大規模災害時のトリアージ判定
看護師国家試験 第103回 午後 第76問 / 看護の統合と実践 / 災害と看護
国試問題にチャレンジ
大規模災害時のトリアージで緊急度が最も高いと判断されるのはどれか。
- 1.下腿に創傷があるが補助があれば歩行できる。
- 2.自発呼吸はあるが橈骨動脈は触知できない。
- 3.気道確保しても自発呼吸がない。
- 4.開眼・閉眼の指示に応じる。
対話形式の解説
博士
大規模災害では一度に多数の傷病者が発生する。限られた医療資源を最大限活かすため、治療の優先順位を決めるのがトリアージじゃ。
アユム
博士、トリアージの色分けはどうなっているんですか?
博士
4色に分類されるんじゃ。赤は最優先治療群で即時処置が必要な重症、黄は待機的治療群でバイタルが比較的安定している中等症、緑は軽処置群で歩行可能な軽症、黒は不処置群で死亡または救命不能じゃ。
アユム
優先順位は赤・黄・緑・黒の順になるんですね。選択肢1の「下腿に創傷があるが補助があれば歩行できる」はどれですか?
博士
歩行可能で生命に危険がないから緑じゃ。災害現場では歩ける人は緑に分類して、まず重症者の救命に医療資源を集中させるんじゃ。
アユム
正解の選択肢2「自発呼吸はあるが橈骨動脈は触知できない」について教えてください。
博士
橈骨動脈が触知できんということは収縮期血圧が80mmHg以下のショック状態じゃ。即時処置をしなければ呼吸停止や心停止に至る危険性が高く、赤と判定される。これが本問で最も緊急度が高いんじゃ。
アユム
選択肢3の「気道確保しても自発呼吸がない」はどうなりますか?
博士
これは黒じゃ。気道確保という基本処置をしても自発呼吸が戻らんということは救命困難と判断され、災害現場では限られた資源を救える命に振り向けるためトリアージとしては不処置となる。
アユム
辛い判断ですね。選択肢4の「開眼・閉眼の指示に応じる」は?
博士
指示に従える意識レベルであれば、外傷の程度にもよるが基本的には黄じゃ。すぐに命に関わる状態ではないが、できるだけ早く治療すべきじゃ。
アユム
START法って何ですか?
博士
Simple Triage And Rapid Treatmentの略で、歩行・呼吸・循環・意識の順に短時間で評価する方法じゃ。1人につき30秒程度で判定するのが目安となっておる。
アユム
トリアージタッグはどこに付けますか?
博士
原則として右手首じゃ。手首に装着できない場合は左手首、足首、首の順で考慮する。タッグには判定時刻、所見、施行者などを記載するんじゃ。
アユム
看護師として現場でも判断が求められそうですね。
博士
災害時には看護師もトリアージナースとして役割を担う場合がある。日頃から訓練しておくことが大切じゃ。
POINT
大規模災害時のトリアージは赤・黄・緑・黒の4色で優先度を判定し、最も緊急度が高いのは即時処置で救命可能な赤(最優先治療群)です。橈骨動脈触知不能はショック状態を示唆し赤に該当します。歩行可能な軽傷は緑、指示に応じる意識状態は黄、気道確保しても呼吸再開しない場合は黒となります。看護師もSTART法を理解し災害現場で適切に判定できることが求められます。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:大規模災害時のトリアージで緊急度が最も高いと判断されるのはどれか。
解説:正解は 2 です。大規模災害時のトリアージでは、最優先治療群(赤・カテゴリーI)が最も緊急度が高いと判断されます。自発呼吸はあるが橈骨動脈が触知できない状態は、収縮期血圧80mmHg以下のショック状態を示唆し、すぐに処置をすれば救命可能な「赤」に分類されます。
選択肢考察
-
× 1. 下腿に創傷があるが補助があれば歩行できる。
歩行可能で生命に危険のない軽傷は緑(カテゴリーIII、軽処置群)に分類されます。
-
○ 2. 自発呼吸はあるが橈骨動脈は触知できない。
橈骨動脈触知不能は収縮期血圧80mmHg以下を示唆するショック状態であり、即時処置が必要な赤(最優先治療群)に該当します。
-
× 3. 気道確保しても自発呼吸がない。
気道確保しても自発呼吸がない状態は黒(カテゴリー0、不処置群/死亡群)に分類され、救命不可能と判断されます。
-
× 4. 開眼・閉眼の指示に応じる。
指示に応じられる意識状態であれば、生命に直接危険はなく黄(カテゴリーII、待機的治療群)に分類されます。
災害トリアージにはSTART法(Simple Triage And Rapid Treatment)が用いられ、歩行・呼吸・循環・意識の順に評価します。橈骨動脈触知不能、呼吸数30回/分以上、毛細血管再充満時間2秒以上、簡単な指示に従えないなどが赤の基準です。トリアージタッグは右手首に装着するのが原則です。
災害時トリアージの色分け基準と「赤」の判断ポイントを問う問題です。
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