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お風呂が一番危ない?高齢者の不慮の事故、衝撃のトップは溺死

看護師国家試験 第114回 午後 第55問 / 老年看護学 / 高齢者の健康

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第55問

日本の令和3年(2021年)の人口動態統計に基づく、65歳以上85歳未満における不慮の事故による死亡状況をグラフに示す。 Dはどれか。

日本の令和3年(2021年)の人口動態統計に基づく、65歳以上85歳未満における不慮の事故による死亡状況をグラフに示す。 Dはどれか。
  1. 1.窒息
  2. 2.交通事故
  3. 3.溺死及び溺水
  4. 4.転倒、転落、墜落

対話形式の解説

博士 博士

今日は高齢者の不慮の事故死亡について学ぶぞ。グラフ問題は順位を覚えていれば一瞬で解けるのじゃ。

サクラ サクラ

高齢者の事故というと、転倒や交通事故が多いイメージですけど…

博士 博士

意外に思うかもしれんが、令和3年の人口動態統計では65歳以上の不慮の事故死亡の第1位は「溺死及び溺水」じゃ。

サクラ サクラ

えっ、お風呂で亡くなる方がそんなに多いんですか?

博士 博士

そうじゃ。約9割が家庭内の浴槽での事故。特に冬場に集中して起きるのじゃ。

サクラ サクラ

どうして冬に多いんですか?

博士 博士

ヒートショックという現象が関係しておる。暖かい居室から寒い脱衣所、そして熱い湯船に入ると血圧が大きく変動し、失神や心筋梗塞、脳血管障害を起こして浴槽内で溺れてしまうのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、寒暖差が原因なんですね。

博士 博士

Dが各年齢階級で最も高く、年齢が上がるほど増えているのは、まさに溺死の特徴と一致する。だからDは溺死及び溺水と判断できるわけじゃ。

サクラ サクラ

他の原因はどう並ぶんですか?

博士 博士

高齢者の不慮の事故は、溺死>窒息>転倒・転落・墜落>交通事故の順と覚えておくとよい。窒息は餅・パンなどの誤嚥が多い。

サクラ サクラ

転倒・転落は2位くらいかと思っていました。

博士 博士

順位的には3番目になることが多いのじゃ。グラフではCあたりに該当する。

サクラ サクラ

交通事故が一番少ないというのは意外でした。

博士 博士

近年は高齢者の運転免許自主返納や安全装置の普及で減少傾向じゃ。グラフでは最も低い棒、Aの位置になる。

サクラ サクラ

予防のポイントは?

博士 博士

溺死予防は脱衣所・浴室の暖房、湯温41度以下、長湯を避ける、家族の声かけが大事じゃ。地域包括ケアでもヒートショック対策は重点項目になっておる。

サクラ サクラ

看護師として高齢者やご家族にしっかり伝えていきたいですね。

博士 博士

その通り。事故予防の知識は地域看護や退院支援の場面で必ず活きるぞ。

POINT

令和3年の人口動態統計によれば、65歳以上の不慮の事故による死亡原因は溺死及び溺水が最多で、次いで窒息、転倒・転落・墜落、交通事故の順となります。溺死の約9割は家庭内浴槽で発生し、冬場の急激な血圧変動(ヒートショック)が主因と考えられています。予防には脱衣所・浴室の暖房、適切な湯温、長湯を避けること、家族による見守りが重要で、地域包括ケアの中でも重点課題に位置づけられています。窒息は餅などによる誤嚥、転倒は住環境やフレイルが背景にあり、それぞれの原因に応じた予防教育が看護師の役割となります。統計データの順位とその背景を結びつけて理解することで、グラフ問題にも自信を持って対応できるようになります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:日本の令和3年(2021年)の人口動態統計に基づく、65歳以上85歳未満における不慮の事故による死亡状況をグラフに示す。 Dはどれか。

解説:正解は 3 です。令和3年(2021年)の人口動態統計では、65歳以上の不慮の事故による死亡で最も多いのは「溺死及び溺水」、次いで「窒息」「転倒・転落・墜落」「交通事故」の順となる。特に溺死及び溺水は加齢とともに増加し、85歳未満の各年齢階級でも最多を占める。グラフのDが65〜85歳未満で常に最も高く、年齢が上がるほど増加傾向を示すことから、Dは溺死及び溺水と判定できる。高齢者の溺死は冬場の入浴中の事故が多く、ヒートショックが背景に存在する。

選択肢考察

  1. × 1.  窒息

    高齢者では餅・パンなどの食物による誤嚥性窒息が多く、不慮の事故死亡の上位を占めるが、令和3年データでは溺死より少なく、グラフでは2〜3番目の位置になる。

  2. × 2.  交通事故

    高齢者の交通事故死亡は他の要因に比べて件数が少なく、近年は減少傾向にある。グラフ上では最も低い棒に該当しDではない。

  3. 3.  溺死及び溺水

    65歳以上の不慮の事故死亡で最多を占める原因。家庭内浴槽での溺死がほとんどで、加齢とともに増加するため年齢階級が上がるごとに棒が高くなるDの特徴に合致する。

  4. × 4.  転倒、転落、墜落

    高齢者の不慮の事故では2〜3番目に多い原因で、加齢とともに増加するが、溺死より少ない。グラフではC相当に位置しDではない。

高齢者の溺死は約9割が家庭内の浴槽で発生し、特に11月〜2月の寒冷期に多い。暖かい居室から寒い脱衣所・浴室に移動して熱い湯に浸かることで急激な血圧変動(ヒートショック)が生じ、失神・心筋梗塞・脳血管障害などにより浴槽内で溺水に至る。予防として脱衣所と浴室の暖房、湯温41度以下、入浴前の水分補給、長湯(10分以上)を避ける、家族による声かけなどが推奨される。窒息予防には食事形態の工夫、転倒予防には住環境整備や運動習慣が有効であり、高齢者看護では事故予防教育が重要な役割を担う。

高齢者の不慮の事故死亡の原因別順位(溺死>窒息>転倒・転落>交通事故)と、年齢階級ごとの推移を読み取る統計問題。最多かつ加齢で増加する特徴から溺死を選ぶ。