在宅の転倒リスクを家屋環境から考える
看護師国家試験 第110回 午前 第64問 / 地域・在宅看護論 / 地域・在宅看護における安全と健康危機管理
国試問題にチャレンジ
筋力低下のある在宅療養者の家屋環境において転倒するリスクが最も高いのはどれか。
- 1.深い浴槽
- 2.段差がない床
- 3.整理整頓された部屋
- 4.足元灯を設置した廊下
対話形式の解説
博士
筋力低下のある在宅療養者にとって最も転倒リスクが高い場所はどこじゃろう
アユム
選択肢は深い浴槽、段差のない床、整理整頓された部屋、足元灯のある廊下ですね
博士
まず高齢者の家庭内事故の発生場所を知っておるかの
アユム
居室、階段、台所、浴室が上位だったと思います。特に浴室は死亡事故につながりやすいですよね
博士
うむ。ヒートショックと転倒・溺水の複合要因じゃ
アユム
深い浴槽は跨ぐときに片脚立位になるし、床は濡れていて滑りやすい。筋力低下があれば踏ん張れませんね
博士
そのとおり。浴槽縁の高さが40cmを超えると危険度が跳ね上がるのじゃ
アユム
段差のない床はバリアフリーで安全ですよね
博士
基本はそうじゃが、敷物の端やコード類は躓きの種になるので固定や撤去を忘れずにな
アユム
整理整頓された部屋も安全側の環境ですね
博士
床上に物がないのは歩行空間の確保で極めて重要じゃ
アユム
足元灯は夜間のトイレ歩行で視認性を確保しますよね
博士
夜間の暗闇は高齢者の大敵じゃ。足元灯は転倒リスクを下げる工夫として推奨されておる
アユム
消去法でも残るのは深い浴槽ですね
博士
うむ。対策としては浴槽の縁を下げるか、手すり、滑り止めマット、バスボードで座って入る方式への変更じゃ
アユム
介護保険の住宅改修費支給対象になる項目ですね
博士
そのとおり。手すり設置、段差解消、滑り防止床材、引き戸化、洋式便器化の5項目じゃ
アユム
アセスメントでは本人の筋力だけでなく環境要因もしっかり見ることが大切ですね
POINT
在宅療養者の転倒予防では、筋力や平衡機能の低下という本人要因に加え環境要因の評価が不可欠です。濡れて滑りやすい浴室と跨ぎ動作を要する深い浴槽は最もリスクが高く、溺水事故にも直結します。段差解消、整理整頓、足元灯は転倒予防に有効な環境整備であり、介護保険の住宅改修費も活用して危険箇所を減らしていくことが重要です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:筋力低下のある在宅療養者の家屋環境において転倒するリスクが最も高いのはどれか。
解説:正解は1「深い浴槽」です。浴室は濡れて滑りやすく、深い浴槽は跨ぐ動作で片脚立位となりバランスを崩しやすい環境です。筋力低下があると片脚支持で踏ん張れず、転倒・溺水のリスクが最も高まります。
選択肢考察
-
○ 1. 深い浴槽
跨ぎ動作で瞬間的に片脚立位となり、濡れた床面との組み合わせで転倒リスクが跳ね上がります。浴槽縁の高さが40cmを超えるほど危険性が増し、溺水事故にも直結するため、浅い浴槽・手すり・滑り止めマット・バスボードの導入が推奨されます。
-
× 2. 段差がない床
段差がない床は躓きの要因を減らすバリアフリー環境で、転倒予防に有利です。ただしカーペットの縁や敷物の端は小さな段差となるため固定や撤去が必要です。
-
× 3. 整理整頓された部屋
床上に物がないことで躓きや引っ掛かりを防げ、歩行スペースが確保されます。転倒リスクはむしろ低く、在宅療養環境整備の基本です。
-
× 4. 足元灯を設置した廊下
夜間のトイレ移動などで足元を照らすことで視認性が確保され、高齢者の転倒リスクを下げる工夫です。むしろ推奨される環境整備です。
高齢者の家庭内事故発生場所は居室・階段に次いで浴室・台所が上位で、浴室での死亡事故はヒートショックと転倒・溺水が大半を占めます。住宅改修では手すり設置、段差解消、滑り防止床材、引き戸化、洋式便器化が介護保険の対象です。
家屋環境ごとの転倒リスクを比較し、高リスク要因を判別する力を問う問題です。
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