成人採血の第一選択血管を徹底理解
看護師国家試験 第108回 午前 第21問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
成人の採血検査で最も用いられるのはどれか。
- 1.外頸静脈
- 2.大静脈
- 3.大伏在静脈
- 4.肘正中皮静脈
対話形式の解説
博士
じゃあ今日は静脈採血の話じゃな。新人ナースが最初に覚えるべき血管はどこじゃろう?
サクラ
博士、採血といえば肘のあたりですよね!よくゴムで腕を縛ってから刺しているイメージがあります。
博士
その通りじゃ。成人で最も用いられるのは肘正中皮静脈で、橈側皮静脈と尺側皮静脈を結ぶように走る太くて弾力のある皮静脈なんじゃ。
サクラ
なぜ肘なんですか?他の場所ではだめなんでしょうか。
博士
肘正中皮静脈は体表から見えやすく触れやすい上に、近くに大きな動脈や神経が少ないから安全性が高いんじゃよ。選択肢を順に見ていこう。
サクラ
まず1の外頸静脈はどうですか?
博士
首の静脈で、末梢がどうしても取れない時に医師が使うことはあるが、気道や頸動脈が近く危険なので通常は選ばれないんじゃ。
サクラ
2の大静脈はどうでしょう?
博士
大静脈は体の深部を走る太い血管じゃ。体表から穿刺できず、中心静脈カテーテル経由以外では採血不可能じゃな。
サクラ
3の大伏在静脈は足にある血管ですよね?
博士
そう、下肢内側を上行する皮静脈じゃ。下肢は深部静脈血栓症のリスクや歩行時の内出血・疼痛が問題になるため避けるんじゃ。
サクラ
なるほど、だから残った4の肘正中皮静脈が正解になるんですね。
博士
その通り。採血困難な時は前腕の橈側皮静脈や手背静脈も選択肢になるが、第一選択はあくまで肘正中皮静脈と覚えておくとよい。
サクラ
駆血帯の時間や穿刺角度にも注意点があると聞きました。
博士
駆血帯は1〜2分以内、穿刺角度は15〜20度、シャント側や麻痺側は避けるのが鉄則じゃよ。
POINT
成人の静脈採血では、視認・触知が容易で太く弾力があり動脈神経の損傷リスクが低い肘正中皮静脈が第一選択です。外頸静脈・大静脈・大伏在静脈はいずれも解剖学的・安全性の理由から通常採血には用いません。駆血帯は1〜2分以内に留め、刺入角度は15〜20度が目安で、シャント側・麻痺側・乳房切除側は避けます。穿刺困難時は橈側皮静脈や尺側皮静脈、手背静脈を第二選択として考慮します。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:成人の採血検査で最も用いられるのはどれか。
解説:正解は 4 です。成人の静脈採血では、皮膚表面から観察・触知しやすく、比較的太く弾力性があり、近接する主要動脈や神経が少ない肘正中皮静脈が第一選択となります。肘窩には橈側皮静脈と尺側皮静脈をつなぐ形で肘正中皮静脈が走行しており、刺入時の安全性・成功率が高いことから臨床で最も頻用されます。静脈は動脈より内圧が低く血流も緩やかで、止血も容易なため採血に適しています。
選択肢考察
-
× 1. 外頸静脈
頸部を走行する静脈で、末梢静脈確保が困難な場合にまれに医師が使用することはありますが、気道や頸動脈に近接し安全性が低いため、通常の採血では選択されません。
-
× 2. 大静脈
上大静脈・下大静脈は体幹深部を走行する太い静脈で、体表から穿刺不可能です。中心静脈カテーテルを介して採血されることはありますが、通常の採血部位ではありません。
-
× 3. 大伏在静脈
下肢内側を上行する皮静脈で、下肢は深部静脈血栓症のリスクや歩行による内出血・疼痛の懸念があるため、採血部位としては避けられます。
-
○ 4. 肘正中皮静脈
肘窩で橈側皮静脈と尺側皮静脈をつなぐ太い皮静脈で、視認・触知しやすく動脈や神経の損傷リスクも比較的低いため、成人の採血で最も頻用されます。
採血前には駆血帯を心臓より10cm程度中枢側に巻き、1〜2分以内に留めて神経障害や溶血を防ぎます。穿刺角度は15〜20度が目安で、刺入後は2分以上の圧迫止血を行います。抗凝固薬内服中や透析シャント側、麻痺側、乳房切除側の上肢は採血を避ける原則があります。
成人の静脈採血で第一選択となる血管名を問う必修問題であり、肘窩の表在静脈の解剖と選択理由を押さえることが鍵です。
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