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高齢者虐待、どこに通報する?

看護師国家試験 第107回 午前 第60問 / 老年看護学 / 多様な場で生活する高齢者の看護

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第60問

養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者が、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律< 高齢者虐待防止法 >に基づき通報する先として正しいのはどれか。

  1. 1.市町村
  2. 2.警察署
  3. 3.消防署
  4. 4.訪問看護事業所

対話形式の解説

博士 博士

高齢者虐待防止法の通報先を問う典型問題じゃ。答えは即答できるかの?

アユム アユム

『市町村』ですよね!

博士 博士

そのとおりじゃ。高齢者虐待防止法第7条および第21条で、養護者や養介護施設従事者による虐待を発見した者は、市町村に通報することとされておる。

アユム アユム

窓口はどこになるんですか?

博士 博士

市町村の高齢者福祉担当課、または地域包括支援センターが実務窓口じゃ。地域包括支援センターは市町村の委託を受けて動いておる。

アユム アユム

警察じゃないんですね。

博士 博士

警察は一次通報先ではない。ただし市町村長が立入調査をする際に抵抗があれば警察署長に援助を求められる。また明らかな生命の危険があれば110番通報も当然必要じゃ。

アユム アユム

看護師として通報する際、守秘義務は気にしなくていいんですか?

博士 博士

ここが重要じゃ。法律に明記されておる通り、守秘義務より通報義務が優先される。通報を理由に専門職が不利益を受けることもない。

アユム アユム

『疑い』の段階で通報していいんですか?

博士 博士

『虐待を受けたと思われる』で足りる。確証は要らん。疑いの段階で通報して市町村が調査する、という仕組みじゃ。

アユム アユム

高齢者虐待の種類は何がありましたっけ?

博士 博士

5類型じゃ。身体的虐待、介護・世話の放棄放任(ネグレクト)、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待。経済的虐待は高齢者分野で特に多いぞ。

アユム アユム

年金を取り上げたり、勝手に預金を引き出したりするケースですね。

博士 博士

そのとおりじゃ。高齢者の預貯金を家族が勝手に使う、生活費を渡さない、といった事例が典型じゃ。

アユム アユム

他の虐待防止法と通報先を混同しそうで不安です。

博士 博士

整理して覚えるぞ。児童虐待は児童相談所または市町村(共通ダイヤル189)、高齢者虐待は市町村、障害者虐待は市町村(養護者・使用者)または都道府県(施設)、DVは配偶者暴力相談支援センターまたは警察。

アユム アユム

なるほど、児童虐待だけが特殊なんですね。

博士 博士

児童は児童相談所がメインじゃが、近年は市町村の役割も大きくなっておる。

アユム アユム

通報した後はどうなるんですか?

博士 博士

市町村は立入調査、老人福祉法に基づく措置(分離保護)、成年後見開始の審判請求、養護者への支援など、状況に応じた対応を取る。虐待は加害者となった養護者も支援対象であることが、この法律の特徴じゃ。

アユム アユム

加害者の支援も含まれるんですね。

博士 博士

そうじゃ。介護疲れや孤立が背景にあることが多く、養護者を責めるだけでは解決せん。レスパイトケアや介護負担軽減が虐待予防になる。

アユム アユム

訪問看護師として気づいたとき、躊躇せずに通報していいんですね。

博士 博士

そのとおりじゃ。迷うなら通報するのが高齢者の命を守る第一歩じゃ。

POINT

高齢者虐待防止法における通報先は市町村で、窓口は高齢者福祉担当課または地域包括支援センターです。発見者には『疑い』の段階で通報義務があり、専門職には守秘義務より通報義務が優先されます。虐待の5類型は身体的・ネグレクト・心理的・性的・経済的で、通報を受けた市町村は立入調査や分離保護、養護者への支援まで含めて対応します。児童虐待・障害者虐待・DVなど他法との通報先を整理して覚えることが国試対策のポイントです。看護師は『迷ったら通報』を原則に、高齢者の権利擁護の第一線に立つことが求められます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者が、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律< 高齢者虐待防止法 >に基づき通報する先として正しいのはどれか。

解説:正解は1の『市町村』です。高齢者虐待防止法(平成18年施行)では、養護者または養介護施設従事者等から虐待を受けたと思われる高齢者(65歳以上)を発見した者に対し、速やかに市町村に通報する義務を課しています。とくに生命身体に重大な危険が生じている場合は通報義務、それ以外でも通報努力義務があります。また専門職(医師、看護師、介護福祉士、保健師、社会福祉士、弁護士等)には守秘義務より通報義務が優先されることが明記されています。通報窓口は市町村(高齢者福祉担当課)または地域包括支援センターで、通報を受けた市町村は立入調査、老人福祉法に基づく措置、成年後見開始の審判請求などの対応を取ります。

選択肢考察

  1. 1.  市町村

    高齢者虐待防止法第7条・第21条に基づく通報先は市町村です。窓口は高齢者福祉担当課または地域包括支援センターが対応します。

  2. × 2.  警察署

    警察署は本法の一次通報先ではありません。ただし立入調査に抵抗がある場合、市町村長は警察署長に援助を求めることができ、生命身体に明らかな危険がある緊急時は110番通報も当然必要です。

  3. × 3.  消防署

    消防署は救急搬送や火災対応の機関であり、高齢者虐待防止法上の通報先ではありません。

  4. × 4.  訪問看護事業所

    訪問看護事業所は専門職として通報の主体になることはあっても、法律上の通報先ではありません。サービス提供者として気づいた情報を市町村へ通報する側に位置づけられます。

高齢者虐待の5類型は『身体的虐待』『介護・世話の放棄放任(ネグレクト)』『心理的虐待』『性的虐待』『経済的虐待』です。同じ構造の虐待防止法シリーズは通報先を整理して覚えましょう:児童虐待→児童相談所または市町村(児童相談所全国共通ダイヤル189)、高齢者虐待→市町村、障害者虐待→市町村(養護者・使用者虐待)または都道府県(施設虐待)、DV→配偶者暴力相談支援センターまたは警察。高齢者虐待の通報者の個人情報は守られ、通報を理由に不利益を受けない旨も法律に明記されています。

高齢者虐待防止法における通報先が『市町村』であることを、他の虐待関連法との対比で正確に押さえさせる問題です。