家族って何人から?フリードマンの定義で読み解く家族看護
看護師国家試験 第112回 午後 第9問 / 必修問題 / 看護の対象と活動の場
国試問題にチャレンジ
家族成員の最少人数はどれか。
- 1.4人
- 2.3人
- 3.2人
- 4.1人
対話形式の解説
博士
今日は家族の定義について学ぶぞ。当たり前のようで、深い問題じゃ。
サクラ
家族って普通は両親と子どもですよね。何人からが家族なんですか?
博士
家族看護学の第一人者M.M.フリードマンは、家族を『絆を共有し、情緒的な親密さによって互いに結びついた、しかも家族であると自覚している、2人以上の成員』と定義したのじゃ。
サクラ
2人以上なんですね。夫婦だけでも家族ですか?
博士
もちろんじゃ。子どもがいなくても、情緒的結びつきと『私たちは家族だ』という自己認識があれば家族となる。
サクラ
血のつながりは必須ではないんですか?
博士
フリードマンの定義では血縁や婚姻は必須要件ではない。事実婚、同性カップル、里親家庭、親しい友人が形成する選択家族(ファミリー・オブ・チョイス)も含まれる包括的定義じゃ。
サクラ
すごく柔軟な定義ですね。
博士
現代の多様化する家族形態に対応するための工夫じゃ。法的な家族定義(民法)と看護学的定義は必ずしも一致しない。
サクラ
1人では家族になれないんですか?
博士
2人以上が条件じゃから1人は該当しない。単独世帯は家族看護の対象とはしても、『家族』そのものとは区別される。
サクラ
国勢調査の『世帯』とはどう違うんですか?
博士
世帯は『住居と生計を共にする集団』で、一緒に暮らしていなければ別世帯じゃ。家族は離れていても家族であり続けるから、概念が異なる。
サクラ
別居している子も家族ですね。
博士
その通り。大学進学で離れた息子も、結婚して独立した娘も、家族の一員のままじゃ。
サクラ
家族看護って具体的にどう関わるんですか?
博士
患者の病気は家族全体に影響する。主介護者の疲弊、子どもの不安、経済的負担、役割再配分など、家族システム全体を支援する視点が必要じゃ。
サクラ
家族をひとつのシステムとして見るんですね。
博士
そうじゃ。ボーエンの家族システム理論、デュバルの家族発達理論、マッカバンの家族ストレス理論などが基盤になっておる。個人を見ると同時に家族全体を見る—これが家族看護の醍醐味じゃ。
サクラ
特に在宅医療では家族の力が重要ですよね。
博士
その通り。在宅ケア、終末期ケア、小児慢性疾患、認知症ケアなど、家族の協力なしには成立しない領域が多い。看護師は家族をケアの提供者であると同時にケアの受け手としても捉える必要がある。
サクラ
家族定義の柔軟性が、多様なケアを可能にするんですね。
POINT
家族看護学におけるフリードマンの定義では、家族とは『絆を共有し情緒的親密さで結ばれ、家族であると自覚している2人以上の成員』とされ、最少人数は2人です。血縁や婚姻関係を必須要件とせず、情緒的絆と自己認識を核とするため、事実婚、同性カップル、里親家庭、選択家族などの多様な形態を包含します。国勢調査の『世帯』概念(住居と生計を共にする集団)とは異なり、別居していても家族であり続けるのが特徴です。家族看護では家族をひとつのシステムとして捉え、患者個人だけでなく主介護者の疲弊、役割再配分、経済的負担など家族全体を支援します。在宅医療・終末期ケア・小児ケア・認知症ケアなど家族の力が鍵となる場面で、この包括的定義は実践の基盤となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:家族成員の最少人数はどれか。
解説:正解は 3 の2人です。家族看護学の代表的理論家であるM.M.フリードマンは、家族を『絆を共有し、情緒的な親密さによって互いに結びついた、しかも家族であると自覚している、2人以上の成員』と定義しました。この定義は血縁・婚姻関係の有無にかかわらず、心理的・情緒的な結びつきと自己認識を基盤とするもので、現代の多様化する家族形態(事実婚、同性カップル、里親家庭など)にも対応できる包括的な定義として家族看護実践の基礎となっています。
選択肢考察
-
× 1. 4人
家族の最少人数を4人とする定義は存在しない。核家族(夫婦と未婚の子)の平均的な人数に近いが、最少の条件ではない。
-
× 2. 3人
3人を最少とする定義はない。夫婦と子1人の核家族を想定すると該当するが、最少条件としては誤り。
-
○ 3. 2人
フリードマンおよびハンソンらの家族定義によれば、家族と認識し合う2人以上の成員が家族を構成する。夫婦のみの世帯も家族に含まれる。
-
× 4. 1人
1人では『互いに結びついた成員』という関係性が成立しない。単独世帯は家族とは区別される。
家族の定義は時代と共に変化している。従来の『血縁・婚姻関係に基づく共同生活集団』という狭義から、フリードマンやハンソンらの『自己認識と情緒的絆による2人以上の成員』へと拡張された。これにより事実婚カップル、同性カップル、里親家庭、選択家族(ファミリー・オブ・チョイス)なども家族看護の対象となる。家族看護の中心概念には家族システム理論(ボーエン)、家族発達理論(デュバル)、家族ストレス理論(マッカバン)などがあり、家族をひとつのシステムとして捉え、個別メンバーのケアと並行して家族全体への支援を行うのが特徴。国勢調査では『世帯』という概念を用い、これは住居と生計を共にする集団を指すため家族看護学の定義とは異なる点も押さえたい。
フリードマンによる家族看護学の家族定義から最少成員数(2人以上)を問う必修問題。血縁・婚姻より情緒的絆と自己認識を重視する現代的定義。
「看護の対象と活動の場」の関連記事
-
地域包括支援センターの4つの仕事—地域包括ケアの司令塔
地域包括支援センターの中核業務を問う問題。「総合相談・権利擁護・包括的ケアマネ支援・介護予防ケアマネ」の4本柱…
114回
-
特定機能病院とは何か—医療法が定める病院類型を完全整理
医療法上の病院類型の機能と承認者を問う問題。「特定機能病院=高度医療+研修+厚労大臣承認」の組み合わせを核に…
114回
-
令和元年の平均世帯人員を押さえよう
少子高齢化と単独世帯増加を背景とする日本の平均世帯人員のおおよその水準を問う問題です。
113回
-
日本人はどこで最期を迎えるか
病院中心の医療提供体制を反映した死亡場所の分布と、その最多割合を問う問題です。
113回
-
核家族の定義を整理しよう
核家族の定義と具体的構成を正しく選別できるかを問う基本問題です。
113回