糸球体は優秀なふるい!ミオグロビンが通る理由
看護師国家試験 第112回 午前 第76問 / 人体の構造・機能 / 泌尿器系
国試問題にチャレンジ
正常な糸球体で濾過される物質はどれか。
- 1.フィブリノゲン
- 2.ミオグロビン
- 3.アルブミン
- 4.血小板
- 5.赤血球
対話形式の解説
博士
今回は腎臓の糸球体濾過の問題じゃ。糸球体は「血液のふるい」と呼ばれるが、どんな基準でふるい分けているか分かるかね?
アユム
たしか大きさで決まるんでしたっけ?
博士
半分正解じゃ。糸球体基底膜には2つのフィルター機能がある。1つはサイズバリア、もう1つはチャージバリアじゃ。
アユム
チャージ…電荷ですか?
博士
その通り。糸球体基底膜は陰性電荷を帯びておるから、同じ陰性電荷を持つ分子は反発されて通りにくいのじゃ。
アユム
へえ、物理的な大きさだけじゃなくて電荷も見ているんですね。
博士
代表例がアルブミンじゃ。分子量は約6万6千でサイズ的には境界域なんじゃが、陰性電荷を帯びておるから通常は通過しない。糖尿病性腎症で基底膜のチャージバリアが壊れると微量アルブミン尿が出始める、というわけじゃ。
アユム
微量アルブミン尿って早期腎症の指標ですね!
博士
鋭いのう。さて選択肢を見ていこう。選択肢1のフィブリノゲンは?
アユム
凝固因子ですよね。血液凝固に関わるから血中に残るはず。分子量も大きそうです。
博士
正解。分子量約34万じゃから完全に阻止される。選択肢2のミオグロビンはどうじゃ?
アユム
筋肉にあるやつですよね。横紋筋融解症のときに尿に出るって聞いたことがあります。
博士
ドンピシャじゃ。ミオグロビンは分子量約1万7千と小さく、正常でも糸球体を通過する。血液中に大量に遊離すると尿細管で析出して詰まり、急性腎障害を引き起こすのじゃ。
アユム
じゃあ横紋筋融解症で尿が赤褐色になるのは、ミオグロビンが濾過されて尿に出てるからなんですね。
博士
その通り。治療は大量輸液と尿アルカリ化でミオグロビンの析出を防ぐのが基本じゃ。選択肢3のアルブミンは先ほど話した通り、選択肢4の血小板と選択肢5の赤血球は?
アユム
血球成分ですから、サイズ的に絶対通りませんね。赤血球は直径7〜8μmもありますし。
博士
うむ。糸球体基底膜の孔は70〜80オングストローム、つまり7〜8nmじゃから、μmサイズの血球はまったく通れん。尿中に赤血球があれば血尿=病的状態じゃ。
アユム
糸球体は1日にどのくらい濾過しているんですか?
博士
成人では約180L/日、1分間に約100mLじゃ。これをGFR(糸球体濾過量)と呼び、腎機能の指標として最重要じゃ。クレアチニンクリアランスや血清シスタチンCから推算するeGFRが臨床で使われておる。
アユム
濾過された原尿のほとんどは尿細管で再吸収されるんですよね。最終的な尿は1〜2L/日くらい。
博士
その通り。99%以上が再吸収される精密なリサイクル工場じゃな。
アユム
正常と病的を見分ける基準が明確になりました!
POINT
糸球体濾過はサイズバリアとチャージバリアの2重フィルターで成分をふるい分ける機構で、分子量が小さく陰性電荷を持たない物質が通過します。ミオグロビンは分子量約1万7千と小さいため正常でも濾過されて尿中に排泄されます。一方、フィブリノゲン、アルブミン、血小板、赤血球はサイズまたは電荷によって基底膜を通過できません。糖尿病性腎症では早期にチャージバリアが破綻して微量アルブミン尿が出現し、横紋筋融解症ではミオグロビンが尿細管内で析出して急性腎障害を招くなど、糸球体濾過の原則は病態理解や看護観察の基盤となります。GFR(糸球体濾過量)は腎機能評価の最重要指標で、国家試験でも頻出の概念です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:正常な糸球体で濾過される物質はどれか。
解説:正解は 2 です。糸球体は毛細血管が球状に集まった構造で、血液中の成分を「ふるい」にかけて原尿を生成します。糸球体基底膜のサイズバリア(分子量約6万〜7万以上は通りにくい)とチャージバリア(陰性電荷を帯びた分子は通りにくい)によって濾過されるかが決まります。ミオグロビンは分子量約1万7千と小さく、正常でも糸球体を通過するためこれが正解となります。フィブリノゲン、アルブミン、血小板、赤血球はいずれもサイズまたは電荷的に通過できません。
選択肢考察
-
× 1. フィブリノゲン
分子量約34万の大型血漿蛋白質で、サイズバリアに阻まれて糸球体を通過できない。凝固因子第Ⅰ因子として血中に留まる。
-
○ 2. ミオグロビン
分子量約1万7千の酸素結合蛋白質で、主に骨格筋・心筋に存在する。分子量が小さいため糸球体を通過し、尿中に排泄される。横紋筋融解症などで大量に遊離すると尿細管を閉塞し急性腎障害の原因となる。
-
× 3. アルブミン
分子量約6万6千の血漿蛋白質。サイズ的には境界域だが陰性電荷を帯びており、糸球体基底膜のチャージバリアに弾かれて正常では濾過されない。糖尿病性腎症などで微量に漏れ始めるのが微量アルブミン尿である。
-
× 4. 血小板
直径2〜3μmの血球成分で、糸球体基底膜の孔(約70〜80オングストローム)より圧倒的に大きく通過できない。
-
× 5. 赤血球
直径約7〜8μmの有形成分で、糸球体を通過することはない。尿中に赤血球が認められる血尿は糸球体腎炎や尿路出血など病的状態を示唆する。
糸球体濾過の原則は「分子量が小さく陰性電荷を持たないものは通る」である。水、電解質、グルコース、アミノ酸、尿素、クレアチニン、低分子蛋白質(ミオグロビン、β2ミクログロブリン、シスタチンCなど)は自由に濾過される。逆に、アルブミンより大きい蛋白質や血球成分は通過しない。ボウマン嚢内の原尿は血漿の約20%量にあたり、成人では1分間に約100mL、1日約180Lが生成される。横紋筋融解症ではミオグロビンが尿細管内で析出し円柱を作って急性腎障害を引き起こすため、大量輸液と尿アルカリ化が治療の基本となる。
糸球体濾過のサイズバリア・チャージバリアの概念を理解し、各物質の分子量と電荷から濾過の可否を判断できるかを問う問題。
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