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アルツハイマー病の病態を理解しよう

看護師国家試験 第111回 午後 第83問 / 老年看護学 / 高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護

国試問題にチャレンジ

111回 午後 第83問

Alzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)で正しいのはどれか。

  1. 1.基礎疾患として高血圧症(hypertension)が多い。
  2. 2.アミロイドβタンパクが蓄積する。
  3. 3.初期には記銘力障害はみられない。
  4. 4.MRI所見では前頭葉の萎縮が特徴的である。
  5. 5.脳血流シンチグラフィ所見では頭頂葉の血流増加がある。

対話形式の解説

博士 博士

今日は認知症の中で最も多いアルツハイマー病を取り上げるぞ。

サクラ サクラ

先生、アルツハイマー病の原因は何なんですか?

博士 博士

脳内にアミロイドβタンパクが蓄積して老人斑を形成し、さらにタウタンパクが異常にリン酸化されて神経原線維変化を起こす。これが神経細胞を障害して脳萎縮に至るのじゃ。

サクラ サクラ

すると正解は2ですね。

博士 博士

その通り。アミロイドβの蓄積が発症の20年以上前から始まるとされ、近年は抗アミロイドβ抗体薬の開発も進んでおる。

サクラ サクラ

選択肢1の高血圧はどうでしょう?

博士 博士

高血圧・糖尿病・脂質異常症が基礎にあるのは血管性認知症じゃ。アルツハイマー病は加齢・家族歴・APOE ε4遺伝子が主な危険因子になる。

サクラ サクラ

初期症状についてはどうですか?

博士 博士

最初に障害されるのは海馬じゃから、新しいことを覚えられない記銘力障害が最も早く現れる。選択肢3は明らかに誤り。

サクラ サクラ

MRI所見はどうでしょう?

博士 博士

側頭葉内側、特に海馬の萎縮が特徴的じゃ。前頭葉萎縮が目立つのは前頭側頭型認知症(ピック病)じゃから選択肢4は不正解。

サクラ サクラ

脳血流シンチグラフィではどうですか?

博士 博士

頭頂葉・後部帯状回・楔前部・側頭葉の血流低下が典型じゃ。選択肢5は増加と書かれているが、実際は低下じゃから誤り。

サクラ サクラ

治療薬はどんなものがありますか?

博士 博士

コリンエステラーゼ阻害薬のドネペジルやガランタミン、NMDA受容体拮抗薬のメマンチンが使われる。最近はレカネマブという抗アミロイドβ抗体薬も承認されておる。

サクラ サクラ

看護ケアのポイントは?

博士 博士

見当識を支援する環境整備、安全確保、パーソンセンタードケア、そして介護者である家族への支援が非常に重要じゃ。

POINT

アルツハイマー病は認知症の最多原因で、アミロイドβ蓄積による老人斑と神経原線維変化が病態の本態である。海馬・側頭葉内側から萎縮が始まり、近時記憶の障害(記銘力障害)が初発症状となる。脳血流シンチグラフィでは頭頂葉・後部帯状回の血流低下が特徴的で、血管性認知症や前頭側頭型認知症との鑑別が重要である。本問はアルツハイマー病の病態と画像所見の理解を問うている。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Alzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。アルツハイマー病は認知症の原因として最も多い進行性の神経変性疾患です。病態の中心は脳内へのアミロイドβタンパクの蓄積(老人斑)とリン酸化タウタンパクによる神経原線維変化で、これらが神経細胞の脱落と脳萎縮を引き起こします。萎縮は側頭葉内側・海馬から始まり、初期症状は近時記憶の障害(記銘力障害)として現れます。

選択肢考察

  1. × 1.  基礎疾患として高血圧症(hypertension)が多い。

    高血圧や糖尿病・脂質異常症が基礎にあるのは血管性認知症の特徴である。アルツハイマー病の危険因子は加齢・家族歴・APOE ε4遺伝子などが中心である。

  2. 2.  アミロイドβタンパクが蓄積する。

    脳内にアミロイドβが蓄積して老人斑を形成し、タウタンパクの異常リン酸化による神経原線維変化とともに神経細胞を障害する。これがアルツハイマー病の病理学的本態である。

  3. × 3.  初期には記銘力障害はみられない。

    海馬の萎縮から始まるため、初期から新しいことを覚えられない記銘力障害(近時記憶障害)が中核症状として出現する。

  4. × 4.  MRI所見では前頭葉の萎縮が特徴的である。

    アルツハイマー病で特徴的なのは側頭葉内側・海馬の萎縮である。前頭葉の萎縮が目立つのは前頭側頭型認知症の特徴である。

  5. × 5.  脳血流シンチグラフィ所見では頭頂葉の血流増加がある。

    頭頂葉・後部帯状回・楔前部・側頭葉の血流は低下するのが特徴である。増加ではなく低下である。

認知症の4大原因はアルツハイマー型・血管性・レビー小体型・前頭側頭型で、それぞれ画像所見と症状が異なる。アルツハイマー病の治療薬にはコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル・ガランタミン・リバスチグミン)とNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)があり、近年は抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ)も登場している。看護では見当識支援・安全確保・家族支援が重要である。

アルツハイマー病の病態・画像所見・初期症状について理解しているかを問う問題である。