在宅NPPV、家族にどう伝える
看護師国家試験 第113回 午後 第115問 / 地域・在宅看護論 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(14歳、男子、特別支援学校の中学生)はDchenneu<デュシェンヌ>型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)で両親、弟(7歳)と2階建ての家に4人で暮らしている。呼吸障害が進行したため非侵襲的陽圧換気療法を導入する目的で入院した。Aさんの呼吸状態は安定し、両親に対するバッグバルブマスクによる用手換気の指導が終了したため、自宅に退院し訪問看護を毎日利用して療養生活を続けることになった。両親は「日常の呼吸管理について退院後に対応できるか心配です」と病棟の看護師に話した。 Aさんの両親に対する看護師の指導で適切なのはどれか。
- 1.息苦しいときは非侵襲的陽圧換気の吸気圧を上げる。
- 2.人工呼吸器が動かないときはすぐに救急車を要請する。
- 3.人工呼吸器が過剰送気を示すときは回路が外れていないか確認する。
- 4.マスクの周囲から空気が漏れるときはマスクのベルトをきつく締める。
対話形式の解説
博士
Aさんは14歳のデュシェンヌ型で、NPPVを導入して退院じゃ。ご両親は「対応できるか心配」と不安を抱えておる
サクラ
日常の呼吸管理で家族にできることと、医療者に任せることを区別する必要がありますね
博士
その通り。まず息苦しい時の吸気圧を上げるのはどうじゃ
サクラ
設定変更は医師の指示が必要です。家族の自己判断は危険ですね
博士
うむ、原因評価をせずに圧だけ上げても解決にならん
サクラ
人工呼吸器が動かないときの救急車要請は
博士
第一対応は何じゃ
サクラ
バッグバルブマスクによる用手換気です。換気を止めないことが最優先ですね
博士
正解じゃ。ご両親は用手換気の指導を受けておるから、まず換気を確保しつつ訪問看護師や業者に連絡する
サクラ
過剰送気の時は回路確認というのは
博士
これが正解じゃ。過剰送気やリーク警報は回路の外れ、接続不良、マスクからの漏れが原因で最も多い
サクラ
家族が安全に確認できる範囲ですね
博士
そうじゃ。空気漏れ時にベルトをきつく締めるのは
サクラ
皮膚損傷や褥瘡の原因になります。マスクのサイズやフィッティングを見直すのが先ですね
博士
その通り。クッション材やヘッドギアの角度調整を優先するのじゃ
サクラ
家族への指導は、できることと医療者に任せることの線引きが重要ですね
博士
うむ、そして訪問看護が毎日入ることを前提に連絡体制を明確にしておく
サクラ
いざという時の判断フローを紙に書いて渡すと安心につながりそうです
博士
良い考えじゃ。不安は知識と練習で軽減される
サクラ
ご両親の「心配」に具体的な備えで応えていきたいと思います
POINT
NPPV在宅管理の家族指導では、観察・回路管理・用手換気・連絡体制・設定変更の扱いの5点が柱です。設定変更やベルト過締めなど、家族の自己判断で行うべきでない内容と、回路確認や用手換気など家族が担うべき内容を明確に区別する必要があります。過剰送気は回路リークが主因で、家族が安全に確認できる重要な初期対応です。訪問看護との連絡体制を明示し、不安に具体的な備えで応えることが在宅移行を支えます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(14歳、男子、特別支援学校の中学生)はDchenneu<デュシェンヌ>型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy)で両親、弟(7歳)と2階建ての家に4人で暮らしている。呼吸障害が進行したため非侵襲的陽圧換気療法を導入する目的で入院した。Aさんの呼吸状態は安定し、両親に対するバッグバルブマスクによる用手換気の指導が終了したため、自宅に退院し訪問看護を毎日利用して療養生活を続けることになった。両親は「日常の呼吸管理について退院後に対応できるか心配です」と病棟の看護師に話した。 Aさんの両親に対する看護師の指導で適切なのはどれか。
解説:正解は 3 です。NPPVで過剰送気が表示されるときは、回路のリーク(外れ・緩み・亀裂)が最も多い原因です。回路接続を確認する行動は家族でも安全にでき、かつ重要な初期対応であるため、在宅療養の指導項目として適切です。
選択肢考察
-
× 1. 息苦しいときは非侵襲的陽圧換気の吸気圧を上げる。
吸気圧などの設定変更は医師の指示に基づき行うもので、家族が自己判断で変更するのは危険です。息苦しさの原因評価が先行しなければ状態悪化を招きかねません。
-
× 2. 人工呼吸器が動かないときはすぐに救急車を要請する。
人工呼吸器停止時の第一対応はバッグバルブマスクによる用手換気の確保です。家族は用手換気の指導を受けており、換気を続けながら訪問看護師や業者に連絡することが基本です。
-
○ 3. 人工呼吸器が過剰送気を示すときは回路が外れていないか確認する。
過剰送気・リーク警報は回路の外れや接続不良、マスクからの漏れが原因であることが多く、回路確認は家族が安全に行える最も基本的な対応です。
-
× 4. マスクの周囲から空気が漏れるときはマスクのベルトをきつく締める。
ベルトの過度の締めつけは皮膚損傷や褥瘡を招きます。マスクサイズ・フィッティングの見直しやクッション材の調整が原則で、締めつけ強化は誤った対応です。
NPPV在宅管理で家族に指導する要点は、1)呼吸状態の観察、2)回路・マスクの管理、3)機器停止時のバッグバルブマスクによる用手換気、4)連絡体制の確認、5)設定変更は医療者の判断で行うこと、の5点です。マスクフィッティング不良は皮膚トラブルの原因となるため、クッション材やヘッドギアの角度調整を優先します。
NPPV在宅管理における家族指導の適切性を、安全性と自己判断の範囲から評価できるかが問われています。
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