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ごっくんの瞬間に起きる4つの動き—嚥下反射の精密な仕組み

看護師国家試験 第114回 午前 第29問 / 人体の構造・機能 / 消化器系

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第29問

嚥下反射に伴って起こるのはどれか。

  1. 1.甲状腺の上下の動き
  2. 2.肝臓の上下の動き
  3. 3.声門の開放
  4. 4.舌根の沈下

対話形式の解説

博士 博士

今日は嚥下反射について学ぶぞ。摂食嚥下は看護で頻繁に関わる領域じゃ。

サクラ サクラ

飲み込むときって、何が起こっているんでしょう?

博士 博士

嚥下は3相に分けられる。①口腔期は舌で食塊を咽頭へ送る随意運動、②咽頭期が嚥下反射そのもの、③食道期は蠕動運動で胃へ送るのじゃ。

サクラ サクラ

反射が起こるのは咽頭期なんですね。

博士 博士

その通り。咽頭期では多くの動きが瞬時に同時進行する。軟口蓋が挙上して鼻腔を閉鎖、舌骨と喉頭が挙上、喉頭蓋が反転、声門が閉鎖、呼吸が停止、食道入口部が開大するのじゃ。

サクラ サクラ

凄まじい連携プレーですね。今回の問題で「甲状腺の上下の動き」が正解なのはなぜですか?

博士 博士

甲状腺は喉頭の前面、甲状軟骨直下にある。喉頭が挙上すると甲状腺も一緒に上下する。だから触診時に「水を飲んでください」と指示するのじゃ。

サクラ サクラ

甲状腺の腫瘍や腫大を見つけるテクニックなんですね。

博士 博士

その通り。声門は誤嚥防止のため「閉鎖」が正解で、開放ではない。

サクラ サクラ

舌根の沈下はどうですか?

博士 博士

逆じゃ。嚥下時は舌根が「挙上」して食塊を押し出す。舌根の沈下は意識障害や仰臥位で起こる気道閉塞のサインで、エアウェイが必要になるのじゃ。

サクラ サクラ

肝臓は明らかに無関係ですね。

博士 博士

じゃが、肝臓は呼吸で上下するから触診の際は深呼気を利用する。これは余談じゃが豆知識じゃ。

サクラ サクラ

嚥下反射の中枢はどこにありますか?

博士 博士

延髄じゃ。関連する脳神経は三叉神経(Ⅴ)・顔面神経(Ⅶ)・舌咽神経(Ⅸ)・迷走神経(Ⅹ)・舌下神経(Ⅻ)と多岐にわたる。

サクラ サクラ

脳血管障害で嚥下障害が起こりやすいのはこのためですね。

博士 博士

その通り。誤嚥性肺炎は高齢者の死因上位を占める重要疾患。看護では食事時の体位(30度ギャッチアップ+頸部前屈)、食形態の工夫、反復唾液嚥下テスト(RSST)などで予防するのじゃ。

サクラ サクラ

生理学を理解すると、ケアの一つひとつに意味があるとわかりますね。

博士 博士

知識を実践に結びつける姿勢を持ち続けてほしい。

POINT

嚥下反射では舌骨と喉頭が挙上し、それに伴って前面に位置する甲状腺も上下に動きます。同時に喉頭蓋が反転し声門も閉鎖して気道を防御し、軟口蓋挙上による鼻腔閉鎖、食道入口部の開大が瞬時に同時進行します。声門は閉鎖、舌根は挙上が正しい動きで、いずれも誤嚥防止と食塊の食道への送り込みに不可欠です。嚥下中枢は延髄にあり脳血管障害で容易に障害されるため、誤嚥性肺炎予防の観点から食事時の体位・食形態調整・嚥下評価は看護の中核技術となります。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:嚥下反射に伴って起こるのはどれか。

解説:正解は 1 です。嚥下反射は咽頭期に起こる一連の反射運動で、舌骨と喉頭が前上方へ挙上し、喉頭蓋が反転して喉頭口を閉鎖、声門も閉じて気道を防御する。喉頭の前方・甲状軟骨直下に位置する甲状腺は喉頭の動きに伴って上下するため、嚥下時に甲状腺が上下に動くという所見が得られる。これは甲状腺触診の際に「水を飲んでください」と指示する根拠でもある。

選択肢考察

  1. 1.  甲状腺の上下の動き

    嚥下反射では喉頭が挙上し、それに伴い前面に位置する甲状腺も上下に動く。臨床では甲状腺の触診時、嚥下動作によって腫瘍や腫大の有無を確認する。

  2. × 2.  肝臓の上下の動き

    肝臓は腹腔内にあり、横隔膜の動き(呼吸)や体位変換で上下するが、嚥下反射とは関係しない。なお肝臓の触診は深呼気で下方移動を利用する。

  3. × 3.  声門の開放

    嚥下反射では誤嚥防止のため声門は「閉鎖」する。同時に喉頭蓋が後屈して喉頭口を覆い、二重に気道を保護する仕組みになっている。

  4. × 4.  舌根の沈下

    嚥下時、舌は食塊を咽頭へ送り出すため舌根は「挙上」する。舌根の沈下は意識障害時や仰臥位での気道閉塞の原因であり、嚥下反射とは正反対の動き。

嚥下は3相に分けられる:①口腔期(随意運動:舌で食塊を咽頭へ送る)、②咽頭期(不随意の嚥下反射:軟口蓋挙上で鼻腔閉鎖、舌骨喉頭挙上、喉頭蓋反転、声門閉鎖、呼吸停止、食道入口部開大)、③食道期(蠕動運動で食塊が胃へ送られる)。嚥下中枢は延髄にあり、関連神経はⅤ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ・Ⅻ脳神経。誤嚥のリスクは脳血管障害後やパーキンソン病、加齢で高まり、誤嚥性肺炎の原因となる。看護では摂食時の体位(30度ギャッチアップ+頸部前屈)、食形態の調整、嚥下反射の評価(反復唾液嚥下テスト等)が重要。

嚥下反射に伴う身体の動きを問う問題。喉頭挙上に伴う甲状腺の動きを押さえる。