皮下埋込みポートで在宅HPN――お風呂もOK、外出もOKのQOLを支える仕組み
看護師国家試験 第109回 午後 第73問 / 地域・在宅看護論 / 在宅療養生活を支える看護
国試問題にチャレンジ
皮下埋込みポートを用いた在宅中心静脈栄養法〈 HPN 〉で適切なのはどれか。
- 1.抜針して入浴することができる。
- 2.24 時間持続する注入には適さない。
- 3.同居の家族がいることが必須条件である。
- 4.外出時に輸液ポンプを使うことはできない。
対話形式の解説
博士
今日は在宅中心静脈栄養法、略してHPNの話じゃ。皮下埋込みポート(CVポート)という装置を使う方法について整理しよう。
サクラ
CVポートって、胸に埋め込むあの装置ですよね。具体的にはどういう構造なんですか?
博士
直径2〜3cm、100円玉くらいのリザーバー本体と、そこから出る細いカテーテルで構成されておる。本体は前胸部や上腕の皮下に埋め込まれ、カテーテルの先端は上大静脈など中心静脈まで届いておる。
サクラ
皮下に完全に埋まっているんですね。どうやって薬を入れるんですか?
博士
ヒューバー針という特殊な針を皮膚越しにポートに穿刺するのじゃ。これはシリコン膜を傷つけずに穿刺できる非コアリング針で、通常の注射針とは形が違う。
サクラ
なるほど。じゃあ抜針したら何も外に出ていない状態になるんですね。
博士
その通りじゃ。だから抜針後は普通に入浴できる。これが選択肢1が正解の理由じゃ。外付けのCVCだと防水カバーが必要じゃが、ポートはその必要がない。
サクラ
24時間持続注入には適さないと書いてありますが、本当ですか?
博士
逆じゃ。中心静脈に留置しておるから高張液でも問題なく投与でき、24時間持続でも静脈炎を起こしにくい。末梢ルートでは絶対に無理な高カロリー輸液もOKじゃ。
サクラ
独居の人でも使えますか?
博士
もちろんじゃ。本人が手技と観察を習得できれば単身生活でもHPNを続けられる。訪問看護師が定期的に穿刺交換や状態観察を行ってサポートする体制が一般的じゃな。
サクラ
外出時はどうするんですか?
博士
携帯型の輸液ポンプがあって、ショルダーバッグに入れて持ち歩ける。持続投与しながら仕事や買い物、旅行までできるのじゃ。HPNはQOLを保ちながら栄養管理するための優れた方法じゃ。
サクラ
合併症で気をつけることはありますか?
博士
感染、カテーテル閉塞、血栓、それからピンチオフ症候群といってカテーテルが鎖骨と第1肋骨に挟まれて断裂することがある。穿刺部の発赤・腫脹、悪寒戦慄、カテーテルの通水不良などは注意サインじゃ。
サクラ
穿刺はいつも医療者が行うんですか?
博士
多くの場合はそうじゃ。週1回程度の頻度で針を入れ替えるのが一般的で、訪問看護師や外来で実施する。穿刺後の固定や消毒の手技は清潔操作の基本じゃな。
サクラ
HPNはどんな患者さんに使われるんですか?
博士
短腸症候群、消化管閉塞、進行がんで経口・経腸栄養ができない場合などじゃ。『在宅で生活しながら栄養を維持する』という患者の尊厳を支える医療として、地域包括ケアの重要な柱となっておる。
POINT
皮下埋込み式ポート(CVポート)は、リザーバー本体を皮下に埋め込みカテーテル先端を中心静脈に留置する完全体内留置型デバイスです。使用時のみヒューバー針を穿刺し、抜針後は皮下構造物のみとなるため入浴・シャワーが可能で、これが外付けCVCにない大きな利点です。中心静脈ルートであり高張液や24時間持続注入にも対応、携帯型ポンプで外出も可能、独居でも本人が管理できれば実施可能と、在宅療養者のQOLを大きく支える特徴を持ちます。短腸症候群や進行がん患者など経口摂取が困難な対象に対し、栄養を維持しながら在宅生活を続けるための重要な治療手段です。CVポートの構造と管理上のポイントは、在宅看護と緩和ケアの実践において必須の知識といえます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:皮下埋込みポートを用いた在宅中心静脈栄養法〈 HPN 〉で適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。皮下埋込み式ポート(CVポート)は、直径2〜3cm程度のリザーバー本体を前胸部などの皮下に埋め込み、カテーテル先端を中心静脈に留置する完全体内留置型デバイスです。使用時のみヒューバー針(専用の非コアリング針)を皮膚越しに穿刺して薬液を注入し、使用後に抜針すれば体外に露出する構造物がなくなるため、創部保護シートなしで入浴やシャワー浴が可能です。これが外付け型中心静脈カテーテル(CVC)と比べた大きな利点です。
選択肢考察
-
○ 1. 抜針して入浴することができる。
ポートは完全に皮下に埋め込まれており、抜針後は皮膚が閉じた状態になるため、通常の入浴・シャワーが可能。QOLを大きく向上させる特徴で、HPN患者が社会生活を継続しやすい。
-
× 2. 24 時間持続する注入には適さない。
中心静脈に留置しているため高濃度輸液が投与でき、24時間持続注入にも適している。むしろ末梢静脈ルートでは静脈炎のため長期持続投与が困難。化学療法や高カロリー輸液の持続投与に広く用いられる。
-
× 3. 同居の家族がいることが必須条件である。
本人が操作・観察・自己管理を習得できれば単身でも実施可能。独居高齢者のHPN症例も少なくない。訪問看護や地域の医療サポートと組み合わせて独居でも安全に継続できる。
-
× 4. 外出時に輸液ポンプを使うことはできない。
バッテリー駆動の携帯型輸液ポンプ(ショルダーバッグに入るサイズ)を使えば持続注入しながら自由に外出可能。PEG付きバッグと組み合わせて仕事や旅行もできる。
CVポートは長期間(数年〜)留置でき、1週間に1回程度の穿刺交換で使用する。合併症としてはポート感染、カテーテル閉塞、カテーテル断裂(ピンチオフ症候群)、血栓形成などがある。穿刺時は必ずヒューバー針(非コアリング針)を使用し、通常の注射針でコア(シリコン片)を削り取ることを防ぐ。在宅で家族や本人が穿刺することは稀で、通常は訪問看護師や外来で医療者が実施。HPN(在宅中心静脈栄養法)は短腸症候群や進行がん患者の栄養維持に重要な手段で、介護保険や医療保険の訪問看護で支援される。
CVポートの特徴と在宅管理の実際を問う問題。体内留置型である利点(入浴可能、QOL高い)と24時間持続投与の適合性を押さえる。
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