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在宅で留置カテーテル!家族に伝える観察ポイントの最重要事項

看護師国家試験 第109回 午前 第71問 / 地域・在宅看護論 / 在宅療養生活を支える看護

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第71問

Aさん( 88 歳、男性)は、長女( 60 歳、無職)と 2 人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランク C2 。仙骨部の褥瘡の治療のため、膀胱留置カテーテルを挿入することになった。 膀胱留置カテーテルを挿入中のAさんを介護する長女に対して、訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。

  1. 1.「褥瘡が治癒するまでおしりは洗浄しないでください」
  2. 2.「体位変換ごとに蓄尿バッグを空にしてください」
  3. 3.「カテーテルは太ももに固定してください」
  4. 4.「尿に浮遊物がないか確認してください」

対話形式の解説

博士 博士

今回はAさん88歳、仙骨部褥瘡のために膀胱留置カテーテルを入れた男性の在宅ケアじゃ。介護するのは60歳の長女ひとり、さて何を最優先で伝えるかのぉ。

サクラ サクラ

えっと、留置カテーテルって入れっぱなしですよね。感染が一番怖いんじゃないですか?

博士 博士

その通りじゃ。膀胱と外界が管でつながりっぱなしになるから、細菌の侵入経路ができてしまう。これをカテーテル関連尿路感染症、略してCAUTIと呼ぶ。

サクラ サクラ

それを家族に毎日観察してもらうんですね。具体的には何を見るんですか?

博士 博士

尿の色、濁り、浮遊物、血尿、臭い、それから発熱じゃ。特に浮遊物や混濁は初期サインとして見つけやすい。

サクラ サクラ

なるほど。選択肢4の『尿に浮遊物がないか確認してください』が正解ですね。

博士 博士

うむ。ところで選択肢1の『おしりは洗浄しない』はどうじゃ?

サクラ サクラ

それは逆ですよね…仙骨部褥瘡で排便が近いから、むしろ清潔に保たないと悪化します。

博士 博士

その通り。褥瘡そのものはドレッシング材で保護し、周囲はやさしく洗浄する。『洗わない』は褥瘡ケアでは絶対NGじゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の『体位変換ごとに蓄尿バッグを空に』は?頻繁に捨てた方が清潔そうですけど。

博士 博士

これが罠じゃ。排液口を開けるたびに細菌侵入のチャンスが増える。普通は1日1〜2回、またはバッグが2/3溜まったら捨てる。

サクラ サクラ

ほぉ、頻回に捨てると逆効果なんですね。選択肢3の『太ももに固定』はどうなんでしょう。

博士 博士

男性で大腿側に固定すると、陰茎陰嚢角でカテーテルが曲がって尿道を圧迫し、尿道損傷や瘻孔の原因になる。男性は陰茎を頭側、下腹部に固定が基本じゃ。

サクラ サクラ

女性は大腿内側でいいんですよね。性別で違うのが国試頻出ポイントですね。

博士 博士

うむ。さらにAさんはランクC2で自力寝返りもできない。自己抜去リスクが低いから、皮膚トラブル回避のため固定を最小限にする選択もある。

サクラ サクラ

状況設定をしっかり読むことが大事ですね。ランクCの意味も押さえておかないと。

博士 博士

ランクCは『1日中ベッド上、排泄・食事・着替えすべて介助』、C2はさらに『自力で寝返りもできない』状態じゃ。介護負担が極めて大きいことを忘れてはならん。

サクラ サクラ

家族への指導は、医学的に正しいだけでなく、実生活で続けられる内容である必要があるんですね。

POINT

膀胱留置カテーテル管理で在宅家族に指導すべき最重要事項は、尿の性状観察による尿路感染症の早期発見です。カテーテルは膀胱と外界を常につなぐため、CAUTI(カテーテル関連尿路感染症)のリスクが常に存在し、浮遊物・混濁・血尿・発熱が初期サインとなります。一方で、蓄尿バッグを頻繁に開放することは逆に感染リスクを高め、男性のカテーテル固定は下腹部(頭側)が原則など、看護師が押さえるべきポイントは多岐にわたります。仙骨部褥瘡を合併した状況設定では、陰部・殿部の洗浄による清潔保持も褥瘡治癒の鍵となります。在宅ケアでは家族が第一発見者となるため、観察すべきサインを具体的かつ継続可能な形で伝えることが、看護師の重要な役割です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん( 88 歳、男性)は、長女( 60 歳、無職)と 2 人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準ランク C2 。仙骨部の褥瘡の治療のため、膀胱留置カテーテルを挿入することになった。 膀胱留置カテーテルを挿入中のAさんを介護する長女に対して、訪問看護師が指導する内容で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。膀胱留置カテーテル挿入中は、膀胱内と体外が常に一本の管でつながるため、細菌が膀胱に侵入するルートが開いた状態となる。カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)の早期発見は在宅ケアで極めて重要で、尿の色調、混濁、浮遊物の有無、血尿、悪臭、発熱などを日々観察することが求められる。家族介護者である長女が日常的に尿の性状を確認できれば、感染兆候に早く気づき医療者へ連絡することができ、重症化を防ぐことにつながる。

選択肢考察

  1. × 1.  「褥瘡が治癒するまでおしりは洗浄しないでください」

    仙骨部褥瘡では排便や排尿による汚染が最大のリスクであり、むしろ陰部・殿部を清潔に保つことが不可欠である。褥瘡部そのものはドレッシング材で保護したうえで、周囲の皮膚はぬるま湯や弱酸性洗浄剤でやさしく洗浄するのが原則で、『洗わない』という指導は褥瘡を悪化させる。

  2. × 2.  「体位変換ごとに蓄尿バッグを空にしてください」

    蓄尿バッグの排液口をむやみに頻繁に開放すると、そのたびに外界の細菌が侵入する機会が増え、逆行性感染のリスクを高める。排液は通常1日1〜2回、あるいはバッグが2/3程度たまったタイミングで行えば十分で、体位変換のたびに実施する必要はない。

  3. × 3.  「カテーテルは太ももに固定してください」

    男性の場合、カテーテルを大腿側へ向けて固定すると陰茎陰嚢角でカテーテルが屈曲し、尿道を圧迫して尿道損傷や瘻孔形成の原因となる。男性では陰茎を頭側に向けて下腹部で固定するのが基本である。加えてAさんはランクC2で自力寝返りも困難なため、自己抜去リスクも低く、固定自体を最小限にする選択も検討される。

  4. 4.  「尿に浮遊物がないか確認してください」

    尿の混濁や浮遊物は尿路感染症の初期サインであり、発熱や血尿と並んで重要な観察項目である。毎日の介護の中で家族が観察できるポイントとしても適切で、異常があれば早期に訪問看護師や主治医へ連絡するよう併せて指導する。

膀胱留置カテーテルの主な合併症は、尿路感染症、カテーテル閉塞、尿道損傷、膀胱結石、膀胱萎縮である。家族への指導ポイントは、①蓄尿バッグは常に膀胱より低い位置に保つ(逆行性感染予防)、②チューブの屈曲・圧迫を避ける、③男性は陰茎を頭側、女性は大腿内側へ固定、④尿量・性状・浮遊物・血尿・発熱の観察、⑤陰部洗浄による清潔保持、の5点にまとめられる。在宅では家族が最前線の観察者となるため、わかりやすく具体的な言葉で伝えることが大切である。

膀胱留置カテーテル管理において、在宅で家族が行うべき観察・ケアの要点を問う問題。尿路感染症の早期発見につながる尿性状の確認が、家族にもできる最も重要な指導内容となる。