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糸球体濾過量とイヌリン

看護師国家試験 第111回 午後 第80問 / 人体の構造・機能 / 泌尿器系

国試問題にチャレンジ

111回 午後 第80問

糸球体濾過量の推定に用いられる生体内物質はどれか。

  1. 1.尿素
  2. 2.イヌリン
  3. 3.ビリルビン
  4. 4.クレアチニン
  5. 5.パラアミノ馬尿酸

対話形式の解説

博士 博士

今日は腎機能検査の問題じゃ。糸球体濾過量、GFRの測定に使われる物質は何か、じゃな。

アユム アユム

GFRって腎機能の代表的な指標ですよね。

博士 博士

うむ、糸球体が1分間に濾過する血漿量を示す値で、正常は約100mL/分、慢性腎臓病の病期分類の基準にもなる。

アユム アユム

正解は何番ですか?

博士 博士

正解は2番、イヌリンじゃ。イヌリンクリアランスがGFR測定のゴールドスタンダードなんじゃよ。

アユム アユム

イヌリンってどんな物質ですか?

博士 博士

キク科植物由来の多糖類で、静脈内投与すると糸球体で完全に濾過され、尿細管で再吸収も分泌もされない理想的な物質じゃ。だから尿中排泄量と血漿濃度からGFRを正確に算出できる。

アユム アユム

1番の尿素はどうですか?

博士 博士

尿素、BUNは腎機能の参考にはなるが、尿細管で一部再吸収されるのでGFRを過小評価する。また脱水や高蛋白食、消化管出血でも上昇するので特異性が低い。

アユム アユム

3番のビリルビンは?

博士 博士

ビリルビンは肝・胆道系の指標じゃ。ヘモグロビン代謝産物で、GFRには使わん。

アユム アユム

4番のクレアチニンは?日常臨床でよく聞きますが。

博士 博士

良い質問じゃ。クレアチニンは筋肉由来の代謝産物で、eGFR(推算GFR)の計算に広く使われる。ただし尿細管からわずかに分泌されるため、厳密にはGFRをやや過大評価するんじゃ。本問ではイヌリンが正解とされておる。

アユム アユム

5番のパラアミノ馬尿酸は?

博士 博士

パラアミノ馬尿酸、PAHは腎血漿流量(RPF)の測定に使う物質じゃ。GFRとは別の指標じゃよ。

アユム アユム

eGFRとクレアチニンクリアランスの違いは何ですか?

博士 博士

eGFRは血清クレアチニン・年齢・性別から計算式で推算する。クレアチニンクリアランスは24時間蓄尿と採血から実測する。前者のほうが簡便で、日常臨床で広く使われておるんじゃ。

アユム アユム

慢性腎臓病ではGFRで病期分類するんですよね。

博士 博士

そうじゃ、CKDステージG1〜G5で、G3以降は薬剤投与量の調整が必要になる。腎機能の把握は安全な薬物療法の基本じゃ。

アユム アユム

生体内物質として臨床で使われるのはクレアチニンですが、基準となる測定物質はイヌリンなんですね。

博士 博士

その通り、ゴールドスタンダードはイヌリン、日常臨床の推算はクレアチニン、と整理するとよいぞ。

POINT

糸球体濾過量(GFR)の測定は、糸球体で完全に濾過され尿細管で再吸収・分泌されない物質のクリアランスで評価します。本問の正解は2番のイヌリンで、イヌリンクリアランスがGFR測定のゴールドスタンダードです。尿素は再吸収され特異性が低く、ビリルビンは肝胆道系の指標、クレアチニンはeGFR算出に汎用される便利な指標、パラアミノ馬尿酸は腎血漿流量の指標です。CKDの病期分類と薬物投与管理においてGFR評価は不可欠です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:糸球体濾過量の推定に用いられる生体内物質はどれか。

解説:正解は 2 です。糸球体濾過量(GFR)の正確な測定には、糸球体で完全に濾過され尿細管で再吸収・分泌されない物質のクリアランス測定が必要です。その基準となる物質がイヌリンで、イヌリンクリアランス(Cin)はGFRの厳密な測定法(ゴールドスタンダード)です。なお、正解選択肢の本文は「イヌリン」で、イヌリンはキク科植物由来の多糖類で外因性物質ですが、本問では「糸球体濾過量の推定に用いられる物質」としてイヌリンが正解とされています。

選択肢考察

  1. × 1.  尿素

    尿素(BUN)は腎機能の指標になりますが、尿細管で一部再吸収されるためGFRを過小評価します。また消化管出血・脱水・高蛋白食でも上昇し、特異性が低い指標です。

  2. 2.  イヌリン

    イヌリンは糸球体で完全に濾過され、尿細管で再吸収も分泌もされないため、イヌリンクリアランスがGFR測定の基準(ゴールドスタンダード)です。厳密な検査として用いられます。

  3. × 3.  ビリルビン

    ビリルビンは肝・胆道系の指標で、ヘモグロビン代謝産物です。GFRの評価には用いられません。

  4. × 4.  クレアチニン

    クレアチニンは筋肉由来の代謝産物でGFRの推定(eGFR)に広く用いられますが、尿細管からわずかに分泌されるためGFRを過大評価します。日常臨床の推定には便利ですが、厳密なGFR測定にはイヌリンが基準です。本問では「イヌリン」が正解とされています。

  5. × 5.  パラアミノ馬尿酸

    パラアミノ馬尿酸(PAH)は腎血漿流量(RPF)の測定に用いられる物質で、GFRではなく腎臓を通過する血漿流量の指標です。

腎機能検査の整理:(1)GFR測定:イヌリンクリアランス(ゴールドスタンダード)、クレアチニンクリアランス(Ccr)、推算GFR(eGFR、クレアチニン値と年齢・性別から算出)。(2)腎血漿流量:PAHクリアランス。(3)血液検査:BUN、クレアチニン、シスタチンC(筋肉量に影響されにくい指標)。日常臨床では採血だけで計算できるeGFRが広く用いられ、慢性腎臓病(CKD)の病期分類や薬剤投与量調整に不可欠です。なお、本問ではイヌリンが正解選択肢となっていますが、厳密にはイヌリンは外因性物質であり、実臨床で生体内物質として多用されるのはクレアチニンです。

糸球体濾過量(GFR)を測定・推定する物質の区別を問う問題です。