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食事摂取基準の耐容上限量を理解しよう

看護師国家試験 第105回 午後 第80問 / 健康支援と社会保障制度 / 生活者の健康増進

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第80問

食事摂取基準に耐容上限量が示されているビタミンはどれか。2つ選べ。

  1. 1.ビタミンA
  2. 2.ビタミンB1
  3. 3.ビタミンB2
  4. 4.ビタミンC
  5. 5.ビタミンD

対話形式の解説

博士 博士

今日は食事摂取基準の耐容上限量について話そう。栄養学の基本用語だよ。

アユム アユム

はかせ、耐容上限量って何ですか?

博士 博士

Tolerable Upper Intake Level、略してULといって、過剰摂取による健康障害のリスクがないとされる摂取量の上限値のことだ。これを超えると健康被害が起こる可能性がある数値だよ。

アユム アユム

この問題の正解はどれですか?

博士 博士

正解はビタミンAとビタミンDの2つだ。

アユム アユム

どうしてこの2つなんですか?

博士 博士

まずAとDは脂溶性ビタミンなんだ。脂溶性ビタミンは排泄されにくく体内、特に肝臓に蓄積しやすい性質がある。だから過剰摂取で中毒を起こしやすいんだよ。

アユム アユム

ビタミンAの過剰症は?

博士 博士

頭蓋内圧亢進、頭痛、脱毛、皮膚乾燥、肝障害、そして妊娠初期の過剰摂取は催奇形性があって胎児奇形のリスクが高まる。だから妊婦さんへのレバー摂取指導は重要だ。

アユム アユム

ビタミンDの過剰症は?

博士 博士

高カルシウム血症、軟組織の石灰化、腎石灰化、腎機能障害だ。サプリメントでの過剰摂取が近年問題になっているよ。

アユム アユム

ビタミンB1・B2・Cに耐容上限量がないのはなぜ?

博士 博士

これらは水溶性ビタミンで、過剰分は尿中に排泄されやすいから通常の食事では健康障害のリスクが低いんだ。B2を大量摂取すると尿が黄色くなるのを見たことがあるだろう?あれは排泄されている証拠だよ。

アユム アユム

他に耐容上限量が設定されているビタミンはありますか?

博士 博士

脂溶性のビタミンEと、水溶性でもナイアシン、B6、葉酸には設定されている。脂溶性で設定されていないのはビタミンKだけだよ。KはDの次によく耳にするが通常食事では過剰になりにくいんだ。

アユム アユム

葉酸はなぜ設定されているんですか?水溶性なのに。

博士 博士

葉酸は過剰摂取でビタミンB12欠乏による神経症状をマスクしてしまうため健康障害につながるんだ。ただし妊娠前からの摂取は神経管閉鎖障害予防のため推奨されているから、バランスが重要だ。

アユム アユム

ミネラルはどうですか?

博士 博士

ミネラルもたくさん設定されていて、鉄、カルシウム、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレンなどに耐容上限量がある。サプリメントの普及で過剰摂取が懸念される時代だからね。

アユム アユム

看護師として患者にどう指導すれば?

博士 博士

サプリメントや強化食品の過剰摂取に注意を促し、バランスの取れた食事を基本とする指導が大切だ。特に脂溶性ビタミンは蓄積するから「多ければ多いほど良い」ではないと伝えよう。

POINT

食事摂取基準の耐容上限量はビタミンA・D・E・ナイアシン・B6・葉酸に設定されています。脂溶性ビタミンAとDは体内に蓄積しやすく、過剰摂取で頭蓋内圧亢進や高カルシウム血症などの健康障害を起こします。水溶性のB1・B2・Cは尿中排泄されやすく耐容上限量は設定されていません。サプリメントの過剰摂取には注意が必要です。

解答・解説

正解は 1 5 です

問題文:食事摂取基準に耐容上限量が示されているビタミンはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 1 と 5 です。日本人の食事摂取基準において耐容上限量(UL: Tolerable Upper Intake Level)は、過剰摂取による健康障害のリスクがないとされる摂取量の上限値で、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)のうちA・D・Eと、水溶性ビタミンではナイアシン・B6・葉酸に設定されています。ビタミンAは過剰で頭蓋内圧亢進・皮膚乾燥・肝障害・催奇形性、ビタミンDは高カルシウム血症・腎石灰化・腎障害を起こします。B1・B2・Cは過剰分が尿中に排泄されやすく、通常の食事では健康障害のリスクが低いため耐容上限量は設定されていません。

選択肢考察

  1. 1.  ビタミンA

    脂溶性で肝臓に蓄積されやすく、過剰摂取で頭蓋内圧亢進・脱毛・皮膚乾燥・肝障害・催奇形性(妊娠初期)を起こすため耐容上限量が設定されています。

  2. × 2.  ビタミンB1

    水溶性で過剰分は尿中に排泄されやすく、通常の食事では健康障害のリスクが低いため耐容上限量は設定されていません。欠乏では脚気・ウェルニッケ脳症が問題になります。

  3. × 3.  ビタミンB2

    水溶性で過剰分は尿中に排泄される(尿が黄色くなる)ため健康障害は起こりにくく、耐容上限量は設定されていません。

  4. × 4.  ビタミンC

    水溶性で過剰分は尿中に排泄されやすく、通常摂取量では健康障害のリスクが低いため耐容上限量は設定されていません。大量摂取で下痢や腎結石のリスクはありますが。

  5. 5.  ビタミンD

    脂溶性で過剰摂取により高カルシウム血症・軟組織石灰化・腎石灰化・腎機能障害を起こすため耐容上限量が設定されています。

日本人の食事摂取基準で耐容上限量が設定されているビタミンはA・D・E・ナイアシン・B6・葉酸、ミネラルは鉄・カルシウム・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・モリブデン・クロム・リンなど多数あります。特に脂溶性ビタミン(ADEK)は排泄されにくく蓄積しやすいため注意が必要で、サプリメントや強化食品の過剰摂取で健康障害を起こしやすいです。葉酸は欠乏で神経管閉鎖障害のリスクがあり妊娠前から推奨される一方、過剰摂取ではビタミンB12欠乏による神経症状をマスクするため耐容上限量が設定されています。ビタミンKは血液凝固に関与しますが通常食事で過剰になりにくく耐容上限量は設定されていません。

食事摂取基準における耐容上限量の意義と、設定されているビタミン(特に脂溶性のA・D)を把握しているかを問う問題です。