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薬剤投与方法の基本を整理しよう

看護師国家試験 第108回 午後 第38問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第38問

成人患者への薬剤の投与方法で正しいのはどれか。

  1. 1.筋肉内注射は大殿筋に行う。
  2. 2.点眼薬は結膜囊に滴下する。
  3. 3.皮下注射は前腕内側に行う。
  4. 4.食間の指示の経口薬は食事中に服用させる。

対話形式の解説

博士 博士

今日は成人への薬剤投与の基本を学ぶぞ。正解は2の『点眼薬は結膜嚢に滴下する』じゃ。

アユム アユム

結膜嚢ってどの部分ですか。

博士 博士

結膜は眼球表面と眼瞼の裏を結ぶ粘膜じゃが、下眼瞼を引き下げると袋状の部分ができる。これが結膜嚢で、ここに薬液を溜めることで角膜や結膜から吸収されるのじゃ。

アユム アユム

点眼瓶の先が睫毛に触れたらまずいですよね。

博士 博士

そのとおり、汚染源になるから触れさせない。また滴下後は1〜2分閉眼し、涙嚢部を軽く押さえて全身への移行を抑える。β遮断薬の点眼薬などは全身吸収で徐脈を起こすことがあるからのう。

アユム アユム

1の『筋肉内注射は大殿筋に行う』はなぜ誤りですか。

博士 博士

大殿筋は坐骨神経や上殿動脈が走行しており、神経損傷のリスクが高い。筋肉内注射の推奨部位は三角筋や中殿筋じゃ。

アユム アユム

中殿筋への部位選定はどう決めるのですか。

博士 博士

クラークの点は上前腸骨棘と後上腸骨棘を結ぶ線の前1/3、ホッホシュテッター法は手掌を大転子に当てて人差し指を上前腸骨棘に、中指を腸骨稜に広げてできるV字の中が刺入点じゃ。

アユム アユム

三角筋はどの位置に刺すんですか。

博士 博士

肩峰から3横指下が目安じゃ。刺入角度は45〜90度。

アユム アユム

3の『皮下注射は前腕内側』はなぜ誤りでしょう。

博士 博士

前腕内側はツベルクリン反応などの皮内注射部位じゃ。皮下注射は上腕伸側、三角筋前半下部、大腿前外側、腹壁などを選ぶ。インスリンでは腹壁が多いのう。

アユム アユム

皮下・筋肉・皮内の刺入角度も整理したいです。

博士 博士

皮内は15度以下でほぼ平行、皮下は10〜30度、筋肉内は45〜90度じゃ。針の長さや皮下脂肪の厚さでも調整する。

アユム アユム

4の『食間の経口薬は食事中に服用』が誤りなのはどうしてですか。

博士 博士

食間とは食事と食事の間、つまり食後2時間ほどの空腹時を指す。食事中ではない。字面で誤解しやすいから注意じゃ。

アユム アユム

他の服薬タイミング用語も整理したいです。

博士 博士

食前は30分前、食直前は直前、食後は30分以内、食直後は食事終了直後、頓服は症状時じゃ。

アユム アユム

なぜ食間に飲む薬があるのですか。

博士 博士

漢方薬や胃粘膜保護薬など、空腹時のほうが吸収がよい薬や胃酸の影響を避けたい薬があるからじゃ。

アユム アユム

投与経路ごとの部位と角度、服薬タイミングをセットで覚えます。

POINT

点眼薬は下眼瞼を引いて結膜嚢に滴下するのが正解です。筋肉内注射は三角筋や中殿筋(大殿筋は神経損傷回避で避ける)、皮下注射は上腕伸側や大腿前外側が選ばれます。食間は食後約2時間の空腹時を指し食事中ではありません。各投与経路の部位選択・角度・用語の正確な理解が臨床安全に直結します。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:成人患者への薬剤の投与方法で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。点眼薬は下眼瞼を軽く引き下げて結膜嚢(下眼瞼結膜の袋状部分)に滴下します。結膜嚢に溜まった薬液が涙液に溶けて角膜・結膜から吸収されるため、確実な薬効が得られます。点眼瓶の先端が睫毛や眼瞼に触れると汚染するため触れさせないよう注意し、滴下後は数分間の閉眼と涙嚢部の軽い圧迫で全身への吸収を抑えます。

選択肢考察

  1. × 1.  筋肉内注射は大殿筋に行う。

    大殿筋は坐骨神経や上殿動脈が走行するため避けます。筋肉内注射は三角筋(肩峰下3横指)または中殿筋(クラークの点・ホッホシュテッター法)が推奨されます。

  2. 2.  点眼薬は結膜囊に滴下する。

    下眼瞼を引き下げて結膜嚢に1滴滴下するのが正しい方法です。点眼瓶先端が睫毛・眼瞼に触れないよう注意します。

  3. × 3.  皮下注射は前腕内側に行う。

    前腕内側はツベルクリン反応などの皮内注射部位です。皮下注射は上腕伸側・三角筋前半下部・大腿前外側・腹壁などが選ばれます。

  4. × 4.  食間の指示の経口薬は食事中に服用させる。

    『食間』は食事と食事の間、すなわち食後約2時間の空腹時を指します。食事中ではありません。

服薬タイミングの用語:食前=食事30分前、食直前=食事の直前、食後=食事後30分以内、食直後=食事終了直後、食間=食後約2時間(空腹時)、頓服=症状時。筋肉内注射の部位選択は『大血管・神経を避ける』が原則で、三角筋では肩峰から3横指下、中殿筋ではクラークの点(上前腸骨棘と後上腸骨棘を結ぶ線の前1/3)やホッホシュテッター法が用いられます。皮下注射の針刺入角度は10〜30度、筋肉内注射は45〜90度、皮内注射はほぼ平行(15度以下)です。

代表的な薬剤投与経路ごとの正しい部位・用語の理解を問う問題です。