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HIVとAIDSはどう違う?感染予防と告知の原則

看護師国家試験 第107回 午前 第86問 / 健康支援と社会保障制度 / 感染症と生活環境への対策

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第86問

ヒト免疫不全ウイルス< HIV >感染症( human immunodeficiency virus infection )について適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.本人より先に家族に病名を告知する。
  2. 2.国内では異性間性的接触による感染が最も多い。
  3. 3.適切な対応によって母子感染率を下げることができる。
  4. 4.性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。
  5. 5.HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群< AIDS >( acquired immunodeficiency syndrome )と診断できる。

対話形式の解説

博士 博士

HIVとAIDSの違いを説明できるかの?

アユム アユム

HIVはウイルス、AIDSはそのウイルスによって免疫が低下し指標疾患を発症した状態……ですよね。

博士 博士

うむ、その通り。HIV感染=AIDSではないのがポイントじゃ。

アユム アユム

無症候期が長いから、感染に気づかずに過ごす方も多いんですよね。

博士 博士

そうじゃ。日本では感染経路のうち同性間性的接触が半数以上を占めて最多じゃ。

アユム アユム

異性間と思っていました。選択肢2がひっかけですね。

博士 博士

母子感染はどうじゃ?

アユム アユム

胎内・産道・母乳の3ルートですが、抗HIV薬・帝王切開・人工乳などで1%未満まで下げられると習いました。

博士 博士

正解。これが選択肢3の根拠じゃ。

アユム アユム

性行為ではコンドームが基本ですよね。

博士 博士

粘膜を介した感染を物理的に遮断する最も確実な手段じゃ。ART中でも他疾患予防の意味でも必要じゃ。

アユム アユム

告知は誰に先にするんですか?

博士 博士

まず本人じゃ。自己決定権に関わる情報じゃから、家族より先に告げるのは原則に反する。

アユム アユム

AIDSの診断基準はどう覚えればいいですか?

博士 博士

HIV感染+エイズ指標疾患23疾患のいずれか発症、と覚えるのじゃ。ニューモシスチス肺炎やカポジ肉腫などじゃな。

アユム アユム

U=Uって言葉も聞きました。

博士 博士

Undetectable=Untransmittable、治療でウイルス量を検出限界未満に抑えれば性行為でも伝播しないという考え方じゃ。

アユム アユム

医療者としては標準予防策と針刺し後のPEPも忘れてはいけませんね。

博士 博士

その通り。プライバシー保護も重要な看護の役割じゃぞ。

POINT

HIV感染症は感染経路(性行為・血液・母子)、予防策(コンドーム・ART・母子感染対策)、AIDS診断基準(指標疾患の発症)を整理して理解することが国試対策の要です。告知は本人の自己決定権を尊重し、プライバシー保護を徹底します。国内の最多感染経路は同性間性的接触で、母子感染率は適切な対応で1%未満まで下げられます。U=Uの概念や標準予防策、PEPも併せて押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 3 4 です

問題文:ヒト免疫不全ウイルス< HIV >感染症( human immunodeficiency virus infection )について適切なのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 3 と 4 です。HIVはCD4陽性Tリンパ球やマクロファージに感染して免疫機能を徐々に破壊するレトロウイルスで、感染経路は性行為・血液・母子の3つに限られます。母子感染は胎内・産道・母乳を介して起こりますが、妊娠中の抗HIV薬投与、選択的帝王切開、人工乳による哺育、児への予防投薬により感染率を1%未満まで下げることが可能です。性行為による感染予防にはコンドームの正しい使用が必須で、精液・腟分泌液と粘膜の接触を遮断することで感染リスクを大幅に下げます。病名告知は本人の自己決定権に属するためまず本人に行い、日本国内では同性間性的接触による感染が最多であること、HIV感染とAIDS(エイズ指標疾患23疾患のいずれかを発症した状態)の診断基準は別であることも押さえておきます。

選択肢考察

  1. × 1.  本人より先に家族に病名を告知する。

    告知は自己決定権の根幹であり、まず本人に行うのが原則です。

  2. × 2.  国内では異性間性的接触による感染が最も多い。

    日本では同性間性的接触による感染が半数以上を占め最多です。

  3. 3.  適切な対応によって母子感染率を下げることができる。

    抗HIV薬・帝王切開・断乳・児への予防投薬で感染率を1%未満まで抑制できます。

  4. 4.  性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。

    粘膜を介した感染を防ぐ最も基本的な手段で、正しく使用することが必須です。

  5. × 5.  HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群< AIDS >( acquired immunodeficiency syndrome )と診断できる。

    AIDSはエイズ指標疾患を発症した状態を指し、無症候期のHIV感染者は含まれません。

抗HIV療法(ART)は多剤併用(HAART)が主流で、ウイルス量を検出限界未満に抑えれば性行為での感染リスクも著しく低下します(U=U: Undetectable=Untransmittable)。医療者は標準予防策を徹底し、針刺し事故後は速やかに曝露後予防(PEP)を開始します。HIV検査は本人の同意が必須であり、プライバシー保護も重要な看護上の配慮です。

HIV感染症の感染経路・予防・告知・AIDS診断基準について正しく理解しているかを問う設問です。