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研究対象者を守る倫理委員会の役割

看護師国家試験 第105回 午前 第5問 / 必修問題 / 看護における倫理と法律

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第5問

臨床研究を行うときに、研究対象者の立場を擁護するために審査を行う組織はどれか。

  1. 1.教育委員会
  2. 2.倫理委員会
  3. 3.医療事故調査委員会
  4. 4.院内感染対策委員会

対話形式の解説

博士 博士

今日は研究倫理について学ぼう。看護師も臨床研究に関わる機会は多いから、しっかり理解してほしいテーマじゃ。

サクラ サクラ

臨床研究って、新しい治療法やケア方法を試すことですよね?研究対象者のリスクってどんなものがあるんですか?

博士 博士

例えば新薬の副作用、新しい手技による身体的負担、プライバシーの問題、精神的ストレスなどじゃな。研究が対象者の不利益になってはいけない。

サクラ サクラ

そこで審査する組織が必要になるわけですね。

博士 博士

そうじゃ。この問題で問われておるのは「研究対象者の立場を擁護するために審査を行う組織」。答えは2の倫理委員会じゃ。

サクラ サクラ

倫理委員会って、どんなメンバーで構成されているんですか?

博士 博士

医学・看護の専門家だけでは偏った判断になりかねない。そこで法律家、一般市民、他分野の研究者など、多様な立場のメンバーで構成されるんじゃ。これが「第三者の視点」を担保する仕組みじゃな。

サクラ サクラ

審査ではどんなことをチェックするんでしょう?

博士 博士

主に①研究の科学的妥当性、②研究対象者への説明と同意(インフォームド・コンセント)の適切性、③個人情報保護、④リスクと利益のバランス、⑤補償体制、などじゃ。必要に応じて計画修正を求めたり、実施差し止めもできる。

サクラ サクラ

倫理の考え方の基本になっているのは何ですか?

博士 博士

国際的には「ヘルシンキ宣言」(1964年、世界医師会)じゃ。これに基づき、各国でガイドラインが整備されておる。日本では「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(文部科学省・厚生労働省)が代表的じゃな。

サクラ サクラ

他の選択肢についても確認させてください。医療事故調査委員会は違うんですよね?

博士 博士

違う。医療事故調査委員会は医療法に基づき、医療機関で発生した予期しない死亡事故の原因究明と再発防止を担う組織じゃ。事後対応の組織で、研究の事前審査とは別物じゃな。

サクラ サクラ

院内感染対策委員会も違うんですね。

博士 博士

そう、院内感染対策委員会は感染症の発生予防・拡大防止を担当する。教育委員会はそもそも教育行政の組織で、医療とは別じゃ。

サクラ サクラ

生命倫理の4原則というのがあると聞いたことがありますが…

博士 博士

よく覚えておったのう。①自律尊重、②無危害、③善行、④正義の4原則じゃ。倫理委員会の審査はこれらに基づいて行われる。脆弱な対象者(未成年、認知症、妊婦など)への配慮も重要じゃ。

サクラ サクラ

看護研究でも倫理委員会の承認が必要なんですよね?

博士 博士

もちろんじゃ。日本看護協会も「看護研究における倫理指針」を公表しておる。患者さんから研究参加の同意をいただく際は、拒否や撤回の自由を必ず保障することも大事じゃ。

サクラ サクラ

研究対象者の権利を守る仕組み、しっかり理解しました!

POINT

臨床研究の倫理的妥当性と研究対象者の保護を審査する組織は「倫理委員会(倫理審査委員会)」です。医学・看護の専門家に加え、法律家や一般市民など多様な立場のメンバーで構成され、第三者の視点から研究計画を審査します。審査では研究の科学的妥当性、インフォームド・コンセント、個人情報保護、リスクと利益のバランスなどが検討されます。国際的にはヘルシンキ宣言、日本では「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が基盤となっています。他の選択肢(教育委員会、医療事故調査委員会、院内感染対策委員会)はそれぞれ別目的の組織で、研究対象者の審査は行いません。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:臨床研究を行うときに、研究対象者の立場を擁護するために審査を行う組織はどれか。

解説:正解は 2 です。臨床研究は医学・看護学の発展に不可欠ですが、同時に研究対象者の身体的・精神的リスクを伴う場合があります。そのため、研究計画の倫理的妥当性や科学的妥当性、研究対象者の人権・安全の保護状況について、第三者の視点から審査する組織が必要とされます。それが「倫理委員会(倫理審査委員会、IRB:Institutional Review Board)」です。倫理委員会は、ヘルシンキ宣言や人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(文部科学省・厚生労働省)に基づいて組織され、医学・看護の専門家だけでなく、法律家や一般市民など多様な立場のメンバーで構成されます。審査内容には、研究の科学的妥当性、研究対象者への説明と同意取得(インフォームド・コンセント)の適切性、個人情報保護、リスクと利益のバランス、補償体制などが含まれます。審査結果によっては研究計画の修正要求や実施差し止めが行われ、研究対象者の人権と安全が守られる仕組みとなっています。

選択肢考察

  1. × 1.  教育委員会

    誤りです。教育委員会は都道府県・市町村に設置される合議制の執行機関で、教育・文化・スポーツなどの施策を所管する組織です。臨床研究の審査とは無関係です。

  2. 2.  倫理委員会

    正しい選択肢です。倫理委員会は臨床研究の倫理的・科学的妥当性を審査し、研究対象者の人権と安全を守る役割を担います。医療・看護の専門家のほか、法律家・一般市民も参加する多職種構成が特徴です。

  3. × 3.  医療事故調査委員会

    誤りです。医療事故調査委員会は医療法に基づく医療事故調査制度により、医療機関内で発生した予期しない死亡事故の原因を調査し、再発防止策を検討する組織です。臨床研究の事前審査は行いません。

  4. × 4.  院内感染対策委員会

    誤りです。院内感染対策委員会は医療機関内で院内感染の発生予防・早期発見・拡大防止を目的として活動する組織で、ICT(感染制御チーム)と連携します。臨床研究の審査は行いません。

研究倫理の国際的基準として「ヘルシンキ宣言」(1964年、世界医師会)があり、これが倫理委員会の活動の基礎となっています。看護研究に関しては「看護研究における倫理指針」(日本看護協会)も参照されます。倫理委員会の審査で重視されるのは、①自律尊重原則(インフォームド・コンセント)、②無危害・善行原則(リスク最小化、利益最大化)、③正義原則(対象者選定の公平性)の生命倫理4原則です。また、研究対象者の同意撤回権の保障、個人情報の厳格な管理、未成年・認知症患者など脆弱な対象者への配慮も重要な審査項目です。

臨床研究の倫理的妥当性と研究対象者の保護を審査する組織は「倫理委員会」である。