陰部洗浄の適温はここ!粘膜を守る温度管理
看護師国家試験 第109回 午前 第17問 / 必修問題 / 日常生活援助技術
国試問題にチャレンジ
陰部洗浄に使用する湯の温度で最も適切なのはどれか。
- 1.30 ~ 31 ℃
- 2.34 ~ 35 ℃
- 3.38 ~ 39 ℃
- 4.42 ~ 43 ℃
対話形式の解説
博士
今回は陰部洗浄の温度について学ぶぞ。看護技術の基本じゃが、清拭や入浴との違いで混乱しやすいポイントじゃ。
サクラ
陰部洗浄のお湯って、何度くらいがいいんですか?
博士
正解は38~39℃の微温湯じゃ。体温よりほんの少し高いくらいの温度じゃな。
サクラ
なぜその温度なんですか?
博士
陰部は皮膚ではなく粘膜を洗浄する部位じゃ。粘膜は皮膚よりも熱に弱く、熱傷のリスクが高い。しかし低すぎると冷感で不快になる。そのバランスが38~39℃なのじゃ。
サクラ
清拭のお湯は50~55℃と習いましたが、違うんですね。
博士
よく覚えておる!清拭のお湯は看護師がタオルを絞れて、絞ったときに50℃前後まで下がって患者の皮膚に当てられるよう、高めに準備するのじゃ。陰部洗浄は直接湯をかけるから温度が下がらん、だから最初から低めにする必要があるのじゃ。
サクラ
入浴の温度はどうですか?
博士
一般的に40~43℃が入浴適温じゃ。これも陰部洗浄より高い。入浴は全身の血行促進も目的にしておるからじゃな。
サクラ
陰部洗浄の手順も教えてください。
博士
まずプライバシー保護、次に不必要な露出を避けてバスタオルで覆う。防水シーツで寝具を保護し、38~39℃の微温湯をかけながら泡立てた石鹸で洗浄するのじゃ。
サクラ
洗う順番にも決まりがあるんですか?
博士
女性は尿路感染予防のため『前から後ろ』、つまり尿道口→膣口→肛門の順じゃ。男性は尿道口→亀頭→陰嚢→陰嚢の裏→鼠径部→肛門、と進めていく。
サクラ
なぜその順番なんですか?
博士
肛門周囲には大腸菌などの常在菌がおるから、そこから尿道口へ向かって拭くと尿路感染を起こしてしまう。清潔→不潔の方向、という感染予防の原則を守るのじゃ。
サクラ
洗浄後のケアは何をしますか?
博士
十分に石鹸を洗い流した後、柔らかいタオルで優しく押さえ拭きする。擦ると皮膚を傷つけるからな。その後、新しいオムツや下着を当て、寝衣を整える。
サクラ
温度確認はどうやるんですか?
博士
湯をかける直前に、看護師の前腕内側で温度を確認し、さらに患者に『熱くないですか』と声かけして確認するのじゃ。温度は準備から使用までの間に下がりやすいから、必ず直前確認が鉄則じゃぞ。
サクラ
38~39℃という数字だけでなく、粘膜保護という根拠と合わせて覚えられました。
POINT
陰部洗浄に使用する湯の温度は38~39℃の微温湯が適切で、これは熱に弱い粘膜を保護しつつ、冷感を与えない絶妙な温度帯です。同じ清潔ケアでも清拭は50~55℃(絞ってから皮膚に当てる)、入浴は40~43℃と区別して覚える必要があります。洗浄順序は感染予防の観点から『清潔部位→不潔部位』、つまり尿道口から肛門へ向かう順が原則で、女性では特に尿路感染予防が重要です。温度確認は看護師の前腕内側と患者の声掛けの両方で行い、患者の尊厳とプライバシーに配慮した丁寧な援助が看護の基本となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:陰部洗浄に使用する湯の温度で最も適切なのはどれか。
解説:正解は 3 です。陰部洗浄では、皮膚よりも熱に弱い粘膜(尿道口、陰核、陰唇、亀頭など)を洗浄するため、湯の温度は体温よりやや高い38~39℃の微温湯が最も適切です。これは入浴時の温度(40~43℃)よりも低く、冷たさによる不快感を与えず、かつ粘膜を熱傷から守ることができる温度帯です。患者に湯をかける前には、看護師の前腕内側で温度を確認し、『熱くないですか』と声かけして患者の感覚でも確認することが重要です。
選択肢考察
-
× 1. 30 ~ 31 ℃
体温より低く、患者に冷感と不快感を与えるだけでなく、保温効果が得られず体温低下の原因にもなる。
-
× 2. 34 ~ 35 ℃
体温をやや下回る温度でぬるく感じられ、快適な洗浄には適さない。陰部の血液循環を促す効果も弱い。
-
○ 3. 38 ~ 39 ℃
粘膜に刺激を与えず、冷感も与えない微温湯として最適。陰部の清潔保持と患者の安楽の両立に適した温度である。
-
× 4. 42 ~ 43 ℃
入浴湯としては適温だが、粘膜は熱に弱く、熱傷のリスクがある。また高温すぎると皮脂を過剰に除去してしまう。
陰部洗浄はオムツ使用患者・留置カテーテル挿入患者・分娩後の産婦・術後患者などで実施する。女性は尿路感染を防ぐため尿道口→膣口→肛門の順(前から後ろへ)に、男性は尿道口→亀頭→陰嚢→陰嚢の裏側→鼠径部→肛門の順に洗浄する。同じ部位を2度拭きせず、清潔な面を使うのが原則。湯を準備する際は、バケツや洗浄ボトル内で湯温が下がりやすいため、使用直前に温度確認する。清拭用の湯は50~55℃が目安で、陰部洗浄より高温であることも区別して覚えておくとよい。
粘膜を洗浄する陰部洗浄の適温(38~39℃)を問う必修問題。清拭(50~55℃)や入浴(40~43℃)との温度の違いを整理しておくことがポイント。
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