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ビタミンCで尿潜血が偽陰性に?試験紙法の落とし穴

看護師国家試験 第114回 午前 第79問 / 人体の構造・機能 / 泌尿器系

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第79問

過剰に摂取すると試験紙法による尿潜血検査が偽陰性となるのはどれか。

  1. 1.葉酸
  2. 2.ビタミンA
  3. 3.ビタミンB 1
  4. 4.パントテン酸
  5. 5.アスコルビン酸

対話形式の解説

博士 博士

今日は尿検査の試験紙法と、その落とし穴について学ぶぞ。

サクラ サクラ

尿検査の試験紙ってよく見ますけど、どういう仕組みなんですか?

博士 博士

項目ごとに化学反応の原理が違うのじゃ。今日のテーマである尿潜血は、ヘモグロビンが持つペルオキシダーゼ様の酸化作用を利用しておる。

サクラ サクラ

ヘモグロビンが酸化反応を起こすと色が変わるんですね。

博士 博士

そう。試薬中の指示薬がヘモグロビンの作用で酸化されて発色する。色の濃さで陽性度を判定するのじゃ。

サクラ サクラ

偽陰性って、本当はあるのに「ない」と判定されちゃうことですよね。

博士 博士

その通り。今回の問題ではアスコルビン酸、つまりビタミンCの過剰摂取が偽陰性の原因になる。

サクラ サクラ

ビタミンCって体にいいんじゃないですか?

博士 博士

もちろん健康効果はある。じゃが化学的には強い還元剤じゃ。試薬の酸化反応を妨げてしまうため、ヘモグロビンがあっても発色せず、結果が偽陰性になってしまう。

サクラ サクラ

他の項目にも影響しますか?

博士 博士

影響する。尿糖、ビリルビン、亜硝酸塩も同じく酸化反応を利用しているから、ビタミンC過剰摂取で偽陰性になりやすい。

サクラ サクラ

ビタミンCは何に多く含まれますか?

博士 博士

サプリメント、ビタミン剤、ビタミンC強化飲料、市販の総合感冒薬、果汁飲料、ローズヒップティーなどじゃ。検査前日や当日に大量摂取すると影響が出る。

サクラ サクラ

看護師として何を確認すれば良いですか?

博士 博士

検査前にビタミンC含有製品の摂取状況を確認することじゃ。可能なら検査の2日前から控えてもらう。「ビタミン剤やサプリは飲んでいますか?」と問診するクセをつけるとよい。

サクラ サクラ

他のビタミンは影響しないんですか?

博士 博士

影響は基本的にない。葉酸、ビタミンA、ビタミンB1、パントテン酸はそれぞれ別の機能を持つが、試験紙の酸化還元反応には干渉しない。じゃから今回の正解はアスコルビン酸のみじゃ。

サクラ サクラ

試験紙以外の検査では問題ないんですか?

博士 博士

顕微鏡的検査(沈渣)や免疫学的検査では影響を受けにくい。試験紙が偽陰性のとき、本当の血尿の有無は尿沈渣や潜血の精密検査で確認することがある。

サクラ サクラ

新しい試験紙はビタミンC耐性が改善されてきているとも聞きました。

博士 博士

その通り。最近の改良型はビタミンC干渉を受けにくくなっておるが、過量摂取時には完全には防げない。やはり問診と摂取状況の確認が基本じゃ。

サクラ サクラ

試験紙の仕組みを理解すると、ただの作業じゃなく意味がわかりますね。

POINT

尿試験紙法の尿潜血検査はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様酸化作用を利用しているため、強い還元剤であるアスコルビン酸(ビタミンC)の大量摂取により試薬の酸化反応が阻害され偽陰性となります。同様の原理から尿糖、ビリルビン、亜硝酸塩の検査も影響を受けやすく、サプリメントやビタミン強化飲料、市販の総合感冒薬を摂取している場合に注意が必要です。看護師は検査前にビタミンCを含む製品の摂取状況を問診し、可能であれば2日程度前から控えるよう指導します。試験紙の反応原理を理解しておくことで、検査結果の信頼性を判断し、必要に応じて再検査や精密検査の提案ができるようになります。

解答・解説

正解は 5 です

問題文:過剰に摂取すると試験紙法による尿潜血検査が偽陰性となるのはどれか。

解説:正解は 5 です。試験紙法による尿潜血検査は、ヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用を利用した酸化反応によって発色する原理である。アスコルビン酸(ビタミンC)には強い還元作用があるため、試薬の酸化反応を阻害し、ヘモグロビンが存在していても発色せず偽陰性となる。同じ原理で尿糖(グルコース)、ビリルビン、亜硝酸塩の検査も偽陰性化することがある。

選択肢考察

  1. × 1.  葉酸

    葉酸(ビタミンB9)はDNA・RNA合成や赤血球成熟に関与するビタミンで、尿試験紙の酸化還元反応に影響を及ぼさない。

  2. × 2.  ビタミンA

    ビタミンAは脂溶性ビタミンで視覚機能や上皮維持に関与する。尿試験紙への直接的影響はない。過剰摂取では肝障害や頭痛などの全身症状が起こる。

  3. × 3.  ビタミンB 1

    ビタミンB1(チアミン)は糖代謝の補酵素。尿試験紙に対する還元作用はなく、検査結果に影響しない。

  4. × 4.  パントテン酸

    パントテン酸(ビタミンB5)はコエンザイムAの構成成分で、糖質・脂質・アミノ酸代謝に関与する。尿試験紙への影響はない。

  5. 5.  アスコルビン酸

    アスコルビン酸(ビタミンC)は強い還元剤で、試験紙の酸化反応を阻害し尿潜血、尿糖、ビリルビン、亜硝酸塩を偽陰性にしうる。サプリメントや風邪薬、飲料に多く含まれる。

尿試験紙は項目ごとに反応原理が異なる。尿潜血と尿糖はペルオキシダーゼ反応または酸化還元反応を利用するため、ビタミンC大量摂取で偽陰性になりやすい。一方、尿蛋白はpH指示薬の蛋白誤差を利用、尿pHはpH指示薬を利用するため、ビタミンCの影響は受けにくい。検査前にはサプリメント、ビタミン強化飲料、市販の総合感冒薬など、ビタミンC含有製品の摂取状況を確認することが重要。なお現代の試験紙にはビタミンC耐性を高めた改良型もあるが、大量摂取時には完全には防げない。

尿試験紙の反応原理(酸化反応)と還元剤(ビタミンC)の干渉を結びつける問題。アスコルビン酸=強力な還元剤=偽陰性、というつながりを覚える。