脊髄造影後の頭痛を見逃さない 〜ミエログラフィーの看護〜
看護師国家試験 第114回 午前 第55問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
脊髄造影を受ける患者への説明で正しいのはどれか。
- 1.「検査前の食事制限はありません」
- 2.「造影剤が硬膜外腔に注入されます」
- 3.「検査後は頭痛の有無を確認します」
- 4.「検査後はベッドを水平にします」
対話形式の解説
博士
今日は脊髄造影(ミエログラフィー)の患者指導と検査後の観察について学ぶぞ。
サクラ
脊髄造影ってどんな検査ですか?
博士
腰椎穿刺で水溶性造影剤をくも膜下腔に注入し、X線透視やCTで脊髄や神経根の圧迫を見る検査じゃ。
サクラ
MRIがあるのに、なぜ脊髄造影をするんですか?
博士
MRIで描出しきれない動的な圧迫や、ペースメーカーなどでMRI不可の患者では今でも有用じゃ。脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアの術前評価に使われることが多い。
サクラ
選択肢を見ますね。「検査前の食事制限はありません」って正しいでしょうか?
博士
いや、誤りじゃ。造影剤注入時の嘔吐や万一のアナフィラキシーで誤嚥するのを防ぐため、検査前数時間は絶食とする。
サクラ
「造影剤が硬膜外腔に注入されます」は?
博士
それも誤りじゃ。脊髄造影ではくも膜下腔、つまり髄液の中に造影剤を入れる。硬膜外腔への注入は硬膜外麻酔などの別手技じゃ。
サクラ
硬膜外腔とくも膜下腔の関係をもう一度確認していいですか?
博士
外側から、硬膜→くも膜→軟膜の順じゃ。硬膜外腔は硬膜の外側、くも膜下腔はくも膜と軟膜の間で、ここに脳脊髄液が満ちておる。
サクラ
「検査後は頭痛の有無を確認します」というのは?
博士
これが正解じゃ。穿刺部位から髄液が漏出すると低髄液圧性頭痛、いわゆる硬膜穿刺後頭痛が出ることがある。
サクラ
どんな頭痛ですか?
博士
起立や坐位で悪化し、横になると軽減する起立性の頭痛が特徴じゃ。発症は数時間〜数日後で、悪心・嘔吐を伴うこともある。
サクラ
最後の「検査後はベッドを水平にします」は?
博士
これは誤り。造影剤は髄液より比重が高く、頭を低くすると頭蓋内へ流入してけいれんや髄膜刺激症状を誘発しかねない。検査後は頭部を15〜30度挙上して安静にする。
サクラ
看護師として観察すべきことは?
博士
頭痛・悪心・神経症状・項部硬直などの髄膜刺激症状、バイタルサインじゃ。さらに造影剤の排泄促進のため水分摂取も促す。
サクラ
造影剤アレルギーへの注意もありますね。
博士
その通り。検査前にヨード系造影剤の既往アレルギーを必ず確認する。喘息や腎機能障害も注意項目じゃ。
サクラ
MRIが普及しても脊髄造影の看護知識は重要なんですね。
博士
その通り。検査の原理と合併症を理解し、患者の異変を早期に察知することが、看護の本質じゃよ。
POINT
脊髄造影(ミエログラフィー)は、腰椎穿刺によりくも膜下腔に水溶性造影剤を注入し、脊髄や神経根の圧迫を評価する検査です。検査後の主要合併症は穿刺部位からの髄液漏出による低髄液圧性頭痛で、起立や坐位で悪化する起立性頭痛が特徴的です。検査後は頭部を15〜30度挙上した安静を保ち、頭痛の有無・性状、悪心・嘔吐、髄膜刺激症状を継続観察する必要があります。看護師は検査前のアレルギー歴確認・絶食指示、検査中の介助、検査後の体位管理と異常の早期発見・水分摂取勧奨という一連の関わりを通じて、患者の安全を支える重要な役割を担います。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:脊髄造影を受ける患者への説明で正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。脊髄造影(ミエログラフィー)は腰椎穿刺によりくも膜下腔に水溶性造影剤を注入し、X線透視やCTで脊髄や神経根の圧迫・狭窄を評価する検査である。検査後は穿刺部位から髄液が漏出することで低髄液圧性頭痛(硬膜穿刺後頭痛)が生じやすく、立位や坐位で増強・臥位で軽減する起立性の頭痛が特徴である。看護師は頭痛の有無・性状・程度、悪心・嘔吐、神経症状、バイタルサインを継続的に観察する必要がある。
選択肢考察
-
× 1. 「検査前の食事制限はありません」
造影剤による嘔気・嘔吐や、まれにアナフィラキシーが生じた際の誤嚥を防ぐため、検査前数時間は絶食とするのが一般的。説明として誤り。
-
× 2. 「造影剤が硬膜外腔に注入されます」
脊髄造影では造影剤は硬膜外腔ではなく、その内側のくも膜下腔(髄液腔)に注入される。硬膜外腔への注入は硬膜外麻酔や硬膜外造影など別の手技。
-
○ 3. 「検査後は頭痛の有無を確認します」
穿刺部位からの髄液漏出による低髄液圧性頭痛が生じうるため、頭痛の有無・性状・体位による変動を観察することは検査後管理の重要事項。
-
× 4. 「検査後はベッドを水平にします」
水溶性造影剤は髄液より比重が高く、頭部を低くすると造影剤が頭蓋内へ流入し、頭痛・悪心・けいれん・髄膜刺激症状を誘発する可能性がある。検査後は頭部を15〜30度程度挙上した安静を保つ。
脊髄造影は椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍などの診断に用いられる。検査前はヨード系造影剤アレルギー歴・抗血栓薬使用歴の確認、絶食指示が基本。検査後は頭部15〜30度挙上、ベッド上安静、十分な水分摂取(造影剤排泄促進)を行い、24時間程度は頭痛・悪心・神経症状・髄膜刺激症状(項部硬直、ケルニッヒ徴候)の出現に注意する。MRIの普及で脊髄造影の頻度は減少しているが、術前評価などで実施されることがあり、看護管理のポイントは押さえておきたい。
脊髄造影の検査原理(くも膜下腔への造影剤注入)と、検査後の主要合併症である低髄液圧性頭痛への観察対応を理解しているかを問う問題。
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