看護師はどこで働いているか—衛生行政報告例を読む
看護師国家試験 第112回 午前 第9問 / 必修問題 / 看護の対象と活動の場
国試問題にチャレンジ
令和2年(2020年)の衛生行政報告例における看護師の就業場所で、医療機関(病院、診療所)の次に多いのはどれか。
- 1.事業所
- 2.市町村
- 3.保健所
- 4.訪問看護ステーション
対話形式の解説
博士
今回は看護師の就業場所を問う問題じゃ。病院が圧倒的に多いのは直感的じゃが、『次に多いのは』という問いの読み方に注意が必要じゃな。
サクラ
看護師の就業場所って、どういう順位になってるんですか?
博士
令和2年の衛生行政報告例では、1位:病院(約69.0%)、2位:診療所(約13.2%)、3位:介護保険施設等(約7.9%)、4位:訪問看護ステーション(約4.9%)の順じゃ。
サクラ
問題文に『医療機関(病院、診療所)の次に多いのは』とありますね。
博士
そう。つまり病院と診療所を除いた中で最多を問うておる。ここで3位は本来『介護保険施設等』じゃが、選択肢にはない。
サクラ
選択肢の中で残っている最上位は訪問看護ステーションですね。
博士
その通り。選択肢『事業所』『市町村』『保健所』『訪問看護ステーション』の中では、訪問看護ステーション(4.9%)が最多。他は0.1〜0.6%で桁が違う。
サクラ
事業所って、企業の健康管理室のことですか?
博士
その通り。産業看護の領域じゃ。産業保健では労働安全衛生法に基づく健康診断や健康教育が中心的な業務となる。
サクラ
保健所と市町村の違いは?
博士
保健所は都道府県・政令指定都市等が設置する広域的・専門的拠点、市町村保健センターは住民に身近な対人保健サービスの拠点じゃ。感染症対策や精神保健は保健所、母子保健や特定健診は市町村が担う。
サクラ
看護師と保健師では就業場所の分布が違いますか?
博士
大きく違う。保健師は約55%が市町村、約20%が都道府県・保健所じゃ。看護師と保健師の分布の違いは国試頻出じゃ。
サクラ
訪問看護ステーションの役割は?
博士
主治医の訪問看護指示書に基づき在宅で看護を提供する事業所じゃ。医療保険または介護保険で利用でき、地域包括ケアの要じゃ。
サクラ
今後、訪問看護の比率は増えますか?
博士
確実に増えると予想される。2040年に向けて地域包括ケアシステムが強化され、在宅看取りのニーズも高まる。看護師のキャリアパスとしても注目の領域じゃ。
サクラ
看護師数は全体でどれくらいですか?
博士
令和2年末で約128万人じゃ。准看護師を含めると約156万人。看護職員は日本の医療を支える最大の専門職集団じゃ。
サクラ
試験では何年度の数字が問われますか?
博士
国試直近の衛生行政報告例(隔年実施)の値が問われる。病院69%台、診療所13%台、訪問看護5%前後という桁感覚で押さえるのが実践的じゃ。
サクラ
『医療機関の次に多い』という設問文の読み方を間違えそうです。
博士
ここが今回のキモ。問題文がどの範囲を除外しているかを確認し、選択肢に実在するものの中で順位を合わせる『選択肢処理』の感覚が大切じゃ。
POINT
令和2年(2020年)の衛生行政報告例における看護師の就業場所は、1位:病院(約69.0%)、2位:診療所(約13.2%)、3位:介護保険施設等(約7.9%)、4位:訪問看護ステーション(約4.9%)の順です。本問は『医療機関(病院・診療所)の次に多い』を問うため本来の3位である介護保険施設等が該当しますが、選択肢にないため残るうち最多の『訪問看護ステーション』が正解となります。看護師の全体就業者数は約128万人と増加傾向で、訪問看護ステーションや介護保険施設等の比率は高齢化と地域包括ケアの進展に伴い今後も拡大が見込まれます。保健師が市町村中心(約55%)に就業する分布と対比させて覚えると、職種別の活躍領域の違いが明確になり応用的な出題にも対応できます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:令和2年(2020年)の衛生行政報告例における看護師の就業場所で、医療機関(病院、診療所)の次に多いのはどれか。
解説:正解は 4 の『訪問看護ステーション』です。令和2年(2020年)の衛生行政報告例(就業医療関係者)によれば、看護師の就業場所は『病院』が最も多く約69.0%、次いで『診療所』が約13.2%、『介護保険施設等』が約7.9%、『訪問看護ステーション』が約4.9%の順となっています。設問は『医療機関(病院・診療所)の次に多いのはどれか』を問うており、選択肢に『介護保険施設等』がないため、残る中で最も多い『訪問看護ステーション』が正解となります。
選択肢考察
-
× 1. 事業所
企業の健康管理室などに就業する看護師で、0.4%程度と少数。産業看護の領域として重要だが人数は限定的。
-
× 2. 市町村
市町村保健センターなどで母子保健・成人保健に従事する看護師で、約0.6%。地域保健の重要拠点だが人数は少ない。
-
× 3. 保健所
都道府県や政令指定都市等が設置する広域的・専門的な保健拠点で、看護師の就業は約0.1%と非常に少ない。保健師の就業場所としてはより重要。
-
○ 4. 訪問看護ステーション
病院・診療所・介護保険施設等に次ぐ就業場所で約4.9%。在宅医療ニーズの高まりで今後も増加が見込まれる領域。
衛生行政報告例は厚生労働省が隔年で実施する統計調査で、看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師)の就業場所・年齢階級などが公表される。看護師の総就業者数は約128万人(令和2年末)で一貫して増加傾向。訪問看護ステーションや介護保険施設等の比率は高齢化に伴い増加しており、2040年に向けて地域包括ケアシステムの中核として更に拡大が見込まれる。保健師は市町村での就業が最多(約55%)で、看護師とは分布が大きく異なる点も対比して押さえたい。
看護師の就業場所の順位(病院>診療所>介護保険施設等>訪問看護ステーション)を覚え、『医療機関の次』という問いの読み方に注意する。
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