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下血と血便、どこが違う?大腸癌と出血部位の関係を徹底整理

看護師国家試験 第106回 午後 第13問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第13問

下血がみられる疾患はどれか。

  1. 1.肝囊胞( liver cyst )
  2. 2.大腸癌( colorectal cancer )
  3. 3.卵巣癌( ovarian cancer )
  4. 4.腎盂腎炎( pyelonephritis )

対話形式の解説

博士 博士

今回のテーマは下血じゃ。下血とは、消化管から出血したものが肛門から出てくる現象全般を指すぞ。

サクラ サクラ

血便とは違うんですか?

博士 博士

広義には同じじゃが、細かく分けると、鮮紅色〜暗赤色の血が混じるものを血便、胃酸で変性して真っ黒になったものをタール便(メレナ)と呼ぶのじゃ。

サクラ サクラ

タール便って、タールみたいな黒い便のことですね。

博士 博士

そう、コールタールのように粘り気のある真っ黒な便じゃ。胃酸でヘモグロビンが酸化して黒色になる。つまり上部消化管出血の特徴なのじゃ。

サクラ サクラ

ということは、色で出血部位の見当がつくんですね。

博士 博士

その通り!鮮紅色なら肛門・直腸、暗赤色なら結腸、黒色タール便なら食道・胃・十二指腸。この3段階を覚えておくと臨床でも役立つ。

サクラ サクラ

今回の選択肢だと、大腸癌が下血と関係しそうですね。

博士 博士

正解じゃ。大腸癌は粘膜から発生する悪性腫瘍で、表面のびらんや潰瘍から慢性的に出血するため、血便や便潜血陽性という形で見つかることが多い。

サクラ サクラ

肝嚢胞は違うんですか?

博士 博士

肝嚢胞は肝臓内の液体が入った袋で、消化管とつながっておらんから下血は起こらん。多くは無症状で、増大すると腹痛や腹部膨満が出る程度じゃ。

サクラ サクラ

卵巣癌は?

博士 博士

卵巣は腹腔内の臓器で、消化管とは別系統。初期は無症状で、進行すると腹水や腹部膨満、下腹部痛が出るが、下血は主症状ではない。

サクラ サクラ

腎盂腎炎は尿路の感染症でしたね。

博士 博士

うむ。尿路系だから血尿は出ることがあっても、下血にはならん。高熱・腰背部痛・膀胱刺激症状が三徴じゃ。

サクラ サクラ

大腸癌って最近増えていると聞きます。

博士 博士

その通り。日本人の癌死因で上位じゃ。特に食生活の欧米化が影響しておる。50歳以上で便潜血陽性なら全大腸内視鏡検査が推奨されておる。

サクラ サクラ

便潜血検査は症状がなくても受けた方がいいんですね。

博士 博士

うむ、早期の大腸癌や腺腫性ポリープは症状を出さんことも多いからの。検診の重要性を看護師が伝える意義は大きいぞ。

サクラ サクラ

下血を訴える患者さんが来たら、色や量をしっかり観察して記録する必要がありますね。

POINT

下血とは消化管からの出血が肛門から排出される症候で、色調によって出血部位を推定できます。鮮紅色は直腸・肛門、暗赤色は結腸、黒色タール便は上部消化管出血を示唆します。大腸癌は結腸・直腸粘膜から発生する悪性腫瘍で、腫瘍表面からの慢性出血により血便や便潜血陽性として発見されることが多く、日本人の癌死因でも上位を占めます。肝嚢胞・卵巣癌・腎盂腎炎はいずれも消化管と直接関係しないため下血は起こりません。看護師は下血の色・量・性状を丁寧に観察し、便潜血検査や大腸内視鏡検査の意義を対象者に伝える役割を担います。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:下血がみられる疾患はどれか。

解説:正解は 2 です。下血とは消化管からの出血が肛門から排出されることを指し、大きく鮮血便(下部消化管出血)とタール便(上部消化管出血)に分けられる。大腸癌は結腸・直腸の粘膜から発生する悪性腫瘍で、腫瘍からの出血が便に混ざり鮮紅色〜暗赤色の血便として観察されるため、下血を呈する代表的疾患である。

選択肢考察

  1. × 1.  肝囊胞( liver cyst )

    肝臓内に液体で満たされた袋状の病変ができる疾患で、多くは無症状。増大した場合に右季肋部痛や腹部膨満感を生じることはあるが、消化管とは連続していないため下血は起こらない。

  2. 2.  大腸癌( colorectal cancer )

    大腸粘膜から発生する悪性腫瘍。腫瘍表面のびらんや潰瘍から出血し、血便・下血として現れる。他に便通異常、腹痛、腸閉塞、貧血などを伴うことが多い。

  3. × 3.  卵巣癌( ovarian cancer )

    卵巣から発生する悪性腫瘍で、初期は無症状。進行すると腹部膨満、下腹部痛、腹水貯留、腰痛などを呈するが、出血は腹腔内で起こるため下血とはならない(不正性器出血も主症状ではない)。

  4. × 4.  腎盂腎炎( pyelonephritis )

    腎盂から腎実質にかけての細菌感染症で、悪寒戦慄を伴う高熱、腰背部痛(CVA叩打痛)、膀胱刺激症状が三徴。尿路系疾患のため血尿はみられても下血は生じない。

下血のみかたでは、鮮紅色なら直腸・肛門病変(痔・直腸癌・虚血性大腸炎など)、暗赤色なら右側結腸や小腸病変、黒色のタール便(メレナ)なら上部消化管出血(食道・胃・十二指腸潰瘍など)を疑う。大腸癌は日本人の癌死因で近年上位を占め、50歳以上で便潜血陽性なら全大腸内視鏡検査が原則。「便潜血→大腸内視鏡」の流れと「タール便→上部内視鏡」の対比で覚えておくとよい。

下血という症候から、原因となる消化管疾患を選べるかを問う基本問題。