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患者情報の取扱いはここまで守る!個人情報保護法と保助看法の基本

看護師国家試験 第106回 午後 第32問 / 健康支援と社会保障制度 / 健康を支える職種に関する法や施策

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第32問

患者の情報の取扱いについて正しいのはどれか。

  1. 1.看護師の守秘義務は医療法で規定されている。
  2. 2.統計的に処理された情報から患者個人を特定できる。
  3. 3.利用目的が明確であっても患者の情報の活用は制限される。
  4. 4.転院先の病院と患者の情報を共有する場合は患者の同意が必要である。

対話形式の解説

博士 博士

今日は患者さんの情報をどう扱うべきかという問題じゃ。看護師にとって一生ついて回るテーマじゃぞ。

アユム アユム

はい。まず看護師の守秘義務って、どの法律に書かれているんですか?

博士 博士

『保健師助産師看護師法』の第42条の2じゃ。医療法ではないぞ。正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしてはならん、と定められておる。

アユム アユム

医師の守秘義務と同じ法律じゃないんですね。

博士 博士

そう、医師や助産師は刑法第134条が根拠じゃ。職種によって根拠法が違うから、国試ではここを入れ替えて出題してくることが多いのう。

アユム アユム

なるほど。選択肢2の『統計処理された情報から個人を特定できる』はどうですか?

博士 博士

これは誤りじゃ。統計処理した情報は個人を識別する記述が取り除かれておるから、特定の患者さんを割り出すことはできん。だから学術発表や疫学調査に利用できるのじゃ。

アユム アユム

では正解の選択肢3、『利用目的が明確であっても活用は制限される』というのは、どういう意味ですか?

博士 博士

個人情報保護法では、あらかじめ利用目的を特定して公表し、その範囲内でしか使ってはならんと定められておる。つまり目的が明確であっても、範囲外に拡大することは制限されるのじゃ。

アユム アユム

逆に言うと、目的を明確にすれば自由に使えるわけではないんですね。

博士 博士

その通りじゃ。例えば診療目的で集めた情報を、製薬会社のマーケティングに渡すとなれば、本人の同意が別途必要になる。

アユム アユム

選択肢4の『転院先との情報共有には同意が必要』は一見正しそうですが?

博士 博士

これがひっかけでな。厚労省のガイダンスでは、院内掲示で『他医療機関との連携のため情報を用いる』と公表しておけば、転院時の情報提供は黙示の同意があったものとして扱えるのじゃ。

アユム アユム

診療情報提供書のような紹介のやり取りのたびに個別同意を取るのは現実的ではないですもんね。

博士 博士

うむ。ただし患者さんが情報提供を拒否した場合には、その意思を尊重せねばならん。黙示の同意はあくまで通常の診療連携を前提とした考え方じゃ。

アユム アユム

目的の公表と、拒否の尊重。両方が大事なんですね。

博士 博士

その通り。個人情報保護法は『絶対に共有するな』という法律ではなく、『目的を決めて適切に使いなさい』という枠組みの法律なのじゃよ。

アユム アユム

守秘義務は保助看法、情報の利用範囲は個人情報保護法と覚えればよさそうですね。

博士 博士

よくまとまっておる。最後に、離職後も守秘義務は続くという点も忘れぬように。実習記録や患者情報のメモを家に持ち帰って紛失、なんてのが実際に起きておる事例じゃからな。

POINT

患者情報の取扱いは、個人情報保護法と保健師助産師看護師法の2本柱で理解するのが基本です。個人情報保護法では、利用目的を特定・公表したうえで、その範囲内でしか個人情報を取り扱えないという原則があり、目的が明確であっても範囲外の活用は制限されます。一方で看護師の守秘義務の根拠は医療法ではなく保健師助産師看護師法第42条の2であり、離職後も続く点が特徴です。統計処理された情報は個人を特定できないため個人情報に該当せず、転院時の情報共有は院内掲示による利用目的公表のもとで黙示の同意として扱うことができます。臨床現場ではエレベーター内での患者氏名の口頭伝達や、SNSへの写真投稿など、意図せず情報が漏れる場面が多いため、看護師は法律の原則と日常の行動を結びつけて理解することが重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:患者の情報の取扱いについて正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。個人情報保護法では、個人情報取扱事業者はあらかじめ本人の同意を得ずに、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないと定められている(第18条)。医療機関における患者情報も例外ではなく、利用目的が明確であっても、その目的の範囲内でしか活用できず、目的外の利用には原則として本人の同意が必要となる。つまり「利用目的が明確だから自由に使ってよい」という意味ではなく、むしろ「利用目的の範囲内に限って使える」という制限がかかることが本問のポイントである。厚生労働省の『医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス』でも、院内掲示による利用目的の公表と、目的外利用時の同意取得が求められている。

選択肢考察

  1. × 1.  看護師の守秘義務は医療法で規定されている。

    誤り。看護師の守秘義務の根拠法は『保健師助産師看護師法』第42条の2であり、医療法ではない。同条では正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと規定され、違反した場合は6か月以下の懲役または10万円以下の罰金(告訴罪)が科される。なお医師・助産師の守秘義務は刑法第134条で規定されており、職種ごとに根拠法が異なる点に注意。

  2. × 2.  統計的に処理された情報から患者個人を特定できる。

    誤り。統計的に処理され集団として集計された情報は、個人を識別できる記述が取り除かれているため、そこから特定の個人を割り出すことはできない。そのため統計情報は個人情報保護法上の『個人情報』には該当せず、本人同意なく学術発表や公衆衛生統計に利用できる。

  3. 3.  利用目的が明確であっても患者の情報の活用は制限される。

    正しい。個人情報保護法では、あらかじめ特定・公表した利用目的の範囲内でしか個人情報を取り扱ってはならず、目的外利用には原則として本人の同意が必要とされている。したがって利用目的が明確であっても、その範囲を超える活用は制限される。医療現場では院内掲示で利用目的を公表していても、研究利用やマーケティング目的など範囲外の利用には追加の同意が必要となる。

  4. × 4.  転院先の病院と患者の情報を共有する場合は患者の同意が必要である。

    誤り(本問の公式正解との関係では不適当)。転院時に診療情報提供書などで患者情報を共有する行為は、『診療の継続のため』の目的であり、厚労省ガイダンスでは院内掲示等で利用目的を公表しておくことで、患者の黙示の同意があるものと扱える。もちろん患者が拒否している場合には共有できないが、『一律に個別の明示的同意が必須』と断定するのは誤りであり、選択肢3のほうがより正確な記述となる。

医療情報の取扱いに関する法律・ガイドラインを整理しておこう。 ・個人情報保護法:利用目的の特定・公表、目的内利用の原則、第三者提供時の同意(例外あり)を定める。 ・保健師助産師看護師法第42条の2:看護師等の守秘義務。離職後も継続する。 ・刑法第134条:医師・薬剤師・助産師等の守秘義務(看護師は対象外)。 ・医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(厚労省):院内掲示による利用目的の公表、他医療機関との情報共有の考え方などを具体的に示す。 転院・紹介に伴う診療情報提供は『診療の継続』に該当し、院内掲示で目的を公表していれば黙示の同意として扱える点は頻出論点である。

個人情報保護法と保健師助産師看護師法における患者情報の取扱い原則を問う問題。『利用目的の範囲内でしか使えない』という制限原則と、看護師の守秘義務の根拠法が保助看法である点を押さえたい。