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肝臓は人体の化学工場!代表機能「糖の貯蔵」を押さえよう

看護師国家試験 第114回 午後 第77問 / 人体の構造・機能 / 消化器系

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第77問

肝臓の機能はどれか。

  1. 1.糖の貯蔵
  2. 2.胆汁の貯蔵
  3. 3.体液量の調節
  4. 4.体液のpH調節
  5. 5.ホルモンの分泌

対話形式の解説

博士 博士

今日は肝臓の機能について整理するのじゃ。「人体の化学工場」と呼ばれる理由を学ぶぞ。

サクラ サクラ

肝臓って、お酒を分解する臓器ってイメージです。

博士 博士

それも大事な機能じゃが、肝臓は500以上の働きをもつとされ、解毒だけじゃないのじゃ。大きく4つに整理できる。代謝・解毒・胆汁産生・貯蔵じゃ。

サクラ サクラ

今回の問題は「肝臓の機能はどれか」で、選択肢に「糖の貯蔵」がありますね。

博士 博士

その通り、これが正解じゃ。肝臓は食後に門脈から取り込んだブドウ糖をグリコーゲンに変えて貯蔵するのじゃ。

サクラ サクラ

空腹時はそれを分解して使うんですか?

博士 博士

うむ。空腹時にはグリコーゲンを分解(グリコーゲン分解)したり、アミノ酸や乳酸からブドウ糖を作ったり(糖新生)して血糖を維持するのじゃ。

サクラ サクラ

血糖値の安定にはインスリンが大事と聞きましたが、肝臓も大きな役割を担っているんですね。

博士 博士

その通り。インスリンは血糖を下げるホルモンで、肝臓のグリコーゲン合成を促進する。両者がチームで血糖を調節しておるのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の「胆汁の貯蔵」はどうですか?肝臓で作られるって聞いたことがあります。

博士 博士

鋭いところじゃ。胆汁は肝臓で「産生」されるが、「貯蔵」は胆嚢じゃ。食事を摂ると胆嚢が収縮して十二指腸に胆汁を放出するのじゃ。

サクラ サクラ

作るのと貯めるのが別の臓器なんですね。

博士 博士

選択肢3の体液量、選択肢4のpH、選択肢5のホルモン分泌は?

サクラ サクラ

体液量は腎臓ですよね。pHは肺と腎臓…ホルモン分泌は内分泌腺が中心ですか?

博士 博士

完璧じゃ!肝臓はアルブミンを作って間接的に体液量に関わったり、IGF-1などを産生したりはするが、これらの主役ではないのじゃ。

サクラ サクラ

むしろ肝臓はホルモンを「分解・不活化」する側ですよね。

博士 博士

よく覚えておるな。エストロゲンやアルドステロンの代謝は肝臓で行われるため、肝硬変ではホルモン代謝が障害されて女性化乳房や浮腫が出ることがあるのじゃ。

サクラ サクラ

肝臓が悪くなるとどんな症状が出るんですか?

博士 博士

アルブミン低下で浮腫や腹水、凝固因子減少で出血傾向、アンモニア処理低下で肝性脳症、ビリルビン代謝障害で黄疸など、機能の数だけ症状が出るのじゃ。だから「人体の化学工場」と呼ばれるのじゃよ。

POINT

肝臓は糖質代謝・脂質代謝・蛋白合成・解毒・胆汁産生・貯蔵など500以上の機能を担う「人体の化学工場」で、代表機能のひとつが糖(グリコーゲン)の貯蔵です。食後にブドウ糖を取り込んでグリコーゲンとして蓄え、空腹時には分解と糖新生で血糖を維持します。胆汁は肝臓で「産生」されますが「貯蔵」は胆嚢、体液量は腎臓、pH調節は肺と腎臓、ホルモン分泌は内分泌腺が主体であり、それぞれの臓器の役割を区別することが重要です。肝機能障害ではアルブミン低下による浮腫・腹水、凝固因子低下による出血傾向、アンモニア蓄積による肝性脳症など多彩な症状が出現するため、肝臓の多彩な機能を理解することは臨床所見の解釈にも直結します。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:肝臓の機能はどれか。

解説:正解は 1 です。肝臓は「人体の化学工場」と呼ばれる代謝中枢で、食後に門脈を介して取り込んだブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵し、空腹時にはグリコーゲン分解や糖新生によってブドウ糖を血液中に放出することで血糖を一定に保つ。糖の貯蔵(グリコーゲン貯蔵)は肝臓の代表的な機能のひとつである。肝臓はほかにも蛋白質合成(アルブミン・凝固因子)、解毒、胆汁産生など500以上の機能を担うとされる。

選択肢考察

  1. 1.  糖の貯蔵

    肝臓は門脈血のブドウ糖をグリコーゲンに変換して貯蔵し、空腹時には分解して血糖維持に用いる。糖質代謝の中枢的役割を担う。

  2. × 2.  胆汁の貯蔵

    胆汁は肝臓で「産生」されるが、「貯蔵」は胆嚢で行われる。胆嚢は食事摂取に応じて胆汁を十二指腸へ放出する。

  3. × 3.  体液量の調節

    体液量の調節は主に腎臓が担う(尿量・ナトリウム再吸収・RAA系・ADHなど)。肝臓は浸透圧維持に関わるアルブミンを合成する点で間接的に関与するが、主機能ではない。

  4. × 4.  体液のpH調節

    酸塩基平衡の調節は主に肺(CO2排出)と腎臓(HCO3-再吸収・H+排泄)が担う。肝臓は乳酸代謝などで間接的に関わるが、主機能ではない。

  5. × 5.  ホルモンの分泌

    ホルモン分泌の主役は内分泌腺(下垂体・甲状腺・副腎・膵島など)。肝臓はIGF-1やアンジオテンシノーゲンを産生するなど一部関与するが、ホルモン分泌は代表的機能とは位置付けられない。むしろ肝臓はホルモンの代謝・不活化を担う。

肝臓の主な機能は4つに整理できる。(1) 代謝(糖:グリコーゲン貯蔵・糖新生/脂質:脂肪酸代謝・コレステロール合成・ケトン体産生/蛋白:アルブミン・凝固因子・尿素合成)、(2) 解毒(薬物・アルコール・アンモニア→尿素)、(3) 胆汁産生(脂質消化・ビリルビン排泄)、(4) 貯蔵(グリコーゲン・ビタミンADEK・B12・鉄)。肝硬変や肝不全ではこれらの機能が破綻し、低アルブミン血症(浮腫・腹水)、出血傾向(凝固因子低下)、高アンモニア血症(肝性脳症)、黄疸などをきたす。

肝臓の代表的機能を、他臓器(胆嚢・腎臓・肺・内分泌腺)の機能と区別して理解しているかを問う基本問題。