絶対的医行為と相対的医行為
看護師国家試験 第105回 午後 第5問 / 必修問題 / 看護における倫理と法律
国試問題にチャレンジ
医師の指示がある場合でも看護師に禁止されている業務はどれか。
- 1.静脈内注射
- 2.診断書の交付
- 3.末梢静脈路の確保
- 4.人工呼吸器の設定の変更
対話形式の解説
博士
今日は看護師の業務範囲の問題じゃ。法律の問題は必修頻出じゃぞ。
サクラ
看護師の業務って、具体的にどう決まっているんですか?
博士
保助看法第5条で『療養上の世話』と『診療の補助』の2つと規定されておる。診療の補助は医師の指示下で医行為を行うもので、これを『相対的医行為』というのじゃ。
サクラ
対して医師しかできない行為もあるんですね。
博士
その通り。診断、処方、手術、診断書交付などは『絶対的医行為』で、医師の指示があっても看護師はできんのじゃ。
サクラ
選択肢を見ると、正解は2の診断書の交付ですね。
博士
正解。診断書は医師法第19条第2項で『診察をした医師が交付する』と定められた絶対的医行為じゃ。事務職員が医師の確認・署名を前提に記載を代行することは可能じゃが、看護師の診療の補助には含まれん。
サクラ
1の静脈内注射はどうですか?
博士
これは昔は看護師には禁止されていると解釈されておったが、2002年の厚労省通知で医師の指示下の診療の補助として明確に認められたのじゃ。
サクラ
3の末梢静脈路の確保は日常的に行いますよね。
博士
そう、留置針による点滴ライン確保は医師の指示下で看護師が実施する代表的な診療の補助じゃ。
サクラ
4の人工呼吸器の設定変更は?
博士
これも医師の指示があれば可能じゃ。さらに2015年から始まった特定行為研修制度では、研修を修了した看護師が手順書に基づく包括的指示で実施できる行為の一つになっておる。
サクラ
特定行為研修って何ですか?
博士
38行為21区分について、研修修了の看護師が医師の手順書で実施できる制度じゃ。人工呼吸器設定変更、抗菌薬投与、気管カニューレ交換などが含まれ、医師不在時も迅速な対応ができる。
サクラ
絶対的医行為を他にも教えてください。
博士
診断、処方箋交付、手術、麻酔、死亡診断書作成、医師法で定められた『医業』全般じゃ。これらは医師免許がないとできん。
サクラ
看護記録は看護師が作りますよね。
博士
もちろんじゃ。看護記録、看護サマリー、看護計画は看護師独自の記録物じゃ。診断書と混同せぬようにな。
POINT
診断書交付は医師法上の絶対的医行為で、医師の指示があっても看護師は行えません。静脈内注射、末梢静脈路確保、人工呼吸器設定変更は医師の指示下で可能な診療の補助です。特定行為研修制度により看護師の業務範囲は拡大していますが、絶対的医行為は依然として医師のみです。業務範囲の法的根拠を正しく理解することは安全な医療提供の基礎です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:医師の指示がある場合でも看護師に禁止されている業務はどれか。
解説:正解は 2 です。診断書の交付は医師法第19条第2項により診察した医師のみが行える業務で、看護師は医師の指示があっても作成・交付はできません(事務職員が医師の確認・署名を前提に記載を代行することは可能)。看護師の業務は保健師助産師看護師法(保助看法)第5条で『療養上の世話』と『診療の補助』と定められ、医師の指示下で静脈注射や気管挿管など多くの医行為が『診療の補助』として可能とされています。
選択肢考察
-
× 1. 静脈内注射
静脈内注射は2002年の厚労省通知以降、医師の指示下で看護師が実施できる診療の補助行為とされています。
-
○ 2. 診断書の交付
診断書の交付は医師法上、医師のみが行える絶対的医行為であり、医師の指示があっても看護師は実施できません。
-
× 3. 末梢静脈路の確保
末梢静脈路確保(留置針による点滴ライン確保)は医師の指示下で看護師が実施可能な診療の補助です。
-
× 4. 人工呼吸器の設定の変更
人工呼吸器の設定変更は医師の指示があれば診療の補助として可能です(特定行為研修制度で手順書による実施も整備されています)。
保助看法第37条により、看護師は医師の指示がなければ医行為を行えず、これを相対的医行為といいます。一方、診断、処方、手術、診断書交付など医師でなければ行えない行為は絶対的医行為です。2015年から始まった特定行為研修制度では、指定された38行為21区分について、研修を修了した看護師が手順書に基づき医師の包括的指示で実施できるようになりました。診断書と似て混同しやすい『看護記録』や『看護サマリー』は看護師が作成できます。
絶対的医行為(医師のみ可)と相対的医行為(医師の指示下で看護師も可)の区別、特に診断書交付の位置づけを問う法的知識の必修問題です。
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