在宅人工呼吸器装着児の家族指導
看護師国家試験 第103回 午後 第115問 / 地域・在宅看護論 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(2歳4か月、女児)は、母と会社員の父と3人で暮らしている。Aちゃんは、脳性麻痺で寝たきりのため全介助で在宅療養をしていた。3か月前に、誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を発症して緊急入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。現在、呼吸状態は安定しているが、啼泣時に気道閉塞があるため、夜間のみ人工呼吸器で呼吸管理を継続することになった。Aちゃんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)を所持している。 Aちゃんの家族に必要な人工呼吸器による呼吸管理の指導の内容について適切なのはどれか。
- 1.アラーム音は即座に消音する。
- 2.人工呼吸器の設定は変更してもよい。
- 3.加湿器の滅菌蒸留水は2日ごとに交換する。
- 4.気管カニューレ抜去時は新しいものを挿入する。
対話形式の解説
博士
Aちゃんは脳性麻痺で寝たきりじゃが、誤嚥性肺炎で気管切開・人工呼吸器装着となり、夜間のみ人工呼吸器使用で自宅退院予定じゃ。
サクラ
2歳4か月のお子さんを在宅で人工呼吸器管理するなんて、ご家族は大変ですね。
博士
そうじゃ。だからこそ家族指導が安全の鍵を握るんじゃよ。
サクラ
4つの選択肢で正しい指導はどれですか。
博士
正解は4の『気管カニューレ抜去時は新しいものを挿入する』じゃ。
サクラ
抜けたカニューレは再使用してはいけないんですね。
博士
そう、抜けた瞬間に外気と分泌物で汚染されておる。再挿入すれば感染源を肺に入れるようなものじゃ。予備カニューレを必ず常備しておく。
サクラ
1のアラーム音を即座に消音は。
博士
アラームは換気不全や回路外れなどの重要徴候じゃ。即時消音すると原因不明のまま命に関わる事態を見逃すおそれがある。
サクラ
2の人工呼吸器の設定変更は。
博士
設定は医師が体重や肺の状態をもとに緻密に決めておるから、家族が変えれば換気量不足や圧損傷で命に関わる。
サクラ
3の加湿器の滅菌蒸留水を2日ごとはどうですか。
博士
加温された水は細菌増殖の温床じゃから、感染防止の原則は毎日交換じゃ。
サクラ
どれも命に直結する内容なんですね。
博士
そうじゃ。停電対策や緊急時連絡先まで含めて、家族が安心できるまで繰り返し指導することが大切なんじゃよ。
POINT
在宅人工呼吸器管理では、気管カニューレ抜去時は必ず新しい予備を挿入する。アラームは原因確認が先で即時消音はNG。設定変更は医師の指示なしには行わず、加湿器水は毎日交換が原則。家族の手技定着まで反復指導が不可欠である。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aちゃん(2歳4か月、女児)は、母と会社員の父と3人で暮らしている。Aちゃんは、脳性麻痺で寝たきりのため全介助で在宅療養をしていた。3か月前に、誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を発症して緊急入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。現在、呼吸状態は安定しているが、啼泣時に気道閉塞があるため、夜間のみ人工呼吸器で呼吸管理を継続することになった。Aちゃんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)を所持している。 Aちゃんの家族に必要な人工呼吸器による呼吸管理の指導の内容について適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。気管カニューレが事故抜去された場合、再挿入には『新しい(未使用の)カニューレ』を用いることが原則です。抜けたカニューレは外気に触れて汚染しているうえ、分泌物や血液が付着しているため再挿入は感染源となります。在宅人工呼吸療法では家族が自分で再挿入できるよう、予備のカニューレを常備しておき、抜去時の対応手順を退院前に十分に指導しておく必要があります。
選択肢考察
-
× 1. アラーム音は即座に消音する。
アラームは換気不全等の重要徴候を知らせるため、まず原因確認が先で、即時消音は重大事故を見逃す危険があります。
-
× 2. 人工呼吸器の設定は変更してもよい。
設定は医師が患児に合わせて緻密に決めており、家族が独自に変更すると換気量不足や圧損傷で生命に関わります。
-
× 3. 加湿器の滅菌蒸留水は2日ごとに交換する。
加温された加湿水は細菌増殖の温床となるため、感染防止の観点から原則として毎日交換します。
-
○ 4. 気管カニューレ抜去時は新しいものを挿入する。
抜去されたカニューレは汚染しているため再使用は感染リスクがあり、必ず未使用の予備カニューレを挿入します。
在宅人工呼吸療法の家族指導では、回路の組み立て・吸引・カニューレ管理・アラーム対応・停電対策(バッテリー、外部電源、自家用車のシガーソケット利用など)・緊急時連絡先を含めて、家族が安心できるレベルまで反復練習することが重要です。
在宅人工呼吸器使用児の家族に対する気管カニューレ管理および機器管理の正しい指導内容を問う問題です。
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