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高齢者の自覚症状No.1は?令和元年国民生活基礎調査を読み解く

看護師国家試験 第112回 午後 第52問 / 老年看護学 / 高齢者の健康

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第52問

令和元年(2019年)の国民生活基礎調査における高齢者の健康状態で正しいのはどれか。

  1. 1.75歳以上の通院率は約9割である。
  2. 2.65歳以上の半数以上が有訴者である。
  3. 3.65歳以上の外来受療率は年齢が上がるほど高くなる。
  4. 4.65歳以上の自覚症状で男女とも最も多いのは腰痛である。

対話形式の解説

博士 博士

今回は令和元年の国民生活基礎調査を題材に、高齢者の健康状態の読み取り方を勉強するのじゃ。

アユム アユム

そもそも国民生活基礎調査って、毎年やっているんですか?

博士 博士

うむ、毎年行われているが、3年に1度『大規模調査』が実施され、そのときだけ健康・介護・所得・貯蓄の詳細が調査される。令和元年はその大規模調査年じゃった。

アユム アユム

なるほど、だからこの年の数値が国試で問われるんですね。では『75歳以上の通院率は約9割』という選択肢、高齢だし多そうに感じます。

博士 博士

ひっかけじゃな。実際の75歳以上の通院者率は約7割で、9割には届かない。健診や軽症の人も一定数おるからのう。

アユム アユム

『65歳以上の半数以上が有訴者』はどうですか?

博士 博士

これも誤りじゃ。65歳以上の有訴者率は人口千人対で約433、つまり4割強。ただし85歳以上になると5割を超えることもあるから、年齢階級別の違いを意識すると良い。

アユム アユム

『外来受療率』は国民生活基礎調査で分かるんですか?

博士 博士

いや、受療率は患者調査のデータじゃ。国民生活基礎調査と患者調査を混同させるのが定番の罠じゃな。自覚症状や通院は国民生活基礎調査、受療率は患者調査、と覚えておこう。

アユム アユム

じゃあ正解は『腰痛が男女とも自覚症状第1位』ですね。

博士 博士

その通り。次いで肩こり、手足の関節痛と続く。運動器の問題が高齢者の生活機能を大きく左右しておる。

アユム アユム

ロコモやフレイル対策の話につながりますね。

博士 博士

まさにそうじゃ。看護師としては腰痛を単に『歳のせい』で片付けず、ADL・転倒リスク・服薬アドヒアランスなど多面的に評価することが大事じゃよ。

アユム アユム

高齢者の訴えの背景にある疾患も見逃せないですね。

博士 博士

圧迫骨折、脊柱管狭窄症、変形性関節症、腎結石、大動脈解離など、腰痛を主訴とする疾患は幅広い。愁訴の丁寧な聴取が鍵じゃ。

POINT

令和元年の国民生活基礎調査では、65歳以上の自覚症状の第1位は男女とも腰痛であり、続いて肩こり、手足の関節痛が多く挙げられました。75歳以上の通院者率は約7割、65歳以上の有訴者率は約4割強であり、9割や半数超といった極端な数字ではない点に注意が必要です。外来受療率は患者調査で扱われる指標であり、国民生活基礎調査との使い分けも国家試験では繰り返し問われます。看護師は腰痛や肩こりといった愁訴を『加齢による当然のこと』とせず、ロコモティブシンドロームやフレイル、圧迫骨折、神経症状の前兆など多角的に捉え、予防的・包括的な支援につなげる視点が求められます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:令和元年(2019年)の国民生活基礎調査における高齢者の健康状態で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。令和元年(2019年)の国民生活基礎調査によると、65歳以上の男女がもっとも多く訴える自覚症状は男女ともに『腰痛』でした。次いで男性は『肩こり』『手足の関節が痛む』、女性は『肩こり』『手足の関節が痛む』と続きます。加齢による脊柱・骨・関節の変性、骨粗鬆症による椎体圧迫骨折、慢性的な筋力低下などが腰痛の背景にあり、高齢者のADLやQOLに直結する重要な問題です。

選択肢考察

  1. × 1.  75歳以上の通院率は約9割である。

    令和元年調査における75歳以上の通院者率は人口千人対でおよそ730前後、つまり約7割です。9割には達していません。通院者がもっとも多い疾患は高血圧症で、次いで男性は糖尿病、女性は脂質異常症となっています。

  2. × 2.  65歳以上の半数以上が有訴者である。

    65歳以上の有訴者率は人口千人対で約433(およそ4割強)であり、半数には届きません。ただし年齢階級が上がるほど有訴者率は上昇し、85歳以上では5割を超える傾向にあります。

  3. × 3.  65歳以上の外来受療率は年齢が上がるほど高くなる。

    外来受療率を調査しているのは『患者調査』であり、国民生活基礎調査では調査対象外です。ちなみに患者調査では65〜74歳あたりで外来受療率が最大となり、後期高齢者ではむしろ低下(入院受療率が上昇)します。

  4. 4.  65歳以上の自覚症状で男女とも最も多いのは腰痛である。

    65歳以上の自覚症状は男女とも腰痛が第1位で、次いで肩こり、手足の関節痛が続きます。運動器の愁訴が高齢者の生活機能を大きく左右するため、フレイル・ロコモ対策の視点でも重要な知識です。

国民生活基礎調査は厚生労働省が毎年実施し、3年に1度の『大規模調査』年には健康・介護・所得・貯蓄などが追加される。令和元年は大規模調査年で、有訴者率・通院者率などが細かく公表された。キーワードは『自覚症状=有訴者率』『実際の受診=通院者率』『医療機関での受療=患者調査』という使い分け。

国民生活基礎調査における高齢者の自覚症状と通院率・有訴者率の傾向を整理する問題。『腰痛が男女とも第1位』という結論を覚えつつ、外来受療率は別調査(患者調査)の指標であることも押さえる。