腹式呼吸でなぜリラックスできる?副交感神経を味方につける
看護師国家試験 第114回 午前 第37問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念
国試問題にチャレンジ
リラクセーションを目的とした腹式呼吸の方法で適切なのはどれか。
- 1.浅い呼吸を繰り返す。
- 2.呼吸に意識を集中する。
- 3.1分間に20回のペースで行う。
- 4.吸気と呼気の時間の比率を2:1とする。
対話形式の解説
博士
今日は腹式呼吸の話じゃ。リラクセーションの基本技法として、看護現場でよく使われるぞ。
サクラ
鼻から吸って口から吐く、お腹を膨らませる呼吸ですよね。
博士
その通り。この呼吸が体にどう作用するか分かるかの?
サクラ
ゆっくり呼吸すると落ち着きますよね。自律神経に関係していますか?
博士
鋭いの。深くゆっくりした腹式呼吸は副交感神経を優位にし、心拍数や血圧を下げて心身を緩める。逆に浅く速い呼吸は交感神経を刺激してしまうんじゃ。
サクラ
選択肢の「浅い呼吸を繰り返す」は逆効果ということですね。
博士
そうじゃ。次に「1分間に20回のペース」だが、これは成人の正常呼吸数の上限じゃ。リラクセーションでは1分間に6〜10回程度まで落とすのが目安じゃよ。
サクラ
20回は速すぎますね。
博士
「吸気と呼気の比率を2:1」はどうじゃ?
サクラ
えーと、息を吸う方を長く、吐く方を短く…
博士
それは逆じゃ。リラクセーションでは吸気:呼気=1:2、つまり吐く時間を吸う時間の2倍にするんじゃ。例えば4秒吸って8秒かけて吐くイメージ。
サクラ
呼気を長くするとなぜ副交感神経が優位になるんですか?
博士
ゆっくり息を吐く動作は迷走神経を刺激し、心拍を落ち着かせる効果がある。だから「呼気を長く」が鉄則じゃよ。
サクラ
残るは「呼吸に意識を集中する」、これが正解ですね。
博士
その通り。意識を呼吸という現在の感覚に集中することで、雑念から離れリラックス効果が高まる。マインドフルネスの基本でもあるんじゃ。
サクラ
腹式呼吸はどんな場面で使われますか?
博士
術前不安、がん性疼痛、出産時の呼吸法、COPDのリハビリ、不眠対策…幅広く使われとる。看護師自身のセルフケアにも有効じゃ。
サクラ
他のリラクセーション法もありますよね?
博士
漸進的筋弛緩法、自律訓練法、瞑想、イメージ療法、音楽療法など多彩じゃ。患者の好みや状態に合わせて組み合わせるのが上手な看護じゃよ。
サクラ
看護師は患者だけでなく自分の心身も整える必要があるんですね。
POINT
腹式呼吸は横隔膜を大きく動かす深くゆったりした呼吸法で、副交感神経を優位にして心身の緊張を緩和するリラクセーション技法です。具体的には呼吸に意識を集中し、1分間に6〜10回程度のゆっくりしたペースで、吸気:呼気=1:2程度に呼気を長くするのが基本となります。臨床では術前不安、がん性疼痛、不眠、出産時の呼吸法、COPDのリハビリなど幅広く活用され、漸進的筋弛緩法・自律訓練法・瞑想・音楽療法といった他のリラクセーション技法と組み合わせて用いられることもあります。看護師は患者への指導だけでなく自身のセルフケアとしても腹式呼吸を活用でき、ストレスマネジメントや心身の健康維持に役立ちます。原理(副交感神経優位)と実践方法(深く・ゆっくり・呼気を長く・意識集中)をセットで理解しておくことが、根拠ある看護実践の第一歩です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:リラクセーションを目的とした腹式呼吸の方法で適切なのはどれか。
解説:正解は 2 の「呼吸に意識を集中する。」である。リラクセーションを目的とした腹式呼吸は、横隔膜を大きく動かしてゆったりと深く呼吸することで副交感神経を優位にし、心身の緊張を緩和する技法である。呼吸に意識を集中することで雑念から離れ、心拍数や血圧の低下、筋緊張の緩和、ストレス軽減につながる。マインドフルネスや漸進的筋弛緩法などとも組み合わせて用いられ、術前不安・がん患者の苦痛緩和・産痛緩和など幅広い場面で活用される。
選択肢考察
-
× 1. 浅い呼吸を繰り返す。
浅く速い呼吸は胸式呼吸でかえって交感神経を刺激し、緊張や過呼吸を招く。リラクセーションには深くゆったりした呼吸が必要である。
-
○ 2. 呼吸に意識を集中する。
呼吸への意識集中は副交感神経を優位にし、心身のリラックスを促す。マインドフルネスの基本でもある。
-
× 3. 1分間に20回のペースで行う。
成人の正常呼吸数は12〜20回/分。リラクセーション目的では1分間に6〜10回程度のゆっくりした呼吸が適切で、20回は速すぎてリラックス効果は得られない。
-
× 4. 吸気と呼気の時間の比率を2:1とする。
比率が逆である。リラクセーションでは吸気:呼気=1:2程度とし、息を吐く時間を長くすることで副交感神経が優位となり緊張が緩和される。
腹式呼吸は鼻からゆっくり息を吸って腹部を膨らませ、口をすぼめて細く長く息を吐く呼吸法である。呼気を長くすることで横隔膜が十分に動き、肺胞換気量が増え、副交感神経活動が高まる。臨床ではがん性疼痛、不安・パニック、不眠、慢性疼痛、出産時の呼吸法、COPD患者のリハビリなど多様な場面で用いられる。リラクセーション法には他にも漸進的筋弛緩法、自律訓練法、瞑想、イメージ療法、音楽療法などがあり、患者に合わせて選択する。看護師自身のセルフケアにも応用できるスキルである。
リラクセーションを目的とした腹式呼吸の正しい実施方法を問う問題。深くゆっくり、呼気を長く、呼吸への意識集中がポイント。
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