StudyNurse

生活習慣病の誤解を解く!心筋梗塞・中皮腫・1型糖尿病の本当の原因

看護師国家試験 第106回 午前 第46問 / 健康支援と社会保障制度 / 生活者の健康増進

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第46問

疾患と原因となる生活習慣の組合せで適切なのはどれか。

  1. 1.低血圧症( hypotension )------------------ 飲酒
  2. 2.心筋梗塞( myocardial infarction )-------- 長時間労働
  3. 3.悪性中皮腫( malignant mesothelioma )----- 喫煙
  4. 4.1型糖尿病( type1 diabetes mellitus )----- 過食

対話形式の解説

博士 博士

今日は「疾患と原因となる生活習慣」の組合せ問題じゃ。正解を選ぶ前に、まず生活習慣病の定義を確認しよう。

アユム アユム

生活習慣病って、生活の乱れが原因の病気ですよね?

博士 博士

その通り。食習慣・運動習慣・休養・喫煙・飲酒などの修正可能な生活習慣が関与する疾患群じゃ。選択肢1の低血圧症と飲酒はどうじゃ?

アユム アユム

お酒って血管を広げて血圧を下げるんでしたっけ?

博士 博士

一過性にはそうじゃ。しかし低血圧症の主原因は本態性、心疾患、内分泌疾患、薬剤性などで、飲酒は主要因とは言えん。むしろ長期的には飲酒は高血圧のリスクじゃ。

アユム アユム

じゃあ1は違うんですね。選択肢2の心筋梗塞と長時間労働は?

博士 博士

これが正解じゃ。長時間労働は慢性ストレス、睡眠不足、高血圧、食生活の乱れを通じて動脈硬化を促進、心筋梗塞のリスクを高める。

アユム アユム

過労死って言葉がありますよね。

博士 博士

鋭い!労災認定基準では、発症前1ヶ月に概ね100時間、または2〜6ヶ月平均で月80時間超の時間外労働が「過労死ライン」とされる。脳・心臓疾患による過労死はまさに長時間労働と虚血性心疾患の関連じゃ。

アユム アユム

選択肢3の悪性中皮腫と喫煙は?喫煙って肺の病気の原因ですよね。

博士 博士

肺がんのリスクは確かに上がる。でも悪性中皮腫は「石綿(アスベスト)曝露」が主原因じゃ。発症までに20〜50年の長い潜伏期間がある。

アユム アユム

あ、建設業や造船業の方に多いんですよね。

博士 博士

その通り。アスベスト健康被害救済法もできておる。病歴聴取で職業歴を必ず聞く理由じゃ。

アユム アユム

選択肢4の1型糖尿病と過食はどうですか?糖尿病といえば食べ過ぎのイメージですけど…

博士 博士

そこが落とし穴じゃ!1型糖尿病は自己免疫機序で膵臓のβ細胞が破壊される疾患。インスリン分泌が絶対的に欠乏するのじゃ。

アユム アユム

え、じゃあ生活習慣は関係ないんですか?

博士 博士

ほぼ関係ない。小児〜若年発症が多く、GAD抗体やIA-2抗体といった自己抗体が陽性になる。

アユム アユム

過食が関係するのは2型糖尿病ですよね。

博士 博士

その通り!2型は生活習慣と遺伝素因が主要因。同じ「糖尿病」でも1型と2型は成因が全く違うから、国試で超頻出の区別じゃ。

アユム アユム

疾患の成因を知ると、予防や指導の方向性が見えてきますね。

博士 博士

その通り。看護師は生活習慣の修正可能因子にアプローチできる専門職じゃ。修正可能・不可能を見極めることが指導の第一歩になるのじゃ。

アユム アユム

予防と治療のつながりが見えてきました。

POINT

疾患と生活習慣の組合せを考えるうえで、原因が生活習慣かそれ以外かを見極めることが重要です。心筋梗塞は動脈硬化を背景に発症し、長時間労働はストレス・睡眠不足・血圧上昇を通じてリスクを高め、過労死ラインとして労災認定にも反映されています。悪性中皮腫はアスベスト曝露、1型糖尿病は自己免疫機序と、生活習慣とは関係ない疾患も混ざる点に注意が必要です。看護師は生活習慣の修正可能因子と非修正因子を見極めて、予防や保健指導を個別に組み立てる力が求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:疾患と原因となる生活習慣の組合せで適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。心筋梗塞は冠動脈の閉塞により心筋が壊死する虚血性心疾患であり、根底にある動脈硬化の進行には、高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙・肥満・運動不足・ストレスといった危険因子が関与する。長時間労働は慢性的な睡眠不足、ストレス亢進、血圧上昇、食生活の乱れなどを通じて動脈硬化を促進し、心筋梗塞のリスクを高める。過労死(脳・心臓疾患による死亡)として労災認定の判断基準にも長時間労働が含まれているとおり、心筋梗塞と長時間労働の関連は公衆衛生・産業保健の観点でも確立されている。

選択肢考察

  1. × 1.  低血圧症( hypotension )------------------ 飲酒

    飲酒は一過性の血管拡張で血圧が下がることはあるが、低血圧症の主たる原因とは言えない。低血圧症の原因は本態性、心疾患・内分泌疾患・神経疾患、薬剤性(降圧薬、向精神薬など)、脱水などが主である。

  2. 2.  心筋梗塞( myocardial infarction )-------- 長時間労働

    長時間労働は慢性ストレス・睡眠不足・高血圧・生活習慣の乱れなどを介し動脈硬化と心筋梗塞の発症リスクを高める。過労死ラインとして労災認定基準にも採用されている。

  3. × 3.  悪性中皮腫( malignant mesothelioma )----- 喫煙

    悪性中皮腫の主な原因はアスベスト(石綿)曝露であり、職業性曝露が圧倒的多数を占める。喫煙は肺がんのリスクを高めるが、中皮腫の主原因ではない。

  4. × 4.  1型糖尿病( type1 diabetes mellitus )----- 過食

    1型糖尿病は自己免疫機序により膵β細胞が破壊されインスリン分泌が絶対的に欠乏する疾患で、生活習慣との関連は乏しい。過食や運動不足が関与するのは2型糖尿病である。

過労死等防止対策推進法や労災認定基準では、発症前1ヶ月に概ね100時間、または2〜6ヶ月平均で月80時間超の時間外労働が「過労死ライン」として認定の目安とされる。悪性中皮腫は特定化学物質障害予防規則やアスベスト健康被害救済法の対象で、建設作業員や造船業など職業性曝露歴が重要な病歴聴取ポイント。1型糖尿病は小児〜若年発症が多く自己抗体(GAD抗体、IA-2抗体など)が陽性、一方2型糖尿病は生活習慣と遺伝素因が主要因で、同じ「糖尿病」でも成因が全く異なる点に注意。

疾患の成因を生活習慣(修正可能因子)の観点から理解し、原因と無関係な疾患との組合せを見分けられるかを問う問題。