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停電時の在宅人工呼吸器対応を学ぼう

看護師国家試験 第104回 午前 第116問 / 地域・在宅看護論 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

104回 午前 第116問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(14歳、男子、中学生)は、両親と弟(7歳)との4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)で2年前に誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。Aさんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。Aさんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。 退院後1週。夜間に落雷による停電が起こった。Aさんの父親から「まだ停電は続いていますが人工呼吸器は動いています。私は今から何をすればいいでしょうか」と慌てた様子で訪問看護師に電話があった。この時点の訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.「救急車で病院に行きましょう」
  2. 2.「主治医に連絡をとりましょう」
  3. 3.「用手換気に切り替えましょう」
  4. 4.「主電源を外部バッテリーに切り替えましょう」

対話形式の解説

博士 博士

104回午前116問じゃ。退院1週目のAさん宅で落雷停電、父親からの電話に訪問看護師は何と答えるべきか。

アユム アユム

呼吸器はまだ動いているとのことですから、緊急性は高くないように見えますね。

博士 博士

じゃが、内蔵バッテリーは数時間で切れるからの。動いている今のうちに手を打たねばならん。

アユム アユム

選択肢を検討します。1の救急車要請は?

博士 博士

どうじゃ?

アユム アユム

状態が安定しているのに救急車を呼ぶと、本当に必要な人の搬送を遅らせます。災害下では特に避けるべきですね。

博士 博士

ご名答。2の主治医に連絡は?

アユム アユム

まず電源確保が先で、医師連絡は状態変化が起きた時で十分だと思います。

博士 博士

さよう。3の用手換気はどうじゃ?

アユム アユム

これは呼吸器が止まった時の最終手段ですね。動いている今は不要です。

博士 博士

ようできた。残るは4の外部バッテリーへの切り替えじゃな。

アユム アユム

内蔵バッテリーが切れる前に外部バッテリーに繋ぎ替えれば、停電が長引いても呼吸器を動かし続けられますね。

博士 博士

さよう。在宅人工呼吸器の三種の神器、内蔵バッテリー・外部バッテリー・蘇生バッグを忘れちゃいかん。

アユム アユム

電力会社への医療機器登録や自治体の要援護者登録もしておくと安心ですね。

博士 博士

停電手順書を冷蔵庫など見える場所に貼り、家族で訓練しておくのも大切じゃ。

アユム アユム

Aさんが安心して在宅生活を続けられるよう、平時からの備えを徹底したいです。

POINT

在宅人工呼吸器使用中の停電は命に直結する場面ですが、焦って救急要請や用手換気に飛びつかず、まず外部バッテリーへ切り替えて電源を確保するのが鉄則です。本問の正解は4で、内蔵バッテリーが残っている今のうちに行動することが鍵です。電力会社や自治体への事前登録、停電手順書の整備など、平時の備えが在宅療養の安全を支えます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(14歳、男子、中学生)は、両親と弟(7歳)との4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)で2年前に誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。Aさんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。Aさんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。 退院後1週。夜間に落雷による停電が起こった。Aさんの父親から「まだ停電は続いていますが人工呼吸器は動いています。私は今から何をすればいいでしょうか」と慌てた様子で訪問看護師に電話があった。この時点の訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は4です。停電中で内蔵バッテリーが消費されていく状況のため、機器が動いている今のうちに外部バッテリーへ切り替えて電源を確保することが最優先です。Aさんの状態は安定しているため、まず電源確保を行い、その後の経過に応じた対応に移行します。

選択肢考察

  1. × 1.  「救急車で病院に行きましょう」

    現時点でAさんの呼吸状態は人工呼吸器が動いて維持されており、急変の情報もありません。災害下の救急車要請は本当に必要な人の搬送を遅らせるおそれもあり、まず在宅での電源確保を優先すべきです。

  2. × 2.  「主治医に連絡をとりましょう」

    主治医への連絡は病状の変化や治療判断が必要な場面で意味を持ちます。呼吸器が稼働中の今、最初に行うべきは電源確保で、医師への連絡はその後にAさんの状態変化や復電の見込みに応じて検討します。

  3. × 3.  「用手換気に切り替えましょう」

    用手換気(蘇生バッグ)は内蔵・外部バッテリーが切れて呼吸器が停止した場合の最終手段です。呼吸器が動いている段階で切り替える必要はなく、家族の負担を増やすだけになります。

  4. 4.  「主電源を外部バッテリーに切り替えましょう」

    停電時は内蔵バッテリーが先に消費されるため、まだ機器が動いている今のうちに外部バッテリーへ切り替え、停電が長引いた際の停止リスクを減らすことが最優先です。並行して復電や追加バッテリーの手配など次の対応を考えていきます。

在宅人工呼吸器療法では、契約時に内蔵バッテリー・外部バッテリー・蘇生バッグの3点と緊急連絡先を必ず確認します。電力会社への医療機器使用登録、自治体の災害時要援護者登録、自家発電装置の検討も重要です。家族には停電の手順書を見える場所に掲示し、定期的に避難訓練を行うよう指導します。

在宅人工呼吸器使用中の停電発生時に、外部バッテリーへの切り替えが優先される対応であることを理解しているかを問う問題です。