職場の健康づくりTHPとは
看護師国家試験 第108回 午前 第33問 / 健康支援と社会保障制度 / 生活者の健康増進
国試問題にチャレンジ
トータル・ヘルスプロモーション・プラン<THP>で実施されるのはどれか。
- 1.がん検診
- 2.健康測定
- 3.一般健康診断
- 4.特定健康診査
対話形式の解説
博士
今日は働く人の健康づくり、トータル・ヘルスプロモーション・プラン略してTHPを学ぼう。
サクラ
博士、THPと普通の健康診断はどう違うんですか?
博士
良いポイントだね。THPは労働安全衛生法第69条に基づき、事業者の努力義務として行う「健康保持増進」の総合プランなんだ。疾病発見ではなく、積極的に健康を増進するのが目的だよ。
サクラ
具体的に何をするんですか?
博士
中核は産業医が行う「健康測定」で、問診・生活状況調査・診察・医学的検査・運動機能検査の5つを実施する。
サクラ
正解は何番ですか?
博士
正解は2番「健康測定」だよ。THPの出発点となる評価で、結果に基づき運動指導・保健指導・メンタルヘルスケア・栄養指導の4つの個別指導につなぐんだ。
サクラ
選択肢1のがん検診は違うんですか?
博士
がん検診は健康増進法に基づき市町村が行う対策型検診で、胃・肺・大腸・子宮頸・乳の5種が推奨されている。職域では任意だからTHPには含まれないんだ。
サクラ
選択肢3の一般健康診断はどうですか?
博士
一般健診は労安衛法第66条で事業者に義務化された法定健診で、雇入時健診や定期健診がこれにあたる。目的は疾病の早期発見で、THPの健康増進とは目的が違うんだ。
サクラ
選択肢4の特定健診は?
博士
特定健診は高齢者医療確保法に基づき医療保険者が40〜74歳の被保険者と被扶養者に実施するメタボ健診で、特定保健指導がセット。これも別制度だよ。
サクラ
職域保健は制度が多くてややこしいですね。
博士
そうだね。整理すると、労安衛法の一般健診・THP・ストレスチェック、高齢者医療確保法の特定健診の4つが柱だ。根拠法と目的で区別しよう。
サクラ
ストレスチェックも職域保健ですか?
博士
そうだよ。2015年から50人以上の事業場で義務化された心理的負担評価制度だ。THPのメンタルヘルスケアと連動することも多いね。
サクラ
THPは全員が受けられるんですか?
博士
努力義務だから実施は事業者次第で、特に小規模事業場では普及が課題だった。2020年の指針改訂で集団中心の視点が加わり、事業場の実情に応じた柔軟な取り組みが推奨されているよ。
サクラ
健康測定と健診の違いがよく分かりました。
博士
法的根拠と目的の違いを押さえれば選択肢の見分けがつく。試験では複数制度を混ぜた問題が頻出だから要注意だ。
POINT
THPは労働安全衛生法第69条に基づく事業者の努力義務で、産業医による健康測定を起点に運動・保健・メンタルヘルス・栄養の4指導を展開する。正解は2の健康測定。がん検診は健康増進法、一般健診は労安衛法の法定健診、特定健診は高齢者医療確保法とそれぞれ根拠が異なり、いずれもTHPには含まれない。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:トータル・ヘルスプロモーション・プラン<THP>で実施されるのはどれか。
解説:正解は 2 です。トータル・ヘルスプロモーション・プラン(THP)は、労働安全衛生法第69条に基づき厚生労働大臣が定める「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」により、事業者の努力義務として進められる働く人の心と体の健康づくり施策です。中核となるのが産業医による「健康測定」で、問診、生活状況調査、診察、医学的検査、運動機能検査を実施し、その結果をもとに運動指導・保健指導・メンタルヘルスケア・栄養指導など個別指導につなげます。
選択肢考察
-
× 1. がん検診
がん検診は健康増進法に基づき市区町村が実施する対策型検診(胃・肺・大腸・子宮頸・乳の5種が推奨)で、職域では任意。THPの枠組みには含まれません。
-
○ 2. 健康測定
健康測定はTHPの出発点となる評価で、産業医が問診・生活状況調査・診察・医学的検査・運動機能検査を行います。結果に基づき4つの個別指導(運動・保健・メンタルヘルス・栄養)を展開するのが特徴です。
-
× 3. 一般健康診断
一般健康診断は労働安全衛生法第66条により事業者に義務づけられた法定健診(雇入時・定期等)で、疾病の早期発見が目的。THPの健康増進とは目的も枠組みも異なります。
-
× 4. 特定健康診査
特定健診は高齢者医療確保法に基づき医療保険者が40〜74歳の被保険者・被扶養者に実施するメタボリックシンドローム対策の健診で、特定保健指導とセット。THPとは別制度です。
THPは1988年の労働安全衛生法改正で「心と体の両面」を含む健康保持増進が事業者の努力義務となりスタートしました。2020年の指針改訂で「個人中心」から「集団中心」へ視点が移り、小規模事業場への普及拡大や事業場の特性に応じた実施が重視されています。職域保健では、法定健診(労安衛法)、特定健診(高齢者医療確保法)、THP(労安衛法)、ストレスチェック(50人以上事業場に義務)の4本柱を区別して覚えましょう。
THPの位置づけと中核である健康測定の内容を理解しているかを問う問題。他の健診制度との法的根拠・目的の違いが焦点です。
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