38℃以上の発熱、片側性の腰背部痛・肋骨脊柱角叩打痛(CVA tenderness)、膀胱炎症状(頻尿・排尿時痛・残尿感)であり、尿検査では膿尿・細菌尿、白血球円柱、血液検査では白血球増多・CRP上昇を認める。

選択肢考察

  1. × 1.  男性に多い。

    女性は尿道が短く肛門との距離が近いため細菌が侵入しやすく、腎盂腎炎は圧倒的に女性に多い。男性では前立腺肥大や尿路結石など基礎疾患を伴うことが多く、その場合は複雑性腎盂腎炎として扱う。

  2. × 2.  両腎性が多い。

    上行性感染経路のため通常は片側性で発症する。両側性は糖尿病や免疫不全、敗血症性塞栓など特殊な状況で見られる。

  3. × 3.  初尿を用いて細菌培養を行う。

    尿培養は外陰部や尿道口常在菌の混入を避けるため、排尿の最初と最後を捨てた「中間尿」を採取する。初尿は尿道炎(クラミジアや淋菌)検査に用いる。

  4. 4.  原因菌はGram〈グラム〉陰性桿菌が多い。

    大腸菌をはじめとするグラム陰性桿菌が原因菌の大半を占める。経験的治療ではセフェム系やニューキノロン系を選択し、培養結果で感受性が判明したら適切な抗菌薬に変更する。

腎盂腎炎の看護では、安静と十分な水分摂取による尿量確保、処方された抗菌薬の確実な服用(症状軽快しても中断しない)、再発予防として排尿我慢の回避、性交後排尿、陰部の清潔保持(前から後ろへの拭き方)などの生活指導が重要。男性や高齢者、糖尿病患者、妊婦、尿路奇形・結石・カテーテル留置例は複雑性腎盂腎炎として重症化・敗血症リスクが高く、速やかな入院加療が必要となる。

急性腎盂腎炎の起因菌・性差・感染形式と、尿培養における適切な採尿方法を問う問題。