加齢と認知機能の変化
看護師国家試験 第110回 午前 第47問 / 老年看護学 / 高齢者の健康
国試問題にチャレンジ
加齢の影響を受けにくく、高齢になっても維持されやすい認知機能はどれか。
- 1.感覚記憶
- 2.短期記憶
- 3.結晶性知能
- 4.流動性知能
対話形式の解説
博士
加齢で認知機能はどう変化するか知っておるかの。
サクラ
種類によって低下のしかたが違うと習いました。
博士
その通りじゃ。流動性知能と結晶性知能という2つの概念が有名じゃぞ。
サクラ
流動性知能は新しい情報を即座に処理する力ですね。
博士
うむ、計算や論理的推論、暗記などじゃ。20代でピークを迎え、そこから徐々に落ちていく。
サクラ
結晶性知能はどうですか。
博士
語彙や一般知識、判断力、経験に裏打ちされた知恵じゃな。高齢になっても維持されやすいのが特徴じゃ。
サクラ
それは看護にも活かせそうですね。
博士
まさに大事な視点じゃ。高齢者の豊富な経験や語彙力は強みとして関わりに取り入れるとよい。
サクラ
短期記憶や感覚記憶はどうでしょう。
博士
いずれも加齢で低下しやすい。特に新しい情報の保持は苦手になるな。
サクラ
エピソード記憶と意味記憶の違いもありましたよね。
博士
よく勉強しておる。エピソード記憶は加齢に弱いが、意味記憶は比較的保たれる。
サクラ
認知症と正常加齢の違いはどう見分けますか。
博士
日常生活に支障が出るほどの記銘力障害や見当識障害が続けば認知症を疑う。スクリーニングにはHDS-RやMMSEを使うぞ。
サクラ
高齢者への説明で気をつけるべき点はありますか。
博士
一度に多くを伝えず、ゆっくり、目を見て、書面も使って伝えるのが基本じゃ。
サクラ
経験に根ざした強みを尊重しながら支援することが大切ですね。
POINT
本問は加齢による認知機能の変化を問うもので、結晶性知能は高齢期も維持されやすい一方、流動性知能・感覚記憶・短期記憶は加齢の影響を受けやすいとされます。看護では維持される強みを活かしつつ、低下しやすい機能を補う環境調整や声かけを行うことが大切です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:加齢の影響を受けにくく、高齢になっても維持されやすい認知機能はどれか。
解説:正解は3です。知能は流動性知能と結晶性知能に大別され、経験や学習の蓄積に基づく結晶性知能は加齢の影響を受けにくく、高齢期まで維持されやすい機能とされています。
選択肢考察
-
× 1. 感覚記憶
感覚記憶は視覚・聴覚などで瞬間的に保持される記憶で、加齢により感覚器機能が低下すると入力自体が落ち、維持されにくい機能です。加齢の影響を大きく受けます。
-
× 2. 短期記憶
短期記憶は数十秒程度保持される記憶で、ワーキングメモリを含め加齢とともに容量や保持時間が低下します。新しい情報の保持は高齢者が苦手とする領域です。
-
○ 3. 結晶性知能
結晶性知能は語彙・一般知識・判断・洞察など人生経験の蓄積に根ざす能力で、60代以降もゆるやかに上昇または維持されるとされる加齢に強い認知機能です。
-
× 4. 流動性知能
流動性知能は新しい情報処理や論理的推論、計算など即応的な知的能力で、20代でピークを迎え加齢に伴い早期から低下しやすい機能で維持されにくいとされます。
Catell-Hornの理論では知能を流動性知能と結晶性知能に分けます。流動性は神経基盤に依存し加齢の影響を受けやすい一方、結晶性は社会経験や教育の蓄積で高齢期も保たれます。看護では維持される強みを活かした関わりが大切です。
加齢による認知機能変化のうち、低下しやすい機能と維持されやすい機能を区別する基本問題です。
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