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ホメオスタシスの番人は誰だ?―内部環境を守る受容器を見抜く

看護師国家試験 第106回 午後 第71問 / 人体の構造・機能 / 細胞・組織と恒常性

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第71問

ホメオスタシスに関与するのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.味蕾
  2. 2.筋紡錘
  3. 3.痛覚受容器
  4. 4.浸透圧受容器
  5. 5.中枢化学受容体

対話形式の解説

博士 博士

今日はホメオスタシスに関わる受容器を学ぶのじゃ。選択肢に色々な受容器が並んでおるが、どれが内部環境を守っておるか考えられるかの?

サクラ サクラ

えっと…味蕾とか痛覚受容器とか、感覚器ならなんでも関係ありそうな気がしますが…。

博士 博士

そこが引っ掛けなのじゃよ。ホメオスタシスとは『外部環境が変わっても体温・体液・血液ガスなど内部環境を一定に保つ働き』のこと。外の世界を感じる受容器と、体の内部を監視する受容器は別物なのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど!味蕾は『食べ物の味』、痛覚は『外からの刺激』、筋紡錘は『筋肉の伸び』…どれも外部情報ですね。

博士 博士

その通り。では『内部環境のセンサー』は何があるかの?

サクラ サクラ

浸透圧受容器と中枢化学受容体、ですか?

博士 博士

正解じゃ!浸透圧受容器は視床下部にあって、血漿浸透圧が上がるとバソプレシンを分泌させ、腎臓で水を再吸収して薄めるのじゃ。

サクラ サクラ

体液が濃くなったら水を戻して薄めるんですね。負のフィードバックってやつですか。

博士 博士

その通り。もう一つの中枢化学受容体は延髄にあり、脳脊髄液のpHを見張っておる。PaCO2が上がるとpHが下がるので、呼吸を促進してCO2を吐き出させるのじゃ。

サクラ サクラ

じゃあ呼吸が苦しくなるのも、実はpHを戻すための反応なんですね。

博士 博士

そうじゃよ。ちなみに末梢化学受容器として、頸動脈小体と大動脈小体もある。こちらは主に低酸素に反応するのじゃ。

サクラ サクラ

中枢はCO2とpH、末梢は主にO2…役割分担があるんですね。

博士 博士

試験では『視床下部=浸透圧・体温・摂食』『延髄=呼吸・循環・嘔吐の中枢』と場所もセットで覚えると強いのじゃ。

サクラ サクラ

受容器と中枢、出力系をセットでイメージすると整理しやすいですね。

POINT

ホメオスタシスとは、外部環境が変化しても血漿浸透圧・血液ガス・体温などの内部環境を一定範囲に保つ生体機能です。そのセンサーには、視床下部の浸透圧受容器(バソプレシン分泌を介して体液量を調節)と延髄の中枢化学受容体(換気量を介してPaCO2とpHを調節)が代表的で、いずれも負のフィードバックで作動します。味蕾・痛覚・筋紡錘のように外部刺激や運動情報を伝える受容器は、感覚や反射には重要でも内部環境の恒常性には直接関与しません。看護の場では、脱水や呼吸不全の患者が示すバイタルサインの変化はこれら受容器と調節系の働きそのものであり、病態生理を読み解く基礎として重要な知識です。

解答・解説

正解は 4 5 です

問題文:ホメオスタシスに関与するのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 4 と 5 です。ホメオスタシス(恒常性)とは、外部環境がどのように変化しても、体温・血漿浸透圧・血液ガス・血糖・pHといった内部環境を一定範囲内に保とうとする生体の働きで、自律神経系と内分泌系を介した負のフィードバック機構によって維持されています。浸透圧受容器は視床下部に存在し、血漿浸透圧の上昇を感知すると下垂体後葉からバソプレシン(ADH)を分泌させて腎臓での水再吸収を高め、血漿浸透圧を一定に保ちます。中枢化学受容体は延髄腹側にあり、脳脊髄液のpH低下(=PaCO2上昇)を感知して換気量を増やし、動脈血二酸化炭素分圧を一定範囲に保ちます。どちらも内部環境を一定に保つ代表的なセンサーであるためホメオスタシスに関与します。

選択肢考察

  1. × 1.  味蕾

    味蕾は舌に存在する味覚の化学受容器。甘味・塩味・酸味・苦味・うま味を感知し大脳皮質の味覚野に伝えるが、内部環境の恒常性維持には直接関与しない。

  2. × 2.  筋紡錘

    筋紡錘は骨格筋内にある伸張受容器で、筋長の変化を検知して伸張反射などを起こす。運動調節や姿勢保持には関わるが内部環境の恒常性には関与しない。

  3. × 3.  痛覚受容器

    痛覚受容器(侵害受容器)は組織損傷を伝える自由神経終末。危険を知らせる感覚であり、血漿浸透圧や血液ガスなどの内部環境調節には関与しない。

  4. 4.  浸透圧受容器

    視床下部の浸透圧受容器は血漿浸透圧の変化を感知し、バソプレシン分泌と口渇感を介して体液量・浸透圧を一定に保つ。ホメオスタシスの代表的な受容器。

  5. 5.  中枢化学受容体

    延髄の中枢化学受容体は脳脊髄液のpH(=PaCO2)を感知し、呼吸中枢を介して換気量を調節する。血液ガスとpHの恒常性維持に不可欠である。

ホメオスタシスのセンサーとして押さえておきたいのは、①視床下部の浸透圧受容器(水・Na調節)、②延髄の中枢化学受容体(CO2・pH調節)、③頸動脈小体・大動脈小体の末梢化学受容器(O2・CO2・pH)、④大動脈弓・頸動脈洞の圧受容器(血圧調節)、⑤視床下部の温度受容器(体温調節)。出力系としては自律神経系と内分泌系(特に視床下部‐下垂体系)が働き、ほとんどが負のフィードバックで制御されている点が重要。

「ホメオスタシス=内部環境の恒常性維持」という定義から、外部刺激を伝える感覚受容器(味蕾・痛覚・筋紡錘)と、内部環境を感知する受容器(浸透圧・化学受容体)を区別できるかを問う問題。