フィンクの危機モデル4段階を一気に整理 ―最終段階「適応」までの心の旅路
看護師国家試験 第114回 午後 第31問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念
国試問題にチャレンジ
フィンク, S. L.(Fink, S. L.)が提唱した危機モデルの最終段階はどれか。
- 1.受容
- 2.適応
- 3.問題解決
- 4.ラポール
対話形式の解説
博士
今日はフィンクが提唱した危機モデルを学ぶぞ。中途障害や突然の喪失を体験した人の心が、どんな段階を踏んで落ち着いていくかを示したものじゃ。
サクラ
危機モデルって、キューブラー=ロスの「死の受容」と何が違うんですか?
博士
良い視点じゃ。キューブラー=ロスは終末期の人の心の動きで、否認・怒り・取引・抑うつ・受容の5段階。フィンクは事故などで突然障害を負った人がどう立ち直るかに焦点を当てた4段階モデルなのじゃ。
サクラ
なるほど、対象も目的も違うんですね。フィンクの段階を順番に教えてください。
博士
まずは①衝撃の段階。強い不安や無力感に襲われ、現実をうまく認識できない時期じゃ。「頭が真っ白」という状態じゃな。
サクラ
次は何ですか?
博士
②防御的退行の段階。現実があまりに辛いので、否認・逃避・抑圧などで自分を守る。「自分は元に戻る」と信じ込むような姿が見られるのじゃ。
サクラ
心を守るための時期なんですね。その後はどうなるんですか?
博士
③承認の段階で防衛が崩れ、現実を直視し始める。怒り・抑うつ・悲嘆が前面に出て、自殺企図のリスクも高くなる時期じゃから注意がいる。
サクラ
看護師としてはここが一番気を配るところですね。最後は?
博士
④適応の段階じゃ。新しい自己像のもとで現実的に生活を組み立て直し、将来に向けた建設的な行動が取れるようになる。これがモデルの最終段階で、今回の正解の「適応」じゃ。
サクラ
選択肢にあった「受容」「問題解決」「ラポール」はどれもフィンクの言葉ではないんですね。
博士
その通り。受容はキューブラー=ロス、問題解決はアギュララ、ラポールはトラベルビーの世界。理論家と用語をペアで覚えておくと混乱しないぞ。
サクラ
段階に応じて関わり方も変わりそうです。
博士
衝撃と防御的退行ではそばにいて安全を守ること、承認では悲嘆を受けとめること、適応では社会資源と結びつけて生活再構築を支えることが看護のポイントになる。マズローの欲求階層と重ねて理解すると整理しやすいぞ。
サクラ
人物・段階・看護介入をセットで覚えれば応用が効きそうです。
POINT
フィンクの危機モデルは、突然の障害や喪失を体験した人がたどる心理過程を「衝撃→防御的退行→承認→適応」の4段階で示した枠組みで、最終段階は「適応」です。マズローの動機づけ理論を土台にしているため、初期は安全の欲求、後期は成長の欲求に応じた看護介入が必要となります。受容はキューブラー=ロス、問題解決はアギュララ、ラポールはトラベルビーといった他理論の用語と混同しやすいので、人物名と段階名をペアで整理しておくことが国家試験対策の要です。臨床では各段階に応じてそばに寄り添う、防衛を否定せず見守る、悲嘆作業を支える、生活再構築を一緒に考えるといった関わりが求められ、本モデルは中途障害患者の理解と支援に欠かせない基本知識として位置づけられます。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:フィンク, S. L.(Fink, S. L.)が提唱した危機モデルの最終段階はどれか。
解説:正解は 2 です。フィンクは、外傷性脊髄損傷者の臨床観察とマズローの動機づけ理論を統合し、突然の喪失体験から新しい現実へ落ち着いていくまでの心理過程を四つの段階で示した。流れは①衝撃の段階(強い不安と無力感、現実認識の混乱)、②防御的退行の段階(現実から目を背け、否認や抑圧で自己を守る)、③承認の段階(防衛が崩れ、現実を直視して悲嘆や抑うつが現れる)、④適応の段階(新しい自己像と現実を受け入れ、建設的に生活を再構築する)であり、最終段階は「適応」である。
選択肢考察
-
× 1. 受容
「受容」はキューブラー=ロスが提唱した死にゆく人の心理過程(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)の最終段階であり、フィンクの危機モデルの段階名ではない。
-
○ 2. 適応
フィンクの危機モデル四段階の最終段階。新しい価値観や自己像のもとで、現実的かつ建設的に生活を再構成していく時期にあたる。
-
× 3. 問題解決
アギュララとメズイックの問題解決型危機モデルで用いられる概念で、出来事の知覚・社会的支持・対処機制の3つのバランス保持要因が機能して問題が解決される過程を示す。フィンクの段階名ではない。
-
× 4. ラポール
ラポールは援助者と対象者の間に築かれる信頼関係を指す概念で、トラベルビーの人間対人間の看護論などで重視される。フィンクの危機モデルの段階ではない。
フィンクのモデルはマズローの欲求階層説を基盤にしており、衝撃・防御的退行の段階では「安全の欲求」を満たす関わりが、承認の段階以降では「成長の欲求」に向けた支援が中心になると説明される。看護では各段階に応じてそばに寄り添い不安の軽減を図る、防衛を否定せず見守る、悲嘆作業を支える、社会資源と結びつけて生活再構築を促す、といった関わりが推奨される。アギュララ、キューブラー=ロス、ションツ、コーンなど他の危機・障害受容モデルとセットで整理しておくと取りこぼしが少ない。
フィンクの危機モデルが「衝撃→防御的退行→承認→適応」の4段階で構成され、最終段階が「適応」であることを覚えているかを問う知識問題。
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