週40時間の壁—労働基準法第32条を確認する
看護師国家試験 第112回 午前 第4問 / 必修問題 / 看護で活用する社会保障
国試問題にチャレンジ
休憩時間を除いた1週間の労働時間で、超えてはならないと労働基準法で定められているのはどれか。
- 1.30時間
- 2.35時間
- 3.40時間
- 4.45時間
対話形式の解説
博士
今回は看護職自身の働き方にも直結する労働基準法の問題じゃ。法定労働時間の数値を確認しておくぞ。
アユム
労働基準法って、すべての働く人に適用されるんですか?
博士
原則として労働者すべてに適用される『労働条件の最低基準』を定めた法律じゃ。違反には罰則もある。
アユム
1週間の労働時間、上限は何時間ですか?
博士
第32条で『休憩時間を除き1週40時間、1日8時間』と定められておる。週5日×8時間=40時間と覚えると整合する。
アユム
残業は違法ということですか?
博士
いや、36(サブロク)協定という労使協定を結び労働基準監督署に届け出れば、時間外労働が可能になる。ただし無制限ではない。
アユム
時間外労働にも上限があるんですね?
博士
2019年施行の働き方改革関連法で罰則付き上限が入った。原則月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間以内・複数月平均80時間以内・単月100時間未満じゃ。
アユム
『45時間』って選択肢にもありますけど、これは時間外労働の方の数値なんですね。
博士
その通り。法定労働時間(週40)と時間外労働上限(月45)の混同を狙った引っ掛けじゃ。
アユム
割増賃金はどうなりますか?
博士
時間外は25%以上、月60時間超の部分は50%以上、深夜(22時〜翌5時)も25%以上、休日労働は35%以上の割増が発生する。
アユム
看護職に特有の論点はありますか?
博士
夜勤・交代制勤務、宿日直許可の問題、変形労働時間制の運用など、一般職種より複雑じゃ。日本看護協会は『夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』を出しておる。
アユム
変形労働時間制って何ですか?
博士
1か月または1年単位で労働時間を平均して週40時間に収まれば、特定の週や日に40時間・8時間を超えても良いとする制度じゃ。病院ではよく使われる。
アユム
労働時間が健康に与える影響は?
博士
長時間労働は脳・心臓疾患、うつ病、医療事故のリスクを上げる。月80時間超の残業が2〜6か月続くと『過労死ライン』とされる。
アユム
看護師自身が労働条件の知識を持つ意義は?
博士
患者安全は看護師の健康の上に成り立つ。労務管理の基本を知り、不適切な勤務には声を上げられるようになることも専門職の責務じゃ。
POINT
労働基準法第32条は、休憩時間を除き1週40時間・1日8時間を超えて労働させてはならないと定めており、これがすべての労働者に適用される法定労働時間です。これを超えて働かせるには36協定の締結と届出が必要で、時間外労働には25%以上(月60時間超は50%以上)の割増賃金が生じ、2019年の働き方改革関連法により原則月45時間・年360時間という罰則付き上限も導入されました。選択肢4の『45時間』はこの時間外労働上限と混同を狙った数字で、法定労働時間と区別して理解することが重要です。夜勤・交代制勤務が多い看護職にとって、法定労働時間・変形労働時間制・割増賃金・過労死ラインなどの労務知識は、患者安全と自身の健康を守るための基礎教養といえます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:休憩時間を除いた1週間の労働時間で、超えてはならないと労働基準法で定められているのはどれか。
解説:正解は 3 の40時間です。労働基準法第32条は『使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない』『1日について8時間を超えて、労働させてはならない』と定めています。これを法定労働時間と呼び、すべての労働者に適用される最低基準です。これを超える労働をさせるには、36協定(労使協定)の締結と労働基準監督署への届出が必要で、時間外労働には割増賃金(原則25%以上、月60時間超は50%以上)が発生します。
選択肢考察
-
× 1. 30時間
労働基準法上の法定労働時間としては規定されていない。短時間労働者の社会保険適用基準などで出てくる数値と混同しやすいので注意。
-
× 2. 35時間
フランスの週35時間労働制などと混同しがちだが、日本の労働基準法では採用されていない。
-
○ 3. 40時間
労働基準法第32条で定められた1週間の法定労働時間(休憩時間除く)に一致する。1日8時間×週5日の前提と整合する。
-
× 4. 45時間
36協定で原則の上限とされる『時間外労働の月45時間』の数値と混同しやすい。法定労働時間ではない。
働き方改革関連法(2019年施行)により、時間外労働に罰則付きの上限規制が導入され、原則月45時間・年360時間、特別条項付きでも年720時間以内・複数月平均80時間以内・単月100時間未満が定められた。看護職は夜勤・交代制勤務が多く、労働時間管理が健康と医療安全に直結するため、これらの数値感覚は臨床管理職にも必須知識である。
労働基準法第32条の『週40時間・1日8時間』を押さえる基本問題。36協定による時間外労働規制(月45・年360時間など)と混同しないこと。
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