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在宅重症児のインフルエンザ対策を学ぼう

看護師国家試験 第104回 午前 第117問 / 地域・在宅看護論 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

104回 午前 第117問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(14歳、男子、中学生)は、両親と弟(7歳)との4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)で2年前に誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。Aさんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。Aさんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。 退院後6か月。Aさんは特別支援学校に通学している。弟の小学校でインフルエンザが例年より早い時期から流行し始めた。弟はインフルエンザの予防接種を受けていた。Aさんの母親は「Aにインフルエンザがうつらないか心配です」と訪問看護師に話した。母親への訪問看護師の助言として最も適切なのはどれか。

  1. 1.「Aさんを隔離しましょう」
  2. 2.「ショートステイを利用してみましょう」
  3. 3.「予防接種について主治医に相談してみましょう」
  4. 4.「弟さんは予防接種を受けているのでAさんにはうつりませんよ」

対話形式の解説

博士 博士

104回午前117問じゃ。退院6か月のAさん、弟の小学校でインフルエンザが流行し母親が不安を訴えておる。

サクラ サクラ

Aさんは呼吸機能が低下している分、感染すると重症化が心配ですね。

博士 博士

さよう、命に直結する。選択肢を見ていくぞ。1のAさんを隔離は?

サクラ サクラ

まだ家族の発症はないので隔離の根拠が弱いですし、Aさんは通学を楽しみにしていますから生活を制限するのは不適切です。

博士 博士

ようできた。2のショートステイ利用は?

サクラ サクラ

ショートステイは介護負担軽減が主目的ですし、施設で別の感染にさらされる可能性もあります。

博士 博士

ご名答。4の弟が接種済みだから大丈夫と伝えるのは?

サクラ サクラ

ワクチンは発症や重症化を抑えるだけで感染を完全には防げません。誤った安心は危険です。

博士 博士

さよう。残るは3の主治医に予防接種を相談じゃな。

サクラ サクラ

設問にはAさんの接種歴が書かれていないので、まず接種可能か主治医に確認するのが筋ですね。

博士 博士

デュシェンヌ型筋ジスでは原疾患の状態で接種時期を見極める必要があるからの。

サクラ サクラ

同居家族全員の接種、手洗い、うがい、マスク、換気、タオル分けなど基本予防も合わせてお伝えしたいです。

博士 博士

学校での感染情報も訪問看護師が共有し、早期受診の目安を伝えておくと安心じゃ。

サクラ サクラ

母親の不安に共感しつつ、具体的な行動を一緒に考えるのが大切ですね。

博士 博士

Aさんの「友達に会いたい」気持ちを守りつつ、感染症から身を守る支援を行うのじゃぞ。

POINT

重症心身障害児の在宅生活では、インフルエンザなどの呼吸器感染症が致命的になり得るため、本人と同居家族のワクチン接種が予防の柱となります。本問の正解は3で、Aさんの予防接種について主治医に相談するよう助言します。隔離やショートステイは過剰な対応で、ワクチン済みなら大丈夫という説明は誤った安心を与えます。家族全員での基本感染対策と早期受診の目安を併せて指導しましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(14歳、男子、中学生)は、両親と弟(7歳)との4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)で2年前に誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を繰り返し、経鼻経管栄養法と在宅酸素療法とを開始した。その後、呼吸障害が進行し、非侵襲的陽圧換気による呼吸管理目的で入院した。Aさんは「特別支援学校に戻って友達に会いたい。夜に使うマスクに早く慣れたい」と訴えた。Aさんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。 退院後6か月。Aさんは特別支援学校に通学している。弟の小学校でインフルエンザが例年より早い時期から流行し始めた。弟はインフルエンザの予防接種を受けていた。Aさんの母親は「Aにインフルエンザがうつらないか心配です」と訪問看護師に話した。母親への訪問看護師の助言として最も適切なのはどれか。

解説:正解は3です。Aさんは呼吸機能が低下した重症心身障害状態で、インフルエンザは重症化リスクが高いため、Aさん自身の予防接種が可能か主治医に相談するよう助言するのが最も適切です。

選択肢考察

  1. × 1.  「Aさんを隔離しましょう」

    現時点で家族にインフルエンザの発症はなく、隔離する根拠がありません。Aさんは「友達に会いたい」と通学を心待ちにしていることもあり、生活の質を下げる助言は適切ではありません。

  2. × 2.  「ショートステイを利用してみましょう」

    ショートステイは家族の介護負担軽減や緊急時の代替支援が主な目的で、感染予防のためだけに利用するのは適応がずれます。むしろ施設で別の感染リスクに曝露される可能性もあり、優先度は低いといえます。

  3. 3.  「予防接種について主治医に相談してみましょう」

    Aさんは肢体不自由1級・呼吸障害ありのハイリスク患者で、インフルエンザ罹患は致命的になり得ます。設問にAさんの予防接種歴の記載はないため、主治医に接種可否や時期を相談することは、最も実効性が高く根拠ある感染予防策です。

  4. × 4.  「弟さんは予防接種を受けているのでAさんにはうつりませんよ」

    インフルエンザワクチンは発症や重症化を抑える効果はありますが、感染や他者への伝播を完全に防ぐものではありません。誤った安心感を与える助言は、家庭内感染対策の手抜かりにつながり不適切です。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは呼吸器感染で容易に重症化するため、本人と同居家族のワクチン接種、手洗い・うがい・マスク・換気・タオル分けなどの基本予防が重要です。インフルエンザワクチンは生後6か月以上で接種可能ですが、原疾患や治療内容により時期や方法が異なるため、主治医との相談が前提となります。

重症児へのインフルエンザ対策で、本人の予防接種を主治医と相談する助言が最優先となることを理解しているかを問う問題です。