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安全な輸血実施のための確認と観察

看護師国家試験 第111回 午後 第39問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

111回 午後 第39問

52歳の女性が上腹部痛と吐血を主訴に受診し輸血を行うこととなった。 輸血時の対応で正しいのはどれか。

  1. 1.赤血球製剤を30〜37℃で融解する。
  2. 2.血液型検査とクロスマッチ検査用の採血を同時に行う。
  3. 3.クロスマッチ検査の結果を医師と看護師で確認する。
  4. 4.輸血開始から15分後にアレルギー反応の初回観察を行う。

対話形式の解説

博士 博士

52歳女性が吐血で輸血を受ける場面じゃ。輸血は最も重大な医療事故につながりやすい処置じゃから、手順を厳格に守る必要がある。

サクラ サクラ

正解はどれですか?

博士 博士

正解は3の「クロスマッチ検査の結果を医師と看護師で確認する」じゃ。

サクラ サクラ

どうして複数人で確認するんですか?

博士 博士

ABO不適合輸血は致死的な合併症で、その大半は人為的ミス、つまり患者取り違えや製剤取り違えで起こる。これを防ぐために2人以上で声出しダブルチェックするのがガイドラインの基本じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の赤血球製剤を30〜37℃で融解するのは?

博士 博士

赤血球製剤は2〜6℃で冷蔵保存され、基本的に融解は不要じゃ。加温すると溶血を起こす。30〜37℃で融解するのは−20℃以下で凍結保存されているFFP(新鮮凍結血漿)じゃ。

サクラ サクラ

血小板製剤の保管温度は?

博士 博士

20〜24℃で、凝集を防ぐため振盪保存する。血小板は冷やすと機能低下するからな。「赤2〜6、血小20〜24、FFP−20」と覚えるとよい。

サクラ サクラ

選択肢2の同時採血はなぜダメ?

博士 博士

血液型検査とクロスマッチを同じ採血で済ませると、取り違えがあっても検出できん。別時点で採血した2検体で二重確認するのが「2検体ルール」じゃ。

サクラ サクラ

選択肢4の15分後に初回観察は?

博士 博士

開始直後5分間が最も重篤な急性反応が起こるタイミングじゃ。ABO不適合やアナフィラキシーは数分で発症するから、看護師はベッドサイドを離れず観察する。

サクラ サクラ

観察のタイミングをまとめると?

博士 博士

開始直後5分間はベッドサイドで連続観察、開始15分後に再確認、以後30分〜1時間毎、終了時、そして終了後数時間も経過観察じゃ。

サクラ サクラ

輸血副作用にはどんな種類がありますか?

博士 博士

即時型(24時間以内)にABO不適合、アナフィラキシー、TRALI(輸血関連急性肺障害)、TACO(輸血関連循環過負荷)、発熱性非溶血性反応。遅発型に遅発性溶血性反応、輸血後GVHD、輸血感染症などじゃ。

サクラ サクラ

TRALIとTACOの違いは?

博士 博士

TRALIは好中球が肺血管に集積して急性呼吸不全を起こす非心原性肺水腫、TACOは循環過負荷による心原性肺水腫じゃ。両者とも開始6時間以内に呼吸困難が現れる。

サクラ サクラ

輸血後GVHDの予防は?

博士 博士

放射線照射された血液製剤を使用することじゃ。ドナーのリンパ球が患者に移植されて発症するのを防ぐ。

サクラ サクラ

輸血実施時はチェック項目が本当に多いですね。

博士 博士

それだけ重大な処置なのじゃ。「複数人確認・5分観察・正しい温度」をしっかり覚えておけ。

POINT

輸血は人為的ミスが致命的な結果を招くため、クロスマッチ結果や製剤情報を医師と看護師で声出しダブルチェックすることが必須です。赤血球は2〜6℃保存、FFPは−20℃以下で使用時30〜37℃融解、血小板は20〜24℃振盪保存と製剤別の取扱いが異なります。開始直後5分間はベッドサイドで観察し、15分後に再確認、以後も定期観察で急性反応を早期発見することが安全な輸血の要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:52歳の女性が上腹部痛と吐血を主訴に受診し輸血を行うこととなった。 輸血時の対応で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。輸血は人為的ミスによるABO不適合輸血を防ぐため、クロスマッチ検査(交差適合試験)の結果や血液製剤のラベル情報は必ず医師と看護師など複数の医療従事者で声に出してダブルチェックすることが日本輸血・細胞治療学会のガイドラインで定められています。

選択肢考察

  1. × 1.  赤血球製剤を30〜37℃で融解する。

    赤血球製剤は2〜6℃で冷蔵保存し、そのまま使用します。30〜37℃で融解するのは−20℃以下で凍結保存された新鮮凍結血漿(FFP)です。赤血球製剤を加温すると溶血を起こす危険があります。

  2. × 2.  血液型検査とクロスマッチ検査用の採血を同時に行う。

    患者取り違えによるABO不適合を防ぐため、血液型検査の採血とクロスマッチ検査用採血は原則として異なるタイミングで別々に採取します。これを2検体確認といいます。

  3. 3.  クロスマッチ検査の結果を医師と看護師で確認する。

    輸血開始前に、患者氏名・血液型・製剤番号・有効期限・クロスマッチ結果などを医師と看護師(または看護師2名)で声に出してダブルチェックし、ABO不適合輸血を防止します。

  4. × 4.  輸血開始から15分後にアレルギー反応の初回観察を行う。

    輸血開始直後5分間は重篤な急性反応(ABO不適合、アナフィラキシー)が起こりやすく、看護師はベッドサイドを離れずに観察します。その後15分後に再確認し、以後は30分〜1時間毎と終了時に観察します。

血液製剤の保管温度は赤血球液2〜6℃、新鮮凍結血漿(FFP)−20℃以下(使用時30〜37℃で融解)、血小板製剤20〜24℃(振盪保存)です。輸血副作用には即時型(開始〜24時間以内:ABO不適合、アナフィラキシー、TRALI、TACO、発熱性非溶血性反応)と遅発型(24時間〜:遅発性溶血性反応、GVHD、輸血感染症)があります。5分・15分ルールは急性反応の早期発見のために重要です。

輸血実施時の安全確認手順(複数人でのダブルチェック、開始直後の観察、製剤の適切な取り扱い)を理解しているかを問う問題です。