蠕動運動を行う泌尿器を整理しよう
看護師国家試験 第110回 午後 第84問 / 人体の構造・機能 / 泌尿器系
国試問題にチャレンジ
蠕動運動がみられるのはどれか。2つ選べ。
- 1.腎動脈
- 2.腎盂
- 3.尿管
- 4.膀胱
- 5.尿道
対話形式の解説
博士
今日は泌尿器の働きのうち蠕動運動について見ていくぞ。蠕動運動とは何じゃ?
アユム
平滑筋が順序よく収縮して、内容物を一方向に送る運動のことです。
博士
うむ。主に消化管で知られておるが、泌尿器系にも存在するぞ。どこか分かるか?
アユム
腎盂と尿管ですね。
博士
その通り。腎臓で作られた尿は腎錐体から腎杯、腎盂に集まり、そこから尿管を通って膀胱に運ばれる。
アユム
重力だけで流れるわけではないのですね。
博士
そうじゃ。仰臥位や逆立ちの状態でも尿は流れるからな。能動的に平滑筋が押し出しておる。
アユム
尿管は何回くらい蠕動するのですか?
博士
1分間に数回のペースで上から下へ規則的に蠕動するのじゃ。
アユム
膀胱は蠕動しないのでしょうか?
博士
膀胱は『貯める』臓器で、普段は弛緩、排尿時だけ一斉収縮する。連続した蠕動はしないぞ。
アユム
尿道も同じですか?
博士
尿道は管であり、括約筋の開閉で尿を通すのみじゃ。蠕動は行わない。
アユム
腎動脈はどうですか?
博士
血管は拍動するが蠕動はしない。拍動と蠕動は別物じゃ。
アユム
尿路結石で痛いのは蠕動と関係ありますか?
博士
結石があると尿管の蠕動が強まり疝痛発作を起こすのじゃ。看護でも知っておくと良いぞ。
POINT
蠕動運動は平滑筋が順次収縮して内容物を一方向へ輸送する運動で、泌尿器では腎盂と尿管がこれを担います。腎動脈は拍動、膀胱は一斉収縮、尿道は括約筋開閉で蠕動はしません。尿管結石の疝痛発作は蠕動亢進により起こるため臨床的にも重要です。泌尿器系の輸送メカニズムを理解することで、尿流障害や尿閉のアセスメントにも役立ちます。
解答・解説
正解は 2 ・ 3 です
問題文:蠕動運動がみられるのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 2 の腎盂と 3 の尿管です。腎盂と尿管の平滑筋が順次収縮することで尿を膀胱へ押し送ります。
選択肢考察
-
× 1. 腎動脈
血管壁には平滑筋がありますが、拍動や収縮・拡張を行うのみで、尿管や消化管のような蠕動運動は行いません。
-
○ 2. 腎盂
腎錐体で作られた尿を集める部位で、平滑筋による蠕動運動で尿を尿管へ送り出します。
-
○ 3. 尿管
上から下へ規則的な蠕動運動を繰り返して尿を膀胱へ輸送します。1分あたり数回のペースで蠕動が起こります。
-
× 4. 膀胱
蓄尿期は弛緩、排尿期は一斉に収縮する『排尿筋』の働きで、連続した蠕動運動は起こしません。
-
× 5. 尿道
尿を外部へ通す管で、内尿道括約筋と外尿道括約筋の弛緩により尿が通過します。蠕動運動は行いません。
蠕動運動は消化管全般(食道・胃・小腸・大腸)および尿路の腎盂・尿管でみられ、いずれも平滑筋の輪状筋と縦走筋が交互に収縮することで内容物を一方向に送ります。尿管の蠕動は重力に逆らって尿を運搬できるため、仰臥位でも尿は流れます。尿管結石があると蠕動が強まり疝痛発作を起こします。
泌尿器系のうち蠕動運動を行う部位を選択する問題で、腎盂と尿管の輸送機能に着目します。
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