StudyNurse

輸血後1〜2週間の落とし穴!PT-GVHDを知ろう

看護師国家試験 第107回 午前 第39問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第39問

輸血後、数日から数週間経過してから出現する副作用( 有害事象 )はどれか。

  1. 1.溶血性反応
  2. 2.末梢血管収縮反応
  3. 3.アナフィラキシー反応
  4. 4.輸血後移植片対宿主病< PT-GVHD >( post-transfusion graft-versus-host disease )

対話形式の解説

博士 博士

今日は輸血の副作用を発症時期で整理するぞ。国試頻出でしかも臨床で大事な知識じゃ。

サクラ サクラ

輸血って副作用がたくさんあるイメージですが、時期で分ければすっきりしますか?

博士 博士

そうじゃ。大きく分けて『即時型』(数分〜数時間〜24時間以内)と『遅発型』(数日〜数週間)の2つに分類できる。

サクラ サクラ

即時型にはどんなものがありますか?

博士 博士

急性溶血反応、アナフィラキシー、発熱性非溶血反応、TRALI(輸血関連急性肺障害)、TACO(輸血関連循環過負荷)などじゃ。

サクラ サクラ

選択肢の1〜3は全部その仲間ですね。

博士 博士

うむ。溶血性反応はABO不適合などで輸血直後〜24時間以内に発熱・腰背部痛・ショック。末梢血管収縮は冷たい血液の急速輸血で、アナフィラキシーは数分〜数時間以内のアレルギー反応じゃ。

サクラ サクラ

では遅発型はどんなものが?

博士 博士

PT-GVHD、遅発性溶血反応、輸血後紫斑病、輸血後感染症(HBV・HCV・HIV)、長期輸血による鉄過剰症などじゃ。

サクラ サクラ

PT-GVHDが正解ですね!でも、どうしてドナーの血液が患者さんを攻撃するんですか?

博士 博士

よい疑問じゃ!血液製剤に含まれるドナー由来のリンパ球が、患者の体内で生着・増殖し、患者の臓器を『異物』として攻撃するのじゃ。

サクラ サクラ

通常は患者の免疫がドナーリンパ球を排除しそうですが…

博士 博士

そこがポイント。免疫抑制状態の患者や、HLAが近い血縁者間の輸血ではドナーリンパ球が排除されず生着してしまうのじゃ。

サクラ サクラ

具体的な症状は?

博士 博士

輸血後1〜2週間で発熱と紅斑が出現し、続いて肝機能障害、下痢・下血、骨髄抑制による汎血球減少症と進む。最後は感染症や出血で1か月以内に亡くなることが多い。

サクラ サクラ

90%以上が致死的って聞きました…治療法は?

博士 博士

残念ながら有効な治療法は確立されておらん。だからこそ予防が最重要なのじゃ。

サクラ サクラ

予防は放射線照射ですよね?

博士 博士

その通り!15〜50Gyの放射線をあてることでリンパ球のDNAが傷つき、増殖できなくなる。現在わが国ではほぼ全ての血液製剤が照射済みじゃ。

サクラ サクラ

そのおかげで最近はほぼ発症例がないと聞きました。

博士 博士

うむ、制度改革の成功例じゃな。ただ試験では定番の問題なので必ず押さえておくのじゃ。

サクラ サクラ

TRALIやTACOも最近よく聞きますね。

博士 博士

TRALIは輸血後6時間以内の急性呼吸窮迫症候群、TACOは輸血量過多による心不全・肺水腫じゃ。両方とも即時型の副作用として注目されておる。

サクラ サクラ

時期で分類すれば頭が整理できそうです!

POINT

本問は輸血副作用を発症時期で分類し、遅発型の代表であるPT-GVHDを選ぶ設問です。溶血反応・末梢血管収縮反応・アナフィラキシーはいずれも輸血中〜24時間以内の即時型反応で、PT-GVHDのみが1〜2週間後に発症します。PT-GVHDは致死率が高く、放射線照射による予防が唯一の対策となるため、看護師として副作用の分類とモニタリングのポイントを理解することが安全な輸血管理に直結します。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:輸血後、数日から数週間経過してから出現する副作用( 有害事象 )はどれか。

解説:正解は4の『輸血後移植片対宿主病<PT-GVHD>』です。PT-GVHDは、輸血された血液製剤中に含まれるドナー由来のリンパ球が、レシピエントの体内で生着・増殖し、宿主(患者)の組織を異物として攻撃することで発症する重篤な合併症です。典型的には輸血後1〜2週間で発熱・紅斑が出現し、続いて肝機能障害、下痢・下血、骨髄抑制による汎血球減少症が進行し、重症感染症や出血で約1か月以内に高率に致死的となります。有効な治療法は確立されておらず、発症予防が唯一の対策であり、現在わが国ではほぼ全ての輸血用血液製剤に放射線照射(15〜50Gy)を行いリンパ球を不活化しています。一方、溶血性反応・末梢血管収縮反応・アナフィラキシー反応は輸血中〜24時間以内に発症する急性反応です。

選択肢考察

  1. × 1.  溶血性反応

    ABO不適合輸血などでみられる急性溶血性反応は、輸血開始直後〜24時間以内に発熱、悪寒、腰背部痛、ヘモグロビン尿、ショックなどを呈します。遅発性溶血反応もありますが多くは数日以内です。

  2. × 2.  末梢血管収縮反応

    冷たい血液製剤の急速輸血で起こる血管収縮反応で、輸血中〜直後にみられます。加温することで予防可能な急性の反応です。

  3. × 3.  アナフィラキシー反応

    血液製剤中のタンパク質に対するIgE介在性の急性アレルギー反応で、輸血開始から数分〜数時間以内に呼吸困難・血圧低下などを起こします。遅発性ではありません。

  4. 4.  輸血後移植片対宿主病< PT-GVHD >( post-transfusion graft-versus-host disease )

    輸血後1〜2週間で発熱・紅斑、続いて肝障害・下痢・汎血球減少を呈し、高率に致死的となる重症合併症です。放射線照射血により予防します。遅発性副作用の代表例です。

輸血の副作用は発症時期別に整理すると覚えやすいです。(1)即時型(数分〜数時間):アナフィラキシー、発熱性非溶血反応、急性溶血反応、TRALI(輸血関連急性肺障害)、TACO(輸血関連循環過負荷)。(2)遅発型(数日〜数週間):PT-GVHD、遅発性溶血反応、輸血後紫斑病、輸血後感染症(HBV・HCV・HIVなど)、鉄過剰症(長期頻回輸血)。PT-GVHD予防のため、現在は原則として放射線照射された血液製剤が使用されています。

輸血の副作用を発症時期で分類し、数日〜数週後に出現する遅発型の代表であるPT-GVHDを識別する問題です。