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成人の骨髄穿刺はどこを刺す? 〜後腸骨稜が第一選択になる理由〜

看護師国家試験 第114回 午前 第54問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第54問

成人の骨髄検査の穿刺部位を図に示す。 正しいのはどれか。

成人の骨髄検査の穿刺部位を図に示す。 正しいのはどれか。
  1. 1.
  2. 2.
  3. 3.
  4. 4.

対話形式の解説

博士 博士

今日は骨髄穿刺の部位について学ぶぞ。図を見ながら考えてみよう。

アユム アユム

選択肢の番号、①が胸骨の下、②が腰椎の真ん中、③が腸骨の上、④が仙骨ですね。

博士 博士

うむ、まずそもそも骨髄穿刺とは何か説明できるかな?

アユム アユム

骨髄液を採取して、白血病や再生不良性貧血などを診断する検査ですよね。

博士 博士

その通り。造血器疾患の診断、化学療法効果の判定、骨髄転移の評価などに使われる。

アユム アユム

どこを刺すのが正解なんでしょうか。

博士 博士

成人なら後腸骨稜、つまり③が第一選択じゃ。

アユム アユム

どうして後腸骨稜なんですか?

博士 博士

理由は3つある。1つ目は赤色骨髄が豊富で診断材料が得やすいこと。2つ目は深部に重要臓器がなく安全性が高いこと。3つ目は穿刺部位の確認がしやすく、止血操作も行いやすいことじゃ。

アユム アユム

胸骨でも穿刺できるって聞いたんですが?

博士 博士

胸骨柄部の第2肋間も代替部位として使われるが、すぐ下に心臓・大動脈・縦隔があるから穿刺事故のリスクが高い。だから現代では腸骨が第一選択じゃ。

アユム アユム

②の腰椎は何の部位ですか?

博士 博士

それはヤコビー線を目印に行う「腰椎穿刺」、つまり脳脊髄液を採取する髄液検査の部位じゃ。骨髄穿刺ではないから注意じゃ。

アユム アユム

④の仙骨は?

博士 博士

仙骨は皮質骨が厚くて穿刺しづらく、仙骨神経損傷のリスクもある。標準部位ではないぞ。

アユム アユム

体位はどうするんですか?

博士 博士

腸骨穿刺なら腹臥位または側臥位、胸骨穿刺なら仰臥位じゃ。穿刺前に局所麻酔を行うが、骨髄液を吸引する瞬間は独特の鈍痛が走るので、患者への声かけが不可欠じゃよ。

アユム アユム

看護師として注意することはありますか?

博士 博士

事前説明、検査中のバイタルサイン観察、不安への対応、検査後の止血確認じゃな。出血傾向のある患者では止血確認を特に丁寧に行う。

アユム アユム

骨髄生検という言葉も聞きますね。

博士 博士

骨髄液ではなく骨髄組織そのものを採取する検査で、太めの専用針で同じ後腸骨稜から行うことが多いんじゃ。両者の違いも押さえておくと良いぞ。

POINT

成人の骨髄穿刺は、安全性が高く赤色骨髄が豊富な後腸骨稜(上後腸骨棘)が第一選択であり、図中の③に相当します。胸骨第2肋間も代替部位として可能ですが、心臓や大血管に近いためリスクが高く、現在は限定的にしか用いられません。腰椎穿刺と骨髄穿刺は刺す部位も目的も異なる検査であり、混同しないことが重要です。看護師は患者への十分な説明、体位の保持、検査中の観察、検査後の圧迫止血と出血傾向の評価を担い、造血器疾患の正確な診断と患者の安全を支える役割を果たします。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:成人の骨髄検査の穿刺部位を図に示す。 正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。成人の骨髄穿刺(マルク)では、安全性が高く赤色骨髄が豊富な後腸骨稜(上後腸骨棘)が第一選択となる。図の③は腸骨上方、ちょうど後腸骨棘の高さに相当し、患者を腹臥位または側臥位にして穿刺する。胸骨第2肋間も骨髄穿刺の代替部位として可能だが、胸骨直下に心臓・大動脈・縦隔があり穿刺事故のリスクが高いため、現代では腸骨が第一選択である。

選択肢考察

  1. × 1.  ①

    図の①は胸骨下部〜剣状突起付近を示している。胸骨穿刺は本来胸骨柄部の第2肋間で行うが、剣状突起付近では心タンポナーデや大血管損傷のリスクがあり、骨髄穿刺の部位として不適切。

  2. × 2.  ②

    ②は腰椎椎間部に位置し、ヤコビー線を指標に第3-4または第4-5腰椎間で行う「腰椎穿刺(脳脊髄液採取)」の部位である。骨髄穿刺の部位ではない。

  3. 3.  ③

    ③は後腸骨稜(上後腸骨棘)にあたり、成人の骨髄穿刺における第一選択部位。赤色骨髄が豊富で、深部に重要臓器がないため安全性が高い。

  4. × 4.  ④

    ④は仙骨〜尾骨周辺を指しており、骨髄穿刺の標準部位ではない。仙骨は皮質骨が厚く穿刺困難である上、仙骨神経への損傷リスクもある。

骨髄穿刺は局所麻酔下で行うが、骨髄液吸引時には独特の鈍痛があるため、患者への事前説明と声かけが欠かせない。腸骨穿刺では腹臥位または側臥位、胸骨穿刺では仰臥位をとる。検査後は穿刺部を圧迫止血し、出血傾向のある患者では特に止血確認を入念に行う。骨髄穿刺は白血病・再生不良性貧血・多発性骨髄腫などの造血器疾患の確定診断、化学療法効果判定、骨髄転移評価などに用いられる。骨髄組織そのものを採取する骨髄生検も同部位で行われることが多い。

成人骨髄穿刺の第一選択部位(後腸骨稜)と、混同されやすい腰椎穿刺・胸骨穿刺の部位の違いを問う問題。