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門脈はどこから来てどこへ行く?肝臓の「入口」と「出口」を整理

看護師国家試験 第114回 午後 第82問 / 人体の構造・機能 / 消化器系

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第82問

門脈系の血管はどれか。2つ選べ。

  1. 1.肝静脈
  2. 2.脾静脈
  3. 3.食道静脈
  4. 4.内腸骨静脈
  5. 5.下腸間膜静脈

対話形式の解説

博士 博士

今日は門脈系の血管を学ぶぞ。普通の血管とちょっと違う特別な経路じゃ。

アユム アユム

門脈って、肝臓に入る血管…ですよね?

博士 博士

その通り。普通は「毛細血管→静脈→心臓」と流れるが、門脈は「消化管の毛細血管→門脈→肝臓の毛細血管」と、毛細血管を二回通るのじゃ。

アユム アユム

なんでそんな寄り道みたいなことをするんですか?

博士 博士

腸で吸収した栄養やアンモニアなどを、まず肝臓で代謝・解毒してから全身に送るためじゃよ。これが門脈の最大の役目じゃ。

アユム アユム

じゃあ門脈をつくる血管にはどんなものがあるんですか?

博士 博士

主に上腸間膜静脈・下腸間膜静脈・脾静脈・胃の静脈などが合流して門脈本幹になる。今回の選択肢では脾静脈と下腸間膜静脈じゃな。

アユム アユム

肝静脈は門脈じゃないんですか?名前が紛らわしいです。

博士 博士

いい疑問じゃ。肝静脈は肝臓で処理されたあとの血液を下大静脈に送る「出口」の血管。門脈は「入口」じゃから別物なのじゃ。

アユム アユム

食道静脈はどうですか?食道静脈瘤って門脈圧亢進で出てきますよね。

博士 博士

そこが面白いところでな。食道静脈は本来は奇静脈系(体循環)に流れるが、下部食道で門脈系と吻合しておる。肝硬変で門脈圧が上がると、ここに血液が逆流して静脈瘤ができるのじゃ。

アユム アユム

なるほど、つまり吻合があるだけで門脈系本幹そのものではないんですね。

博士 博士

その通り。内腸骨静脈も骨盤からの血液を下大静脈に戻す体循環系で、門脈系ではない。

アユム アユム

門脈圧亢進で出てくる側副血行路って他にもあるんですか?

博士 博士

腹壁の静脈が膨らむメズサの頭、痔静脈瘤、食道静脈瘤の3つが有名じゃ。これらは門脈と体循環の吻合部位と一致しておる。

アユム アユム

肝硬変の患者さんを看るときは、こういう解剖を頭に入れて観察すると意味が分かりやすいですね。

博士 博士

うむ。解剖を理解すれば症状の意味が見えてくる。看護師としての観察眼が一段上がるぞ。

POINT

門脈系は消化管・脾臓・膵臓などからの血液を集めて、いったん肝臓に運ぶ特殊な血管系で、上腸間膜静脈・下腸間膜静脈・脾静脈などが合流して門脈本幹を形成します。脾静脈と下腸間膜静脈はいずれもこの門脈に直接流れ込む枝であり、門脈系の血管に含まれます。一方、肝静脈は肝臓から下大静脈に向かう「出口」、内腸骨静脈は骨盤からの体循環系、食道静脈は奇静脈系に分類され、いずれも門脈系本幹ではありません。門脈圧亢進症で食道静脈瘤や腹壁静脈怒張が形成される機序を理解するうえでも、門脈系と体循環系の境界を解剖学的に押さえておくことが重要です。

解答・解説

正解は 2 5 です

問題文:門脈系の血管はどれか。2つ選べ。

解説:正解は 2 の「脾静脈」と 5 の「下腸間膜静脈」です。門脈系とは、消化管・脾臓・膵臓など腹部消化器系で吸収・産生された栄養素やホルモンを集めて、いったん肝臓へ送り込む特殊な血管系のことです。上腸間膜静脈・下腸間膜静脈・脾静脈などが膵頭部の後方で合流して門脈本幹を形成し、肝門から肝臓に流入します。脾静脈は脾臓からの血液を集めて門脈に合流する主要な枝であり、下腸間膜静脈は下行結腸〜直腸上部の血液を集めて脾静脈に流入する枝として、いずれも門脈系に分類されます。

選択肢考察

  1. × 1.  肝静脈

    肝静脈は肝臓で代謝・解毒された血液を下大静脈に直接送り出す静脈で、いわば肝臓の「出口」の血管。門脈は肝臓の「入口」にあたるため、肝静脈は門脈系に含まれない。

  2. 2.  脾静脈

    脾静脈は脾臓からの血液を集めて、上腸間膜静脈と合流し門脈本幹を形成する太い枝。門脈系に分類される代表的な血管である。

  3. × 3.  食道静脈

    食道静脈は基本的に奇静脈系(体循環)に流れ込む血管。下部食道では胃冠状静脈を介して門脈系と吻合があり、肝硬変による門脈圧亢進時に食道静脈瘤を形成するが、解剖学的には門脈系本幹には含まれない。

  4. × 4.  内腸骨静脈

    内腸骨静脈は骨盤内臓器や外性器からの血液を集めて総腸骨静脈を経由し下大静脈に注ぐ体循環系の静脈。門脈系には属さない。

  5. 5.  下腸間膜静脈

    下腸間膜静脈は下行結腸・S状結腸・直腸上部からの血液を集め、脾静脈に合流して門脈に至る枝。門脈系の主要構成血管の一つである。

門脈系のポイントは「毛細血管→門脈→肝臓の毛細血管(類洞)」という二度毛細血管を通る特殊なルートにある。これにより消化管で吸収された栄養素やアンモニアなどが、まず肝臓で代謝・解毒されてから全身に送られる。臨床的には肝硬変などで門脈圧が高まると血液が逆流し、食道静脈瘤・腹壁静脈怒張(メズサの頭)・痔静脈瘤などの「側副血行路」が形成される。これらは門脈系と体循環系の吻合部位を理解しておくと整理しやすい。

腹部消化器系の静脈のうち、肝臓に流入する門脈系(脾静脈・上下腸間膜静脈など)と、下大静脈に流れる体循環系(肝静脈・内腸骨静脈など)を区別できるかを問う問題。