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男性生殖器の解剖を整理する

看護師国家試験 第105回 午前 第29問 / 人体の構造・機能 / 生殖器系

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第29問

男性生殖器について正しいのはどれか。

  1. 1.精巣は腹腔内にある。
  2. 2.精囊は精子を貯留する。
  3. 3.前立腺は直腸の前面に位置する。
  4. 4.右精巣静脈は腎静脈に流入する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は男性生殖器の位置関係と機能を押さえよう。

サクラ サクラ

似た用語が多くて混乱しがちです。

博士 博士

まず精巣。これは陰嚢内にあり、腹腔内ではない。なぜ体外に近い場所にあるか分かるかな?

サクラ サクラ

精子を作るには低い温度が必要と聞きました。

博士 博士

その通り。精子形成には体温より約2℃低い温度が必要だ。だから陰嚢内に下降し体表温度より低く保たれる。胎生期には腹腔内にあるが、妊娠後期に鼠径管を通って下降する。

サクラ サクラ

下降が不完全だと停留精巣ですね。

博士 博士

そう。放置すると不妊症や精巣腫瘍のリスクが上がるから小児期に手術で整復する。

サクラ サクラ

精囊は精子を貯留するのですか?

博士 博士

いや、それは誤解されやすい。精囊は膀胱底部後方にあり、果糖に富むアルカリ性の精囊液を分泌する腺だ。精子を貯留・成熟させるのは精巣上体、副睾丸の尾部だよ。

サクラ サクラ

前立腺の位置は?

博士 博士

膀胱の直下で尿道を取り巻き、後方は直腸に接する。つまり直腸の前面にあるため、直腸指診で触知できる。

サクラ サクラ

直腸指診は前立腺肥大症や前立腺癌のスクリーニングに使うのですね。

博士 博士

その通り。大きさ、硬さ、結節の有無、左右対称性を評価する。PSA値と組み合わせて診断するんだ。

サクラ サクラ

右精巣静脈はどこに流入するのでしょう?

博士 博士

右は下大静脈に直接流入し、左は左腎静脈に流入する。左は走行が長く、左腎静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれるナットクラッカー現象の影響で、精索静脈瘤は左側に多い。

サクラ サクラ

精液の成分構成はどうなっていますか?

博士 博士

精子は精巣で作られ精巣上体で貯留・成熟、射精時に精管を通り、精囊液(約60%)と前立腺液(約30%)が混ざって精液となる。前立腺液にはPSAが含まれる。

サクラ サクラ

射精の経路も整理したいです。

博士 博士

精巣→精巣上体→精管→射精管→尿道、と覚えるとよい。精管と精囊が合流した射精管が前立腺内で尿道と合流する。

サクラ サクラ

解剖と病態が結びつきました。

博士 博士

前立腺癌、前立腺肥大症、精索静脈瘤など、男性生殖器の疾患理解に直結する知識だから、位置関係をしっかり頭に入れておこう。

POINT

男性生殖器では、前立腺は膀胱直下・直腸前面に位置し直腸指診で触知できます。精巣は陰嚢内にあり低温で精子形成を行い、精子は精巣上体で貯留・成熟します。精囊は精囊液を分泌する腺であり精子の貯留場所ではありません。右精巣静脈は下大静脈、左精巣静脈は左腎静脈に流入し、左側に精索静脈瘤が多い解剖学的理由にもつながります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:男性生殖器について正しいのはどれか。

解説:正解は3です。前立腺は膀胱頸部下方に位置し、尿道前立腺部を取り囲みます。後方には直腸が接しているため、直腸指診で前立腺の大きさ・硬さ・結節などを触診できます。前立腺肥大症や前立腺癌のスクリーニングで重要な手技です。

選択肢考察

  1. × 1.  精巣は腹腔内にある。

    精巣は陰嚢内に位置します。精子形成には体温より約2℃低い温度が必要なため陰嚢内で保持されます。胎生期に腹腔から下降し、下降が不完全なものは停留精巣として小児期に治療対象となります。

  2. × 2.  精囊は精子を貯留する。

    精囊は膀胱底部後方にあり、果糖に富むアルカリ性の精囊液を分泌します。精子を貯留・成熟させるのは精巣上体(副睾丸)の尾部です。

  3. 3.  前立腺は直腸の前面に位置する。

    前立腺は膀胱の下、直腸の前面に位置し、尿道を取り囲みます。直腸指診で触知可能な解剖学的位置関係です。

  4. × 4.  右精巣静脈は腎静脈に流入する。

    右精巣静脈は下大静脈に直接流入し、左精巣静脈のみが左腎静脈に流入します。左側は長く走行し弁機能不全も起こりやすいため、精索静脈瘤は左に多く見られます。

男性生殖器の位置関係は解剖学の基本で、頻出です。精巣→精巣上体→精管→精囊・前立腺合流→射精管→尿道という精子の経路と、精巣で産生→精巣上体で貯留・成熟→射精時に精囊液・前立腺液と混ざって精液となる流れを押さえましょう。静脈還流では、右精巣静脈は下大静脈、左精巣静脈は左腎静脈に流入するため、左腎静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれる「ナットクラッカー現象」で左側の精索静脈瘤が起こりやすくなります。

男性生殖器の解剖学的位置関係と静脈還流経路を正しく理解しているかを問う問題です。