認知症高齢者の権利擁護制度を理解しよう
看護師国家試験 第108回 午後 第48問 / 老年看護学 / 高齢者の生活を支える看護
国試問題にチャレンジ
判断能力が不十分な認知症高齢者の権利擁護を目的とするのはどれか。
- 1.公的年金制度
- 2.生活保護制度
- 3.後期高齢者医療制度
- 4.日常生活自立支援事業
対話形式の解説
博士
今日は判断能力が不十分な認知症高齢者の権利擁護を目的とする制度について学ぶぞ。
アユム
権利擁護ってどういう意味ですか?
博士
本人の意思や利益を守り、不利益を受けないようにすることじゃ。判断能力が低下しても地域で尊厳を保って暮らせるよう支援する仕組みのことじゃな。
アユム
正解はどれですか?
博士
4の日常生活自立支援事業じゃ。社会福祉法に基づいて社会福祉協議会が実施しておる権利擁護事業なんじゃ。
アユム
具体的にどんな支援をするんですか?
博士
福祉サービスの利用援助、日常的な金銭管理、通帳や証書などの書類預かりが3本柱じゃ。本人と契約を結ぶから、契約内容を理解できる程度の判断能力は必要じゃよ。
アユム
1の公的年金はどうして違うんですか?
博士
公的年金は老齢・障害・遺族への所得保障制度じゃ。経済支援が目的で権利擁護を直接の目的とはしていないんじゃ。
アユム
2の生活保護も違いますね。
博士
生活保護は生活困窮者への最低限度の生活保障と自立助長が目的で、認知症の有無に関係なく適用される制度じゃな。
アユム
3の後期高齢者医療制度は?
博士
75歳以上を対象とした独立した医療保険制度じゃ。医療費保障が目的で権利擁護制度ではないんじゃよ。
アユム
判断能力がもっと低下した場合はどうするんですか?
博士
そのときは成年後見制度じゃ。家庭裁判所が後見人や保佐人、補助人を選任して代理権や同意権を付与するんじゃ。
アユム
成年後見制度には種類があるんですか?
博士
法定後見と任意後見があり、法定後見は判断能力の程度で後見・保佐・補助の3類型に分かれておる。任意後見は判断能力があるうちに契約しておく制度じゃ。
アユム
両者の使い分けはどうなるんですか?
博士
契約理解が可能なら日常生活自立支援事業、契約すら困難なら成年後見、という段階で考えるとよいな。併用されることもあるぞ。
アユム
他にも権利擁護に関わる法律はありますか?
博士
高齢者虐待防止法や老人福祉法の措置制度も重要じゃ。虐待の通報義務や措置による保護などが規定されておるぞ。
アユム
制度の使い分けがよく分かりました。
POINT
日常生活自立支援事業は社会福祉協議会が実施する権利擁護事業で、判断能力が不十分な認知症高齢者の福祉サービス利用援助・金銭管理・書類預かりを行います。判断能力がさらに低下した場合は成年後見制度が活用され、両者は判断能力の程度に応じて使い分けられます。高齢者虐待防止法など関連法も権利擁護を支えています。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:判断能力が不十分な認知症高齢者の権利擁護を目的とするのはどれか。
解説:正解は 4 です。日常生活自立支援事業は社会福祉法に基づく権利擁護事業で、都道府県・指定都市社会福祉協議会が実施主体となり、認知症高齢者・知的障害者・精神障害者など判断能力が不十分な人が地域で自立した生活を送れるよう、福祉サービスの利用援助、日常的金銭管理、書類等の預かりサービスを提供します。本人との契約に基づくため、契約内容の理解が可能な判断能力が必要です。
選択肢考察
-
× 1. 公的年金制度
公的年金(国民年金・厚生年金)は老齢・障害・遺族に対する所得保障制度で、社会保険方式による経済的支援が目的です。権利擁護事業ではありません。
-
× 2. 生活保護制度
生活保護は生活困窮者に健康で文化的な最低限度の生活を保障し自立を助長する制度で、経済的自立支援が主目的です。権利擁護を直接の目的とはしていません。
-
× 3. 後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度は75歳以上(一定の障害がある65歳以上も含む)を対象とした独立した医療保険制度で、医療費の保障が目的です。権利擁護を直接扱う制度ではありません。
-
○ 4. 日常生活自立支援事業
社会福祉協議会が実施する権利擁護事業で、判断能力が不十分な人の福祉サービス利用援助、金銭管理、書類等の預かりを支援します。認知症高齢者の地域生活を支える代表的な制度です。
認知症高齢者の権利擁護制度には、判断能力の程度に応じて(1)日常生活自立支援事業(契約可能なレベル)、(2)成年後見制度(法定後見:後見・保佐・補助/任意後見)があります。成年後見制度は家庭裁判所が関与し、本人の代理権や同意権を付与する法的枠組みで、判断能力が著しく不十分な場合に適用されます。高齢者虐待防止法や老人福祉法の措置制度も権利擁護の一翼を担います。
認知症高齢者の権利擁護を目的とする社会資源の理解を問う問題です。日常生活自立支援事業と成年後見制度の位置づけを区別できるかが焦点です。
「高齢者の生活を支える看護」の関連記事
-
要支援1の頻尿、まずするべきはトイレの場所を一緒に確認すること
要支援1の状態像と介護予防の理念(残存機能活用・自立支援)を踏まえ、過剰介助を避け、利用者の安心と自立を両立す…
114回
-
高齢者の不眠を招く生活習慣
高齢者に推奨される睡眠衛生と、不眠を招く生活習慣を識別できるかを問う問題です。
113回
-
介護予防教室は誰でも参加OK?介護保険サービスの利用要件を整理
介護保険サービスの利用要件を問う問題。認定の有無に関わらず利用できるのは地域支援事業の一般介護予防事業に限ら…
112回
-
高齢者の就労機会を支える仕組み
地域で高齢者を支える団体の目的と根拠法を整理し、就労機会の提供主体を特定できるかを問う問題です。
111回
-
高齢者の昼寝と夜間睡眠の関係
独居高齢者の生活指導において、生理的な食後の眠気への適切な助言を選択する問題です。
110回