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高齢者の視覚変化をおさえる

看護師国家試験 第113回 午後 第8問 / 必修問題 / 人間の特性とライフサイクル

国試問題にチャレンジ

113回 午後 第8問

老化に伴う視覚の変化で正しいのはどれか。

  1. 1.視野が狭くなる。
  2. 2.近くが見やすくなる。
  3. 3.色の識別がしやすくなる。
  4. 4.明暗順応の時間が短縮する。

対話形式の解説

博士 博士

今回は老化に伴う視覚の変化じゃ。まず水晶体に起こる変化からおさらいしよう。

アユム アユム

はい、弾力性が低下して老視になるんですよね。近くが見えにくくなります。

博士 博士

そのとおり。だから選択肢2の『近くが見やすくなる』は逆じゃ。

アユム アユム

色の識別はどうなるんでしたか。

博士 博士

水晶体が黄色みを帯びてくるから、とくに青系の光を吸収しやすくなる。青と緑、黒と紺の区別がつきにくくなるのじゃ。

アユム アユム

では色の識別がしやすくなるのも誤りですね。

博士 博士

そうじゃ。臨床では赤や黄など識別しやすい色で標識やマーキングを行う工夫が求められる。

アユム アユム

明暗順応はどうでしょう。暗いところへ入るとなかなか見えにくくなります。

博士 博士

瞳孔の対光反応や網膜感度が落ちるので、順応にかかる時間は延長する。短縮ではなく延長じゃぞ。

アユム アユム

すると残るのは視野が狭くなるですね。

博士 博士

正解じゃ。網膜や視神経の機能低下、緑内障の合併などで視野は狭窄していく。

アユム アユム

視野狭窄があると転倒のリスクも上がりそうです。

博士 博士

よい視点じゃ。周辺の障害物に気づきにくくなるので、段差や照度の工夫が欠かせん。

アユム アユム

白内障や加齢黄斑変性も念頭におきたいですね。

博士 博士

そのとおり。老化による変化と病的変化を区別しつつ、早期受診を促すのが看護の役割じゃ。

POINT

加齢に伴う視覚の変化は、水晶体の弾力低下による老視、黄変による色覚低下、瞳孔反応の低下による明暗順応の延長、そして網膜・視神経の機能低下による視野の狭窄が代表的です。選択肢のうち方向性が正しいのは視野が狭くなるという記述だけで、他はいずれも反対の変化を述べています。高齢者ケアでは照度確保や色使いの工夫、早期の眼科受診勧奨など、視覚変化に応じた環境調整が重要です。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:老化に伴う視覚の変化で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。加齢に伴い水晶体の弾力低下(老視)、水晶体の黄変・混濁、瞳孔括約筋の機能低下、網膜や視神経の変化などが起こります。その結果、近方視力の低下、色覚低下(とくに青系の識別低下)、明暗順応の延長、そして視野の狭窄が生じます。選択肢では『視野が狭くなる』が唯一の正しい記述です。

選択肢考察

  1. 1.  視野が狭くなる。

    加齢による網膜・視神経の機能低下や、緑内障など加齢性疾患の合併により視野は狭窄します。高齢者の転倒リスク上昇にも関わる重要な変化です。

  2. × 2.  近くが見やすくなる。

    水晶体の弾力性低下と毛様体筋の機能低下により調節力が落ち、近方視力が低下します。いわゆる老視の状態で、近くはむしろ見えにくくなります。

  3. × 3.  色の識別がしやすくなる。

    水晶体の黄変により短波長光(青系)が吸収されやすくなり、青と緑、黒と紺などの識別が困難になります。色覚は低下します。

  4. × 4.  明暗順応の時間が短縮する。

    瞳孔の対光反応の低下や網膜感度の低下により明暗順応には時間がかかるようになります。暗所への順応延長は夜間の転倒リスク要因にもなります。

高齢者の視覚変化を踏まえたケアとしては、段差や廊下に十分な照度を確保する、青系より赤・黄系で色分けを行う、急な明暗変化を避けるなどが有効です。白内障・緑内障・加齢黄斑変性の早期発見のため、定期的な眼科受診を促すことも重要です。

加齢に伴う視機能変化(視野・視力・色覚・明暗順応)の方向性を問う必修問題です。