受容の基本は感情に寄り添うことじゃ
看護師国家試験 第104回 午前 第37問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念
国試問題にチャレンジ
終末期の患者の妻は患者の死期が近いことを受け入れがたい状態である。妻の気持ちを受容する看護師の言動として最も適切なのはどれか。
- 1.「今がつらいときですね」
- 2.「死を受け入れるしかないと思いますよ」
- 3.「最期にしてあげたいことを考えましょう」
- 4.「亡くなった後の準備をすぐに始めましょう」
対話形式の解説
博士
学生くん、終末期患者の妻が「夫が死ぬなんて受け入れられない」と泣いておったら、どう声をかけるかの?
サクラ
「お気持ちわかります」と言うのは違いますよね…
博士
気持ちを完全にわかると言い切るのは難しいの。今回は「今がつらいときですね」という共感の言葉が最適じゃ。
サクラ
なぜですか?
博士
妻はキューブラー・ロスの言う「否認」の段階におり、まずは感情を承認し受け止めることが何より大切なのじゃ。
サクラ
「死を受け入れるしかない」はどうしてダメなのですか?
博士
それは妻の気持ちを否定し突き放す言葉じゃ。受容とは正反対で、傷つけるだけじゃ。
サクラ
「最期にしてあげたいことを考えましょう」は良さそうに見えますが…
博士
妻の感情処理が進み、前向きになった段階では有効じゃ。しかし今は否認段階なので時期尚早じゃ。
サクラ
死後の準備の話はもってのほかですね。
博士
その通り。まだ存命中の患者の死を前提に行動を促すのは、家族を深く傷つけるのじゃ。
サクラ
予期悲嘆という言葉を聞きました。
博士
死別の前から始まる悲嘆プロセスじゃ。否認・怒り・取引・抑うつ・受容の段階を行きつ戻りつしながら進むのじゃ。
サクラ
看護師は何ができますか?
博士
安全に感情を表出できる場を提供し、傾聴と受容で寄り添うことじゃ。沈黙やそばにいることも立派なケアじゃぞ。
サクラ
家族のペースを尊重するんですね。
博士
そうじゃ。看護師の価値観で「受け入れさせよう」とせず、家族のペースに合わせるのが終末期看護の基本じゃ。
サクラ
深い学びになりました。
POINT
終末期患者の妻が「死期を受け入れがたい」状態にあるとき、看護師はまず妻の感情を承認し受け止めることが大切です。「今がつらいときですね」という言葉は共感と受容を示し、否認段階の家族に最も適切な関わりとなります。事実の強要や前向きな行動の提案、死後準備の話は時期尚早または有害です。傾聴と受容を基本に、家族のペースで悲嘆プロセスに寄り添いましょう。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:終末期の患者の妻は患者の死期が近いことを受け入れがたい状態である。妻の気持ちを受容する看護師の言動として最も適切なのはどれか。
解説:正解は1です。妻は予期悲嘆の中で「否認」や「葛藤」の段階にあると考えられます。この時期に必要なのは事実を突きつけることでも前向きな行動を促すことでもなく、つらい気持ちに寄り添い、その思いを言葉にして受け止める共感的な関わりです。「今がつらいときですね」という言葉は妻の感情を承認する受容的なメッセージとなります。
選択肢考察
-
○ 1. 「今がつらいときですね」
妻のつらさを言語化して受け止めており、共感と受容を示す関わりです。否認の段階にある人にまず必要なのは感情の承認であり、最も適切な対応です。
-
× 2. 「死を受け入れるしかないと思いますよ」
受容できない妻の感情を否定し突き放す言葉で、看護師の価値観の押し付けになります。受容的態度とは正反対で不適切です。
-
× 3. 「最期にしてあげたいことを考えましょう」
妻の感情処理が進み、夫のために行動したいと前向きになった段階で意味のある提案です。否認段階の今では時期尚早で受容になりません。
-
× 4. 「亡くなった後の準備をすぐに始めましょう」
まだ存命中の患者の死を前提に行動を促す発言で、妻の気持ちを著しく傷つけます。受容とは無関係どころか有害な対応です。
予期悲嘆はキューブラー・ロスの死の受容過程(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)にも対応します。否認の段階にある家族には事実を強要せず、感情を受け止める「受容的傾聴」が基本です。看護師は家族のペースに合わせ、安全な感情表出の場を提供する役割を担います。
終末期患者の家族の予期悲嘆に対する受容的なコミュニケーション技術を問う設問です。事実の突きつけや行動促進ではなく、感情の承認が答えとなります。
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